建築物衛生行政概論8
建築物衛生行政概論 建築物の環境衛生 空気環境の調整建築物の構造概論 給水及び排水の管理 清掃 ねずみ・昆虫等の防除
単位集 水質検査項目及び特定建築物の水質検査頻度 法令集 法改正 参考資料
建築物衛生行政概論⑧
水道法 < 下水道法 < 浄化槽法 < 水質汚濁防止法 < 大気汚染防止法 < 騒音規制法 < 悪臭防止法 < 旅館業法、興行場法、理容師法など(生活衛生関係営業法令)
水道法
水道法の第1条に規定する目的
水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによって、清浄にして豊富低康な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。
ただし、臨時に施設されたものを除く。
「簡易水道事業」とは、給水人口が5千人以下である水道により、水を供給する水道事業をいう。
「簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、 水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。
ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。
「水道施設」とは、水道のための取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設及び配水施設 (専用水道にあっては、給水の施設を含むものとし、建築物に設けられたものを除く。以下同じ)であって、当該水道事業者、水道用水供給事業者又は専用水道の設置者の管理に属するものをいう。
「給水装置」とは、需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から 分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう。
「専用水道」とは、寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。ただし、他の水道から供給を受ける水のみを水源とし、かつ、その水道施設のうち地中又は地表に施設されている部分の規模が政令で定める基準以下である水道を除く。
一 100人を超える者にその居住に必要な水を供給するもの
二 その水道施設の1日最大供給量(1日に給水することができる最大の水量をいう。以下同じ。)が政令で定める基準を超えるもの
「水道事業者」とは、第6条第1項の規定による認可を受けて水道事業を経営する者をいう。
「水道用水供給事業者」とは、法第26条の規定による認可を受けて水道用水供給事業を経営する者をいう。
ここでのポイントは
- 簡易専用水道:有効水量10m3を超える。
- 簡易水道事業:給水人口が5千人以下
- 水道施設:取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設及び配水施設
- 給水装置:配水管から分岐して設けられた給水管及び直結する給水用具
水道法(主な水質基準)
- 一般細菌・・・1mL検水中、集落数100以下
- 大腸菌・・・・検出されないこと。
- 味・臭気・・・異常でないこと。
- pH値・・・・・5.8以上8.6以下
- 色度・・・・・5度以下
- 濁度・・・・・2度以下
- 鉄及びその化合物・・・0.3mg/L以下
- 銅及びその化合物・・・1.0mg/L以下
特に数字は注意
大腸菌はいかなる場合でも検出されないこと。
水道に関する水道条例
我が国の水道施設は、コレラ等の伝染病に対処することを課題として、その整備が始められ、明治23年には、水道事業の経営を 原則市町村とする水道条例が制定された。
幕末から明治の初期に海外より持ち込まれたコレラが大流行してわが国では多くの犠牲者が出た。
そのため、上記のような条例が制定された。下水道法
下水道の第1条に規定する目的この法律は、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もって都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的する。
赤字は覚えましょう。
以下も下水道法に関するポイントなので覚えましょう。
- 下水とは生活若しくは事業(耕作の事業を除く)に起因し、若しくは付随する廃水又は雨水をいう。
- 公共下水道の排水区域内の所有者、使用者又は占有者は、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水設備を設置しなければならない。
- 公共下水道管理者は、公共下水道を設置しようとするときは、あらかじめ、事業計画を定めなければならない。
- 公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、原則として市町村が行う。
- 公共下水道管理者は、公共下水道などに著しく悪影響を及ぼすおそれのある下水を継続して排除して公共下水道を使用する者に対し、除害施設の設置などの必要な措置をしなければならない旨を定めることができる。
- 下水道の終末処理場の維持管理に関することは、環境省と国土交通省の所管である。
- 公共下水道の構造は、政令で定める技術上の基準に適合しなければならない。
公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、原則として市町村が行う。 たまに都道府県が行うと出題されています。
公共下水道の設置は市町村です。
浄化槽法
目的
この法律は、浄化槽の設置、保守点検、清掃及び製造について規制するとともに、浄化槽
工事業者の登録制度及び浄化槽清掃業の許可制度を整備し、
浄化槽設備士及び浄化槽管理士の資格を定めること等により、公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水の適正な処理を図り、もつて生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。
浄化槽の管理等
浄化槽の工事、保守点検、清掃は、それぞれの技術上の基準に従って行う。その記録は3年間保存
- 浄化槽の管理者は、毎年1回、指定検査機関の水質検査を受ける。
- 処理対象人数が501人以上の浄化槽では、技術管理者を置く。
水質汚濁防止法
目的この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、 生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ)の 防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して 人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
