建築物衛生行政概論2
建築物衛生行政概論 建築物の環境衛生 空気環境の調整建築物の構造概論 給水及び排水の管理 清掃 ねずみ・昆虫等の防除
単位集 水質検査項目及び特定建築物の水質検査頻度 法令集 法改正 参考資料
建築物衛生行政概論②
空気環境の調整に関すること < 給水及び排水の管理に関すること < 雑用水に関すること < 清掃及びねずみ等の防除に関すること
建築物環境衛生管理基準について
【重要】厚生労働省より建築物環境衛生管理基準等の見直しがありましたので掲載しておきます。
特定建築物の所有者・占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について、権原を有する者は、「建築物環境衛生管理基準」に従って維持管理をしなければならないと政令で定められている。
空気環境の調整 | ①空気環境の調整に関する基準及び測定 ②空気調和設備の病原体汚染を防止するための措置 |
給水および排水の管理 | ①飲料水に関する衛生上の措置(飲料水の水質基準、貯水槽の清掃等) ②雑用水に関する衛生上の措置 ③排水に関する設備の掃除等 |
清掃およびねずみの防除 | ①清掃および廃棄物処理 ②ねずみ等の防除 |
空気環境の調整
空気調和設備とは
空気調和設備とは、空気の浄化、温度、湿度および流量の調整ができる設備をいう。
空気調和設備を設けている特定建築物は、浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有量、二酸化炭素の含有量、温度、相対湿度、気流、ホルムアルデヒドの量の7項目について、各基準値を遵守しなければならない。
機械換気設備とは
機械換気設備とは、空気の浄化および流量の調整ができる設備をいい、機械換気設備を設けている特定建築物については、浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有量、二酸化炭素の含有量、気流、ホルムアルデヒドの量の5項目について、各基準値を遵守しなければならない。
備考:機械換気設備は温度、相対湿度の測定が省かれますので気を付けましょう。
管理基準値 | ||
---|---|---|
浮遊粉じんの量 | 0.15mg/m3以下 | 平均値が基準を満たすこと。 |
一酸化炭素の含有率 | 6ppm以下(100万分の6以下) | |
二酸化炭素の含有率 | 1000ppm以下(100万分の1000以下) | |
温度 | (1)18℃以上28℃以下 (2)居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。 | すべての測定値が基準を満たしていること。 |
相対湿度 | 40~70% | |
気流 | 0.5m/s以下 | |
ホルムアルデヒド | 0.1mg/m3以下 |
一酸化炭素及び二酸化炭素に関しては6ppm、1000ppm又は100万分の6、100万分の1000と出題されているがppmとは100万分の1であり、同じ値になります。
従って、どちらの表記でも対応できるように覚えておきましょう。
備考:令和4年4月1日の法改定により一酸化炭素が10ppm以下(100万分の10以下)から6ppm以下(100万分の6以下)
温度が17℃~28℃から18℃以上28℃以下に変更になっています。
- 空気調和設備を設けている場合は上記項目すべてが対象。
- 機械換気設備を設けている場合は温度・湿度以外の項目が対象(温度・湿度は制御できないので対象外)
- 空気調和設備を設けている場合は、厚生労働省令で定めるところにより、病原体によって居室の内部の空気が汚染されることを防止するための措置を講ずること。
- 建築物環境衛生管理基準には照明、騒音、振動などの基準は定められていない。
空気環境の測定方法
- 通常の時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測定
- ホルムアルデヒドの量を除く項目については2か月以内ごとに1回、定期に、測定しなければならない。
- ホルムアルデヒドは建築基準法第二条にいう大規模の修繕又は大規模の模様替えを行ったとき、その使用を開始した日以降最初に到来する6月1日から9月30日までの 期間中に1回測定する。
ホルムアルデヒドとは家具や建築資材、壁紙を貼る為の接着剤、塗料などに含まれている化学物質の一つです。
防腐剤としても使用されます。
従って大規模な模様替えや修繕した時に測定が義務つけられています。
しかも夏場に発生するといわれているので、夏場に測定を行います。
空気環境の測定値
- 粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素・・・・・・平均値
- 温度、湿度、気流・・・・・・・・瞬時値
です。
↑
これ覚えましょう。 測定器
項目 | 測定器 |
---|---|
浮遊粉じん | グラスファイバ―ろ紙を装着し、重量法により測定する機器等 |
一酸化炭素 | 検知管方式の一酸化炭素検定器 |
二酸化炭素 | 検知管方式の二酸化炭素検定器 |
温度 | 0.5度目盛り温度計 |
相対湿度 | 0.5度目盛り乾湿球湿度計 |
気流 | 0.2m/s以上を測定できる風速計 |
ホルムアルデヒド | クロマトグラフ法等による測定器 |
給水及び排水の管理に関すること
- 水道法の水質基準に適合すること
- 排水は、汚水が漏れないように排水設備の補修・掃除を行う。
