給水及び排水の管理9
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給水及び排水の管理⑨
排水槽の構造 < 排水設備の保守管理 < 排水設備等の維持管理 < 排水の管理 < 排水槽の清掃 < 排水槽の臭気対策 < 排水ポンプの種類 < 排水ポンプの定期点検 < 阻集器 < グリ―ス阻集器の清掃 < 排水管の洗浄方法排水槽と排水設備の保守管理
排水を建物から重力式で排除できない場合は、最下階に排水槽を設ける。排水槽は、汚水槽、雑排水槽、湧水槽に分けられる。
排水槽の構造
- 内部の保守点検が容易な位置に有効内径600mm(直径が60cm以上の円が内接することができるもの)以上の 密閉型マンホ―ルを設ける。
- マンホ―ルは2個以上設けることが望ましい。
- 通気管は単独に大気中に開口する。
- 排水槽の底部には吸込みピットを設け、排水槽の底部には1/15以上、1/10以下の勾配を設ける。
- 排水槽は、通気管以外の部分から臭気が漏れない構造とする。
- ちゅう房排水槽と汚水排水槽は別々に設置することが望ましい。
- 排水槽のマンホ―ルふたはパッキン付き密閉型にする。
- 湧水槽は、二重ピットに発生する湧水を排出するもので、湧水槽のポンプ起動水位は2重スラブ床面以下とし て滞留期間を短くして水の腐敗、衛生害虫の発生を防止する。
- 吸込みピットは水中ポンプの周囲に保守のためにスペ―スとして200mm以上の空間を設けられる大きさとする。
ここも、すべて重要だがマンホ―ルの有効内径60cm以上、排水槽の勾配1/15以上、1/10以下などは確実に覚える。
- 排水槽の満水、ポンプの運転の制御には電極棒は使わない。(電極棒は汚物により誤作動の原因になる)。
- 排水槽の満水、ポンプの運転の制御にはフロ―トスイッチが適している。
- 排水ポンプは原則2台設置し自動交互運転とする。
- 排水ポンプには、水中ポンプ、立て型ポンプ、横型ポンプ等があるが、設置スペ―スが要らない水中ポンプが多用されている。
排水設備の保守管理
排水槽の清掃
- 排水に関する設備の清掃を、6ヵ月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。
ここで、貯水槽と混合しないように!
貯水槽の清掃は1年に1回
排水槽の清掃は6ヵ月に1回
排水設備等の維持管理
排水に関する設備の清掃- 排水槽内の汚水及び残留物質を排除すること。
- 流入管、排水ポンプ等について、付着した物質を除去すること。
- 排水管、通気管及び阻集器について、内部の異物を除去し、必要に応じ、消毒等を行う。
- 清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、関係法令の規定に基づき、適切に処理すること。
排水に関する設備の点検等
- トラップについて、封水深が適切に保たれていることを定期に確認すること。
- 排水管及び通気管について、損傷、さび、腐食、詰まり及び漏れの有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。
- 排水槽及び阻集器について、浮遊物質及び沈殿物質の状況、壁面等の損傷及び亀裂、さびの発生の状況及び漏水の 有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行う。
- フロ―トスイッチ又は電極式制御装置、満減水警報装置、フ―ト弁及び排水ポンプの機能等を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行う。
排水の管理
- 排水の状況は建築物の用途等によって異なるので、排水の質と量及び排水槽の容量等に応じて清掃の頻度を増すこと。
- 除去物質の飛散防止、悪臭発散の防止、消毒等に配慮するとともに、作業中の事故防止に留意すること。
- 蚊、ハエ等の発生の防止に努め、排水に関する設備の清潔を保持すること。
- 阻集器にあっては、油脂分、汚泥等を除去するとともに、清掃後は内部の仕切板等を正しく装着し、機能の維持を図ること。
- 排水管及び通気管並びにこれらに取り付けられた防虫網については、定期的に損傷、さび、腐食、詰まり等及び漏水の有無を点検し、機能を阻害されていないことを確認すること。
- 寒冷地については、凍結又は積雪によるベントキャップの閉塞等に留意すること。
- トラップの維持管理については、封水深が適切に保たれていること及びトラップ内の沈殿物等による臭気の発生、スケ―ルの有無等を点検し、機能が阻害されていないことを確認すること。
重要なことをまとめてみました。覚えましょう。
排水槽の清掃
- 清掃に用いる照明器具は防爆型で、作業に十分な照度を確保できるものであること。
- 排水槽には、爆発性のあるメタンガスや有毒な硫化水素等が充満していることがあるので、火気に注意する とともに、換気を十分に行い安全を確認してから槽内に立ち入ること。また、換気は作業が完全に終了するまで継続して行うこと。
- 清掃終了後は、水張りを行い、水位の低下の有無を調べ、漏水がないか確認すること。
上記排水槽の清掃のポイントをまとめてみましたが、確実に暗記すること。
特に清掃に用いる照明器具は防爆型である。たまに防水型で出題されているが惑わされないように、防爆型と覚えよう
排水槽の臭気対策
- 厨房排水が流入する排水槽では、水位をできるだけ下げ、ポンプの運転停止水位を排水ピットの上端よりも低い位置に設定する。
- 12時間を超えて貯留しないようにタイマ―でポンプを運転し強制排水する。あるいはばっ気撹拌装置を設ける。
- 排水槽上部室の換気回数を増やす
12時間は確実に覚えること。
排水槽の臭気対策については、過去の問題であいまいな問題が出題されています。
平成26年問題133(1)
排水槽内の悪臭防止対策としては、1~2時間を超えて排水を貯留しないようにタイマによる強制排水を行う。
平成20年問題133(1)
排水槽内の排水は、12時間を超えて貯留しないように、タイマ―で強制排水することが望ましい。
良く当サイトにも質問されます。
1~2時間それとも12時間どっちが正しいの?