大気汚染防止法
目的この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
騒音規制法
目的この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行うとともに、自動車騒音 に係る許容限度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
悪臭防止法
目的この法律は、工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行い、その他悪臭防止対策を推進することにより、 生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
特定悪臭物質
不快な臭いが原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質をいう。
- アンモニア
- メチルメルカプタン
- 硫化水素
- 硫化メチル
- トルエン
- アセトアルデヒド
水質汚濁防止法により、人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質
- 六価クロム化合物
- シアン化合物
- 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
- カドミウムとその化合物
- ポリ塩化ビフェニル
- トリクロロエチレン
- カドミウム・・・・イタイイタイ病
- 有機水銀・・・・・水俣病
この問題は良く人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質に定められていないものを選ぶ問題の出題が出る傾向にあります。
過去に出された問題では- 亜鉛
- 錫(すず)
- 鉄
亜鉛・錫(すず)・鉄は人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質に定められていない
↑覚えましょう。
旅館業法、興行場法、理容師法など(生活衛生関係営業法令)
- 興行場法
- 興行場とは、映画、演劇、音楽、スポ―ツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる施設
- 旅館業法
- 旅館業とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿泊営業及び下宿営業をいう。
- 公衆浴場法
- 公衆浴場とは、温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設をいう。
- 食品衛生法
- 食品衛生法で定める営業とは、業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売することをいう。
- 興行場法
- 営業者、興行場について、換気、照明、防湿及び清潔その他入場者の衛生に必要な措置を 講じなければならない。
- 旅館業法
- 営業者は、営業の施設について、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の 衛生に必要な措置を講じなければならない。
- 公衆浴場法
- 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔、その他 入浴者の衛生及び風記に必要な措置を講じなければならない。
- 興行場は換気、照明、防湿及び清潔
- 旅館業法は換気、採光、照明、防湿及び清潔
- 公衆浴場法は換気、採光、照明、保温及び清潔
営業に関して都道府県知事等の許可の要るもの
営業に関して都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては市町又は区長)の許可の要るもの
- 興行場法
- 旅館業法
- 公衆浴場法
- 食品衛生法
営業に関して都道府県知事等に届け出でなければならないもの
営業に関して都道府県知事に届け出なければならないもの
- 理容師法
- 美容師法
- クリ―ニング業法
上記許可と届出は覚えましょう。
つまり、興行場、飲食店、旅館、公衆浴場などは許可を必要とします。
クリ―ニング店や美容所や理容所は届出が必要になります。
健康増進法の目的(第一条)
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進 の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の 改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。
健康増進法の改正
健康増進法が改正され、2020年4月に全面施行されました。
従ってビル管理士試験でも今後出題される傾向にありますので掲載いたします。平成30年の健康増進法の改正では受動喫煙の防止の強化が行われ、原則として、学校・病院・児童福祉施設での敷地内の禁煙の徹底が図られている。
受動喫煙の防止(第二十五条)
学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店、 その他の多数の者が利用する施設を管理するものは、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準する環境において、他人のたばこ の煙をすわされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
健康増進法で定める受動喫煙防止規定の対象となる特定施設の区分について
特定施設は「第一種施設」「第二種施設」「喫煙目的施設」に分けられる(法第28条)。この区分に従い、禁煙や受動喫煙防止等の処置が規定されている。
第一種施設は、子どもや患者等に特に配慮が必要な施設
- 学校
- 児童福祉施設
- 病院・診療所
- 行政機関の庁舎等
第ニ種施設は第一種施設以外の施設
- 事務所
- 工場
- ホテル、旅館
- 飲食店
- 旅客運送用事業船舶、鉄道
- 国会、裁判所等
ただし、ホテルの客室など、人の居住の用に供する場所は適用外とされる。
「第二種施設」において喫煙を認める場合は、喫煙専用室などの設置が必要になる。
なお、経過措置として、既存の経営規模の小さい飲食店(個人又は中小企業が経営する客室面積が100m2以下のもの)は、別に法律を定める日まで、標識を掲示することで喫煙可能とされている。
喫煙目的施設
喫煙目的施設は喫煙可能であるが、喫煙を主目的とするバーやスナック、公衆喫煙所などに限定される。
- 喫煙を主目的とするバ―、スナック等
- 店内で喫煙可能なたばこ販売店
- 公衆喫煙所
ただし、喫煙可能部分には、
- 喫煙可能な場所である旨の標識の掲示が義務付けとなります。
- 来店客・従業員ともに20歳未満は立ち入れません。
参考資料を掲載しておきます。
買い物は楽天市場