空気環境の調整18
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空気環境の調整18
エアロゾル(浮遊粒子)
エアロゾルとは「気体とその気体中に浮遊する固体もしくは液体の粒子」である。すなわち、エアロゾルは、粒子およびそれらが浮遊している気体の2つからなる2相系であり、ダスト(粉じん、固体)、ヒュ―ム(金属蒸気が冷却凝縮したもの、固体)、スモ―ク(煙、固体・液体混合)、ミスト(液体)等の現象を含む。
エアロゾル粒子と粒径
大気の微粒子の大きさは、一般に粒径で表現され、直径で表すことが多い。
液体のエアロゾル粒子は球形をしているが、固体の場合は一般的に複雑な形をしている。
まず、エアロゾル粒子の相当径とは?
粒子の形状が球形であれば、顕微鏡などで可視化することで求めることができます。
しかし形状が球形でない場合が実際には多い。そのため、可視化できるものは
形状を何らかの方法で算出される幾何相当径として、測定量として得られる仮想粒子を物理相当径として表す。
幾何相当径 | 幾何形状から算出 | 定方向径、円等価径 |
---|---|---|
物理相当径 | 同じ測定量を与える | 空気力学径、スト―クス径、光散乱径、電気移動度径 |
幾何相当径、物理相当径を問われる問題もたまに出題されますので幾何相当径は定方向径、円等価径のみです。
その他は物理相当径になりますので覚えましょう。
エアロゾル粒子の測定粒径
ウイルス | 0.003~0.05μm |
たばこ煙 | 0.01~1μm |
バクテリア(細菌) | 0.3~20μm |
真菌 | 1~10μm |
ダニアレルゲン | 1~20μm |
胞子 | 10~50μm |
セメントダスト | 3~100μm |
花粉 | 10~100μm |
雨滴(霧滴) | 2~70μm |
海岸砂 | 100~1,000μm |
フライアッシュ | 粒径は1~100μmの範囲に分布し、 平均粒径は20μm程度 |
硫酸ミスト | 1~10μm程度 |
ポイントはウイルスはずば抜けて小さい。
エアロゾル粒子の粒径分布
構成粒子の粒径と濃度の関係を粒径分布といい、単位体積中の個数分布、表面積分布、質量分布などがある。
個数分布とは、どの粒径の粒子の個数が多いかを意味する。表面積分布とはどの粒径の粒子の合計した表面積が多いかを意味し、質量分布は、どの粒径の粒子の合計した質量が多いかを意味する。
表面積分布は、粒子表面での反応の起こり易さを議論する場合に有効であり、微粒子の毒性の強さには、表面積分布が関係する。
個数分布では、粒子径0.01μmより少し小さいところの粒子が最も多く、質量分布では1~2μmを谷とした二山型分布を示す。微小粒子は人工的に発生したものが多く、粗大粒子は自然発生的なものが多い。
エアロゾル粒子の運動
エアロゾル粒子は、ランダムな運動をしている気体分子の衝突により不規則な運動をする。これをブラウン運動という。
ブラウン運動により粒子は、拡散に関するフィックの法則に従い流体中に拡散していく。フィックの法則に用いられる粒子の拡散係数は粒径に反比例し、結果として、拡散の速度は
粒径に反比例する。
すなわち、小さな粒子ほどブラウン運動による移動量が大きい。
※フィックの法則
物質の拡散に関する基本法則である。気体、液体、固体(金属)どの拡散にも適用できる。フィックの法則には、第1法則と第2法則がある。 この法則は、1855年にアドルフ・オイゲン・フィックによって発表された。フィックは拡散現象を、熱伝導に関するフ―リエ (1822) の理論と同じように考えることができるとしてこの法則を与えた。
浮遊粒子の抵抗
エアロゾルなどの浮遊粒子が流体から受ける抵抗力は、浮遊粒子の投影面積、流体の密度および浮遊粒子の流体に対する相対速度の2乗に比例する。
備考:投影面積とは見かけ状の面積のことを言います。
浮遊粒子の拡散・飛散
流れ には層流と乱流という2つの状態があります。
層流 は 流体 が規則正しく運動している流れのことです。それに対して流体が不規則に運動している乱れた流れは 乱流 と呼ばれます。
- 球形粒子の拡散係数は粒径に反比例する。
- 沈着した粒子が壁面から離れて再び気相に取り込まれる現象を再飛散という。
- 層流下でストークス領域の粒子の再飛散は、一定室内気流のもとではほとんど生じない。
レイノルズ数
レイノルズ数は流体力学において慣性力と粘性力との比で定義される無次元量である。流れの中でのこれら2つの力の相対的な重要性を定量している。
- 慣性力とは、静止している物体は静止し続けようとする力で、運動している物体は運動をし続けようとする力のことです。
- 粘性力とは、物体の粘りどのことです。
粒子の沈降とは
粒子の沈降とは、ある溶媒中に、溶媒にとけない粒子を入れた際に徐々に沈んでいく現象のことを指します。
粒子の沈降速度
球形の浮遊粒子が重力により沈降し、床面などの物体に到達するときの粒子の速度を終末沈降速度といい、球形粒子の重力による終末沈降速度は、粒径の2乗にに比例する。
つまり、球形粒子の粒径が大きくなると、終末沈降速度が大きくなる。
これは全ての物質には下方向に重力加速度が働き重力加速度は物体が大きくなるほど大きくなります。
そのことからもわかると思います。
赤字でかかれた部分は重要です。
浮遊粒子の抵抗係数とは
- 浮遊粒子の抵抗係数がレイノルズ数によらず一定の領域をニュートン域、浮遊粒子の抵抗係数がレイノルズ数に反比例する領域をストークス域という。
- 浮遊粒子の抵抗係数は、浮遊粒子が小さくなるほど、気体の分子運動を受けやすい。
電界中の浮遊粒子
- 電界中の電荷をもつ球形粒子の移動速度は、粒径に反比例する。
- 電界中の電荷をもつ粒子の移動速度を電界強度で除した値のことを、電気移動度という。
粒子の沈着と再飛散
エアロゾル粒子が気相中を移動し、壁面(固体・液体)に到達し、付着する現象を沈着という。
沈着した粒子が壁面から離れて再び気相に取り込まれる現象を再飛散という。
- 粒子の沈着に加わる外力には、重力・慣性力・静電気力・拡散などが挙げられる。
- 沈着速度は、単位時間当たりの沈着量を気中濃度で割ったもの。
- 流れ場に垂直な面は、重力と慣性力により大粒径の粒子、拡散により小粒径の粒子の沈着速度が大きい。
- 流れ場に平行な面は、当然ながら拡散が支配的で小粒径粒子の沈着速度が大きい。
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