この問題実は明確な時間を決められていないのです。
排水ポンプの自動運転
排水ポンプの自動運転は、通常水位制御によって行われる。
しかし、排水槽内の排水の貯留時間が数時間を超えると、腐敗による悪臭が強くなるので、それ以内の貯留時間で起動するように、タイマによる制御を水位制御と併用することが望ましい。
排水槽の水位センサとして、雨水槽や湧水槽は電極棒を使用してよいが、汚水槽や厨房排水槽は、電極棒を使用すると排水中の固形物が付着したりして誤作動を起こすので、フロートスイッチ等を用いる。
※東京都では2時間以内と指導している。排水ポンプの種類
排水ポンプには、主に汚水ポンプ、雑排水ポンプ・汚物ポンプに分類される。
対象排水 | 最少口径 [mm] | 通過異物の大きさ | 補足 | |
---|---|---|---|---|
汚水ポンプ | 浄化槽排水、湧水、雨水 | 40 | 口径の10%以下 | 原則固形物を含まない排水。 |
雑排水ポンプ | ちゅう房以外の雑排水、雨水 | 50 | 口径の30~40%以下 | 口径50mmで20mmの球形異物が通過すること。 |
汚物ポンプ ノングロッグ型 | 汚水、ちゅう房排水、産業排水 | 80 | 口径の50~60%以下 | 口径80mmで53mmの球形異物が通過すること。 |
汚物ポンプ ボルテックス型 | 汚水、ちゅう房排水、産業排水 | 80 | 口径の100% | 口径80mmで53mmの球形異物が通過すること。 |
- 汚水ポンプ
- 原則として固形物を含まない排水用。
- 雑排水ポンプ
- 小さな固形物を含む排水用。
- 汚物ポンプ
- 大小便等の汚水、厨房排水等固形物を含む排水用
- 排水ポンプは汚水の流入部の近くに設置すると汚水の流入とともにエアを吸う恐れがあるので、流入部より離して設置する。
- 水中ポンプの電動機は損傷防止のため、常時水没させておく。
排水ポンプの定期点検
日常点検 | 吐出し圧力、電流値、騒音、振動等の異常の有無を確認 |
1ヵ月に1回 | 絶縁抵抗の測定を 行い、1MΩ以上あるか確認する。 |
6ヵ月から1年に1回 | 水中ポンプのメカニカルシ―ル部のオイル交換 |
1~2年に1回 | メカニカルシ―ル交換 |
3~5年に1回 | オ―バ―ホ―ル |
ここで注意としては絶縁測定の単位が1MΩですから、たまに1kΩで出題されますから惑わされないように、1MΩと覚えよう。
備考:排水ポンプの絶縁抵抗ですが、電気設備の技術基準では、絶縁抵抗値は300V以下で対地電圧150V以下は0.1MΩ 以上、300V以下で対地電圧150Vを超えるものは0.2MΩ以上、300Vを超えるものは0.4MΩ以上と規定されているが、設備管理の実用上、1MΩ以上確保することが望ましいとされているので、ここでは1MΩ以上と覚えましょう。
排水ポンプの設置等の留意事項
- 排水ポンプは原則2台設置する。(常時は交互運転とし、予想外の大流量時に備え、非常時同時運転とする。
- マンホールは排水水中ポンプまたはフート弁の直上に設置する。
- 排水ポンプは、空気の巻込みを防止するため、水流の乱れの少ない所に設置し、周囲の壁等から200mm以上離す。排水の流入部から離れた位置に設ける。
- 床置き型の排水水中ポンプは十分な支持を行う。
- 排水水中ポンプは、規定された最低水位以下で運転しないようにする。
- 電動機は常時水没させ、焼損を防止する。
阻集器
- 排水中の排水管を閉塞したり、あるいは排水施設に損傷を与える有害・危険な物質を阻集・分離・収集して排水のみを自然流下されることが目的。
- 排水中に含まれる貴金属等を排水と分離回収する。
- ちゅう房・調理場に設ける。
- 排水中の油脂類に流出阻止・分離・収集が目的
- グリ―ス阻集器から発生する廃棄物は、産業廃棄物である。
- 封水深は100mm以上ないとグリ―スが下流に押し出されてしまう。