- 供給する水が人の健康を害する恐れがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、かつその水を使用することが危険である旨を関係者に周知させること。
遊離残留塩素 | 結合残留塩素 | |
---|---|---|
平常時 | 100万分の0.1(0.1ppm) | 100万分の0.4(0.4ppm) |
供給されている水が病原生物に著しく汚染される恐れがある場合 | 100万分の0.2(0.2ppm) | 100万分の1.5(1.5ppm) |
残留塩素の測定と貯水槽の清掃
- 遊離残留塩素の測定は7日以内に1回実施すること。
- 貯水槽の清掃は1年以内に1回実施すること。
給湯温度は55℃以上とする。
雑用水に関すること
人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活の用に供する以外の水に対する管理基準
残留塩素の測定遊離残留塩素 | 結合残留塩素 | |
---|---|---|
平常時 | 100万分の0.1(0.1ppm) | 100万分の0.4(0.4ppm) |
供給されている水が病原生物に著しく汚染される恐れがある場合 | 100万分の0.2(0.2ppm) | 100万分の1.5(1.5ppm) |
備考:残留塩素の測定も飲料水と同一基準である。
測定回数も7日に一度定期に実施すること。
散水・修景又は清掃の用に供する水に関しては次に述べるところにより維持管理を行う。
- し尿を含む水を原水として用いないこと。
- 水洗便所の用に供する水にあっては、原水をし尿に含んでよい。
- 給水に関する設備を設けて雑用水を供給する場合は、人の健康に係る被害を生ずることを、防止するため、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、これらの設備の維持管理に 努めなければならない。
維持管理基準
項目 | 基準 | 検査 |
---|---|---|
pH値 | 5.8以上8.6以下であること | 7日以内ごとに1回 |
臭気 | 異常でないこと | |
外観 | ほとんど無色透明であること | |
大腸菌 | 検出されないこと | 2か月以内ごとに1回 |
濁度 | 2度以下であること |
排水の管理に関すること
特定建築物の維持管理権原者は、排水に関する設備の掃除を6か月以内ごとに1回定期に行う。
特定建築物の維持管理権原者は、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、排水に関する設備の補修、清掃その他該当設備の維持管理に努めなければならない。清掃及びねずみ等の防除に関すること
- 防除を行う動物として、ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物(ねずみ等という)と規定している。
人の健康を損なうおそれのないシロアリは含まれない。 - ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ等による被害の状況について、6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査実施し、当該調査の結果に 基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずる。(調査の結果ねずみ等がいなければ殺鼠剤や殺虫剤を使用する必要はない。)
- ねずみ等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、薬事法の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いる。
- 大掃除は6か月以内ごとに1回定期に統一的に実施すること。 掃除・廃棄物の処理、ねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除を行う場合は、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、掃除及びねずみ等の防除並びに掃除 用機器及び廃棄物処理設備の維持管理に努めなければならない。
- 食料を取扱う区域並び排水槽、阻集器及び廃棄物の保管設備の周辺等特にねずみ等の発生しやすい箇所について2か月以内ごとに1回 その生息状況を調査し、必要に応じ、発生を防止するための措置を講ずること。
測定・検査の回数のまとめ
最低でも下記の検査回数は暗記しておこう。
- 遊離残留塩素の検査・・・・・・・7日以内ごとに1回
- 空気環境測定・・・・・・・・・・2か月以内ごとに1回(ホルムアルデヒドを除く)
- 統一的な大掃除・・・・・・・・・6か月以内ごとに1回
- 貯水槽(受水槽・高置水槽)の清掃・・・・・1年以内ごとに1回
- 飲料水の水質検査・・・・・・・・6か月以内ごとに1回
- 排水に関する設備の清掃(雑排水等)・・・・・6か月以内ごとに1回
- ねずみ・昆虫等の防除・・・・・・・・6か月以内ごとに1回
- 加湿装置の清掃・・・・・・・・・・・1年以内ごとに1回
(備考):ホルムアルデヒドは新築、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替えを完了し、その使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回実施
買い物は楽天市場