空気環境の調整15
建築物衛生行政概論 建築物の環境衛生 空気環境の調整建築物の構造概論 給水及び排水の管理 清掃 ねずみ・昆虫等の防除
単位集 水質検査項目及び特定建築物の水質検査頻度 法令集 法改正 参考資料
空気環境の調整⑮
流体の基礎
連続の式
下の図は断面積の異なるダクトを考えてみます。
この場合、流体の密度が一定なら以下の関係が成り立ちます。
S1 x V1 x p = S2 x V2 x p = S3 x V3 x p
p:流体の密度上記の式のことを連続の式といいます。 つまり通過する密度が一定なら断面積が小さいと流体の流速は速くなり、断面積が大きいと流体の流速は遅くなります。
↑重要です。覚えましょう。
水道のホ―スや高圧洗浄機などをイメ―ジすればわかりやすいと思います。
蛇口のバルブなどを開けた状態でホ―スで水まきをするときにホ―スの先を小さくすると水が勢いよく出てきますよね。
しかし蛇口の元バルブの開閉は同じなので出ている水の量は同じになります。
風速と断面積の関係
つまり上記のことをまとめると以下の関係にあるといえます。
連続の式(質量保存の法則)より、単位時間にダクトへ流入する空気の質量と、そのダクトがら流出してくる空気の質量は、途中に漏れがなければ等しくなります。また、合流、分岐のないダクト中を進む気流の速度(風速)は、断面積に反比例する。←重要です。
大気基準圧
ある地点の圧力を大気圧との差で表したものを大気基準圧という。またはゲ―ジ圧力という。
ゲ―ジ圧力 + 大気圧を絶対圧力という。
重要です。覚えましょう。
静圧と動圧
しかし風船内から勢いよく噴出した空気は静圧から動圧に変化していきます。
ベルヌ―イの定理
ひとつながりの管の中を流れる流体を考えたとき、管の太さに関係なく流体の全圧は一定になります。これが『ベルヌ―イの定理』です。流体の持っている力は一定で、動圧が増えれば静圧が減り、静圧が増えれば動圧が減るというイメ―ジです。
流れの運動エネルギ―の保存を仮定すると、次のようなベルヌ―イの定理を表す式が得られる。
この式の各項の単位はPaであり、第一項を動圧、第二項を静圧、第三項を位置圧と呼び、摩擦のない理想気体の流れでは、その合計値は一定となる。
気体では位置圧は無視してよいほど小さい。
従って、
平成30年度 問題51
ダクト内気流速度が4.0m/sであったとすると、この気流の動圧(速度圧)の値として、最も適当なものはどれか。ただし、ダクト内の空気の密度は1.2kg/m3とする。
解説
この問題は、ρ:密度=1.2kg/m3
U:速度=4.0m/s
1/2 x 1.2 x 4.02
=0.6 x 16
=9.6Pa
圧力損失
摩擦のない理想流体では、ベルヌーイの定理が成立するが、実際の流れでは、摩擦や流れの渦運動によって生じる損失等により、全圧は流れの下流方向に向かって低下する。
この全圧低下を圧力損失と呼ぶ。
直線ダクトに生じる圧力損失はΔPは以下の式で用いられる。
噴流(ふんりゅう)
噴流(ふんりゅう)とは、速度を持った 流体 が小さな孔から空間中にほぼ一方向の 流れ となって噴出する現象である 。
吹出口からの噴流は周囲の空気を巻き込んで拡がりながら減速していく。吹出し気流
天井面に沿った噴流の到達距離は、自由噴流よりも長くなる。
冷たい壁付近などで生じる下降冷気流をコールドドラフトといい、居住者に不快感を与えることがある。
- ドラフトとは、不快な局部気流のことをいう。気流の速度の他、気流変動の大きさ、空気温度の影響を受けるとされている。
- コールドドラフトとは、冷たい壁付近などで、自然対流によって生じる下降流や隙間風が原因となって生じるドラフトのことをいう。
吸込み気流
吹出しの影響は吹出口から遠方まで及びます。←重要です。
しかし、吸込み気流の影響は吸込口付近に限定されます。←これも重要です。
吸込み気流は吹出し気流のような強い指向性はありません。←これも重要です。
点源吸込気流の速度は、吸込口に近い領域を除き、吸込口中心からの距離の2乗に反比例する。
アスペクト比
アスペクト比とは、長方形の短辺に対する長辺の比をいう。
開口部の通過風量
壁の開口部の前後の圧力差がΔP[Pa]である時、開口部の通過風量Q[m3/s]は次式で表される。
各種開口の流量係数は下図である。
流量係数の数値は覚えましょう。
普通の窓は小さくなるので、0.6~0.7程度
ベルマウスは変化しないので、1.0程度
開口部を有する建築物の自然換気
この問題も出題頻度が高い問題になりますのでポイントは押さえておきましょう。下の図のように、風上側と風下側にそれぞれ一つの開口部を有する建築物における外部の自然風のみによる自然換気に関する事柄は以下のようになります。
- 換気力(圧力)は、外部の風速の2乗に比例する。
- 換気量(風量)は、外部の風速に比例する。
- 換気力は、風圧係数の差に比例する。
- 換気量は、風圧係数の差の平方根に比例する。
- 風上側開口部と風下側開口部の風圧係数は、正負の値をとる。
- 風向きが変わると、各開口部の風圧係数が変わるため、換気量は変化する。
- 開口部の通過風量は、開口面積に比例するので、風上側と風下側の両方の開口面積を1/2とすると、換気量は1/2になる。
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