- 別名ガソリントラップ。ガソリンスタンド・自動車修理工場・洗車場などに設置
- 可燃物のガソリン、油脂類の流出阻止・分離・収集を行う。
- 通気管は単独とし、屋外に開放。
- プラスタとは石こう(石膏)のこと。つまり歯科技工室、外科ギブス室等から排出されるプラスタ(石膏)の流出阻止・分離・収集を行う。
- 工場や土木建築物現場用
- 土砂、セメントその他重い物質の流出阻止・分離・収集を行う。
- トラップの封水深は150mm以上が望ましい。
- 別名ヘアキャッチャ―。浴場・美容室・プ―ル等の化粧品の油脂・毛髪等の流出阻止・分離・収集を行う。
- 営業用洗濯施設では、ボタン・糸くず、ぼろ布等が排水中に含まれているので、繊維くず阻集器を設けて阻止・分離・収集する。/li>
ここでのポイントは
阻集器とは:有害・危険な物質を阻集・分離・収集を行うことにより排水の流れを円滑におこなうこと。
- グリ―ス・・・厨房から出る油類
- オイル・・・・車のガソリン類
- プラスタ・・・病院のギブス類
- 毛髪・・・・・浴室・美容室等の髪・化粧品類
- 砂・・・・・・土砂・セメント
グリ―ス阻集器の清掃
ストレ―ナのちゅう芥 | 毎日除去 |
グリ―ス | 7~10日に一度除去・清掃 |
槽内の底、壁面、トラップ等に付着したグリ―スや沈殿物 | 1~2ヵ月に1回程度高圧洗浄器にて洗浄 |
基本的なグリ―ス阻集器
阻集器のトラップについては、定期的に清掃をすることが原則であり、トラップの底に沈積物を生じても清掃のしやすい構造としてあるので、排水トラップの深さを深くしても差し支えない。
排水管の洗浄方法
排水管の洗浄方法には、スネ―クワイヤ―法、高圧洗浄法、ロッド法、ウォ―タ―ラム法などがある。
スネ―クワイヤ―法
ワイヤ―の長さは25m以下なので、排水横管では25mまで、立て管で20m程度が限界。
ここでのポイントは排水横管なのか立て管なのかしっかり覚える。高圧洗浄法
高圧ポンプを装備した高圧洗浄車、ホ―ス、ノズル等を用いて5~30MPaの高圧の水を噴射して排水管内の砂や汚物を除去する。
圧力5~30MPaは覚える。ロッド法
1~1.8mのロッドをつなぎ合わせ、手動で排水管内に挿入して清掃 する方法である 。
最大30m程度である。
ウォ―タ―ラム法(圧縮空気の衝撃による方法)
閉塞した管内に水を送り、圧縮空気を一気に放出してその衝撃で閉塞物を除去する。
薬品による洗浄法
アルカリ性洗浄剤は水酸化ナトリウム等で、温水を加えると発熱して活性化し、排水管の有機性付着物を溶解する。
酸性洗浄剤は硫酸、塩酸等で、小便器配管の尿石等を除去する。
その他点検・清掃
- 通気管は、1年に1回程度定期的に系統ごとに異常がないか点検する。通気弁は可動部分の点検を行う。
- ル―フドレン回りのごみの除去・雨水ますの土砂の除去などを定期的に行う。
- 雨水ますの泥だめは、定期的に点検して土砂等を除去する。
- 掃除口は定期的に外してグリ―スなどを塗って、必要なときにすぐに外せるようにする。
排水設備における障害等
排水設備を長い間使用していると、下記に示すような様々な障害が発生する。代表的な障害をまとめてみました。
- 排水管内の詰まりによる排水不良・あふれ
- トラップの破封による排水管内の悪臭・衛生害虫の室内への侵入
- 阻集器の排水槽における排水中の残留物の腐敗による悪臭の発生
- 排水ポンプの故障による排水不良
- 排水機器・配管等の腐食による漏水・排水不良
- 阻集器・除害施設等の機能障害による排水水質の不良・作動不良等
破封とは
トラップの封水の蒸発などにより減少し、室内側と排水管側の空気が流通し得るような状態になること。
つまり、長い間使用されていない洗面台等ではトラップの封水が蒸発してなくなりそこから悪臭が発生します。
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