建築物の環境衛生13
建築物衛生行政概論 建築物の環境衛生 空気環境の調整建築物の構造概論 給水及び排水の管理 清掃 ねずみ・昆虫等の防除
単位集 水質検査項目及び特定建築物の水質検査頻度 法令集 法改正 参考資料
建築物の環境衛生13
体熱平衡
人体の熱産生と熱放射のバランス(体熱平衡)によって決まる。
したがって、熱産生量と熱放散量が等しければ体温は一定(約37℃)に保たれる。←重要です。
- 熱産生量が熱放散量より大きくなれば体温は上昇する。
- 熱放散量が熱産生量より大きくなれば体温は低下する。
熱産生
熱産生は、摂取した食物(炭水化物、脂肪、タンパク質)の代謝による化学的エネルギーに由来する(よって熱産生量をエネルギー代謝量ともいう。)
基礎代謝量- 基礎代謝量とは、目覚めている状態で生命を維持するための必要な最小限のエネルギ―消費量のこと。
- エネルギ―代謝で、早朝覚醒後の空腹時で仰臥位(あおむけの姿勢)におけるものを基礎代謝という。
- 体表面積当たりの基礎代謝量は幼少期で最大となり、成人の約1.6倍、以降20歳代までに急速に低下し、その後は大きく変化はない。
- 季節の影響では基礎代謝量は夏低く冬高い。(年間の変動幅は約10%程度であるといわれています。)
- 安静座位時の代謝量は基礎代謝量の約20%増しであり、睡眠時の代謝は基礎代謝量の95%程度である。
- 日本人の30歳代の平均的基礎代謝量は、男子は約1,452kcal/日、女子は約1,167kcal/日である。
単位時間単位体表面積当たりでは、男子は約35.3kcal/m2/時、女子は約32.1kcal/m2/時となる。 - 熱産生量は人体の活動状態によって異なり安静であれば少なく、作業量が増せば増加する。
- 自転車の運転や機械操作等外部に対する機械的仕事(外部仕事)が行われれば、その分代謝エネルギが消費される。
- 低温の環境では、人体からの熱放散量が増加するので体熱平衡が維持するために熱産生量も増加するが、これはふるえによる熱産生が主なものである。
- 高温の環境では、汗の分泌増加や血液量の増加で、代謝量はわずかにに上昇する。
人間の作業状態と代謝量の関係を下表に示しております。
過去平成30年度問22で一度だけ出題されました。
後は例を参考にどの程度の作業の時にどの程度の代謝率かを見極めましょう。
おそらくビル管理士試験では表に書かれている例以外の出題はないと思います。
区分 | 平均代謝率 | 例 |
---|---|---|
安静 | 65W/m2 | 安静、仰臥位(仰向け) |
低代謝率 | 100W/m2 | 楽な座位:軽い手作業(書く、タイピング、描く、縫う、簿記) 手および腕の作業(小さいペンチツ―ル、点検、組み立てや軽い材料の仕分け) 腕と脚の作業 (普通の状態での乗り物の運転、足のストレッチやペダルの操作 |
中程度代謝率 | 165W/m2 | 継続した頭と腕の作業:釘打ち盛土 腕と脚の作業:トラックのオフロ―ド操縦 腕と胴体の作業:空気ハンマの作業、トラクタ組み立て、しっくい塗り 中くらいの重さの材料を継続的に持つ作業:草むしり、草堀り、果物や野菜を摘む 軽量や荷車や手押し車を押したり引いたりする:3.5~5.5km/hの速さで歩く |
高代謝率 | 230W/m2 | 強度の腕と導体の作業:材料を運ぶ:シャベルを使う:大ハンマ作業:のこぎりをひく:硬い木にかんなをかけたりのみで彫る 草刈り:掘る:5.5~7km/hの速さで歩く、重い荷物の荷車や手押し車を押したり引いたりする:コンクリ―トブロックを積む |
極高代謝率 | 290W/m2 | 最大速度の速さでとても激しい活動:斧を振るう 激しくシャベルを使ったり掘ったりする:階段を登る:走る、7km/hより速く歩く |
熱放散
熱放散は伝導、対流、、放射、蒸発によって行われる。- 伝導は、身体と直接接触する物体との間の熱移動現象であり、伝導熱量は接触皮膚面積、皮膚と接触物体表面の温度差に依存する。
- 対流は、流体の流れに伴う熱エネルギーの移動現象であり、その熱放散量は体表面と空気の間の温度差と空気の動き(風速)に依存する。
- 放射は、物体から熱エネルギーが電磁波として放射される現象であり、放射熱量は、有効放射面積、皮膚表面温度、皮膚、衣服の放射率、反射率、周囲壁面温に依存する。
- 蒸発は、水分が皮膚より気化するときに潜熱(580kcal/L)で皮膚表面の熱を奪う現象である。蒸発に放散される熱量は、蒸発皮膚表面積および皮膚表面と周囲環境の水蒸気圧差に依存する。
水分1gが蒸発すると0.585kcalの気化熱が蒸発面から奪われる。
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