建築物衛生行政概論7
建築物衛生行政概論 建築物の環境衛生 空気環境の調整建築物の構造概論 給水及び排水の管理 清掃 ねずみ・昆虫等の防除
単位集 水質検査項目及び特定建築物の水質検査頻度 法令集 法改正 参考資料
建築物衛生行政概論⑦
労働安全衛生法 < 事務所衛生基準規則 < 環境基本法 < 公害の定義 < 感染症法
労働安全衛生法
目的
この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化
及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保する
とともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
ポイント・・・・赤字は暗記すること
事務所衛生基準規則
2021年12月「事務所衛生基準規則」が改正されました。
改正内容は以下に記載します。
事務所衛生基準規則は労働安全衛生法に基づく17省令の1つである(他に労働安全衛生規則、ボイラ―及び圧力容器安全規則、ゴンドラ安全規則、石綿障害予防規則
などがある。)
- 気積(容積)は労働者1人について、設備の占める容積及び4mを超える高さにある空間を除き10m3以上
- 一酸化炭素濃度は100万分の50以下
- 二酸化炭素濃度は100万分の5000以下
- 事業者は、室の気温が10℃以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。
- 空気調和設備、機械換気設備を設けている場合はビル管理法と同じ基準に適合するようにしなければならない。
- 事業者は、燃焼器具(発熱量が著しく少ないものは除く)を使用する室又は箇所には、排気筒、換気扇その他の換気のための設備を設けなければならない。
事業者は、燃焼器具 を使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検しなければならない。 - 事業者は、室の作業面の照度を次のようにする。
作業の区分 基準 一般的な事務作業 300lx以上 付随的な事務作業※ 150lx以上 - 事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。
作業面の照度基準が 3 区分から 2 区分へ 施行:令和4年12月1日
令和4年12月1日より法改正により照度基準が 3 区分から 2 区分へ 施行されます。
事務所において労働者が常時就業する室における作業面の照度基準が、従来の 3 区分から 2 区分に変更 されました。「一般的な事務作業」については 300 ルクス以上、「付随的な事務作業」については 150 ルクス以上であることが求められます。
今回の改正は、照度不足の際に生じる眼精疲労や、文字を読むために不適切な姿勢を続けることによる上 肢障害等の健康障害を防止する観点から、すべての事務所に対して適用されます。
トイレの設置基準(改正前)
- 事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。
- 男性用と女性用に区別すること。
- 男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者60人以内ごとに一個以上とすること。
- 男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに一個以上とすること。
- 女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者20人以内ごとに一個以上とすること。
- 便池は、汚物が土中に浸透しない構造とすること。
- 流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設けること。
- 事業者は、便所を清潔に保ち、汚物を適当に処理しなければならない。
トイレの設置基準(改正後)
- 事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。
- 男性用と女性用に区別すること。
- 男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者60人以内ごとに一個以上とすること。
- 男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者30人以内ごとに一個以上とすること。
- 女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者20人以内ごとに一個以上とすること。
- バリアフリートイレなど、施錠ができる男女共用トイレ(独立個室型のトイレ)1個につき、トイレ設置基準の就業人数から、それぞれ10人減らすことが可能
- 10人以下の少人数のオフィスでは、独立個室型のトイレを1個設けることで、男女別のトイレ設置の例外とする
- 便池は、汚物が土中に浸透しない構造とすること。
- 流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設けること。
- 事業者は、便所を清潔に保ち、汚物を適当に処理しなければならない。
- 今回の改正では、男女別の設置区分は維持しつつも、バリアフリートイレなど、一定の要件を満たした「独立個室型」のトイレを「1個」として扱うことができるようになります。
- 就業人数が10人以内のオフィスでは、独立個室型トイレ1個の設置でも要件を満たすことになります。
労働安全衛生法に規定する事業者の責務
この問題も良く出題されています。
ある一定規模の事業場において労働安全衛生法においてその事業場の事業者に以下の責務を行うことと規定されています。- 事業場の規模に応じて、産業医を選任しなければならない。
- 有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
- 一定規模の事業場においては、常時使用する労働者に対し、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
- 伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、その就業を禁止しなければならない。
- 健康診断の結果を所轄の労働基準監督署長に提出しなければならない。
環境基本法
目的
この法律は環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者
及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定める
ことにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与
するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
ポイント・・・・赤字は暗記すること
公害の定義
環境基本法で定義されているものは以下の7つである。- 大気汚染
- 水質汚濁
- 土壌汚染
- 騒音
- 振動
- 地盤沈下
- 悪臭
穴埋め問題で出題されるが、海洋汚染、放射線汚染、電波障害、日照権の侵害は公害に含まれない。
環境基本法の環境基準
第三節 環境基準
第十六条 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
- 大気汚染
- 水質汚濁
- 土壌汚染
- 騒音
- 振動
- 地盤沈下
- 悪臭
その中の大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音について環境基準型が定められています。
大気汚染物質として以下のものが基準とされている。
物質 | 二酸化硫黄 | 一酸化炭素 | 浮遊粒子状物質 | 光化学 オキシダント | 二酸化窒素 |
---|---|---|---|---|---|
環境上の条件 | 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。 | 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。 | 1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。 | 1時間値が0.06ppm以下であること。 | 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾ―ン内又はそれ以下であること。 |
因みに一酸化窒素は、発生してもすぐに空気中の酸素と結合して二酸化窒素に変化してしまうから、基準値には含まれません。
感染症法
一類感染症
- エボラ出血熱・クリミア・コンゴ出血熱
- 痘そう・南米出血熱・ベスト
- マ―ルブルグ病・ラッサ熱
二類感染症
- 急性灰白髄炎・結核・ジフテリア
- 重症急性呼吸器症候群
- 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)
三類感染症
- コレラ・細菌性赤痢
- 腸管性出血大腸菌感染症
- 腸チフス・パラチフス
四類感染症
- E型肝炎・A型肝炎・黄熱・Q熱
- 狂犬病・炭痘
- 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く。)
- ポツリヌス症・マラリア・野兎病
- ウエストナイル熱・オウム病・つつが虫病
- デング熱・日本脳炎・発しんチフス
- ライム病・レジオネラ症・レプトスピラ症
五類感染症
- インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)
- クリプトスポリジウム症
- 後天性免疫症候群・梅毒・麻しん
- アメ―バ赤痢・クロイツフェルト・ヤコブ病
- 手足口病・破傷風・百日咳・風しん
新型インフルエンザ等感染症
- 新型インフルエンザ
一類感染症 | 二類感染症 | 三類感染症 | 四類感染症 | 五類感染症 | |
---|---|---|---|---|---|
疾病名の規定方法 | 法律 | 法律 | 法律 | 政令 | 省令 |
擬似症患者への適用 | 〇 | 〇 | X | X | X |
無症状病原体保有者への適用 | 〇 | X | X | X | X |
積極的疫学調査の実施 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
医師の届出 | 〇(直ぐに) | 〇(直ぐに) | 〇(直ぐに) | 〇(直ぐに) | 〇(一部を除き7日以内)) |
獣医師の届出 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | X |
健康診断の 受診の勧告・実施 | 〇 | 〇 | 〇 | X | X |
就業制限 | 〇 | 〇 | 〇 | X | X |
入院の勧告・措置・移送 | 〇 | 〇 | X | X | X |
汚染された場所の消毒 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | X |
ねずみ・昆虫等の駆除 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | X |
汚染された物件の排気等 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | X |
死体の移動制限 | 〇 | 〇 | 〇 | X | X |
生活用水の使用制限 | 〇 | 〇 | 〇 | X | X |
建築物の立入制限・封鎖 | 〇 | X | X | X | X |
交通の制限 | 〇 | X | X | X | X |
動物の輸入禁止・輸入検疫 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | X |
感染症法に関する問題は上記のケ―スでの出題が多いです。
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