令和6年度建築物の環境衛生「過去問題解説5」
問題41
ヒトと水に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 身体全体の水分の収支として、尿や汗などにより排出した水分を補うのは、飲料による水分、食物中に含まれる水分、そして体内で生ずる代謝水である。
- 体重の1%以上の水分の欠乏があると喉の渇きが出現する。
- ヒトは、食料がなくても飲料水があれば数十日生きることができる。
- 成人のヒトにおいて、体重の約2/3は水分からなる。
- 体内では細胞内液より細胞外液のが多い。
答え【5】
体内では細胞外液より細胞内液のが多い。細胞内液は全体液の約3分の2(約40%)を占め、細胞外液は約3分の1(約20%)を占める。
水と健康
- 血液成分の多くは水分である。
- 身体の中の水分である体液は体重の50~70%(体重50kgの人の水分はおよそ30kg前後)
- 幼若であるほど体内の水分の割合は高く、一般に女性の方が体内の水分量は少ない。加齢とともに、体内の水分量は少なくなる。
- 人が必要とする水分の量は普通1日約1.5Lで、体重当たりに換算すると小児は成人の3~4倍の水分量が必要
- 通常の食事及び水分摂取の状態で、成人が1日に排泄する尿の量は1~2Lである。
- 体内で生成された老廃物の排泄のため、成人では1日に最低0.4~0.5Lの尿が必要である。
- 体内における食物の代謝過程で生成される水は通常成人で1日約0.3Lである。
体液は細胞の内部に含まれる細胞内液と、細胞の外に存在する細胞外液とに分けられる。
細胞内液は全体液の約3分の2(約40%)を占め、細胞外液は約3分の1(約20%)を占める。細胞外液の代表的なものは血液(血漿(けっしょう))であるが、そのほかに間質液、リンパ液などがある。細胞内液の組成はカリウムイオンが多く、細胞外液にはナトリウムイオンおよび塩素イオンが多い。
血液成分の多くは水分である。血液は体内に摂取・吸収された栄養素や酸素、そしてタンパク質、ホルモン、酵素、抗体、血液凝固因子等を含み、血液循環によってそれらを身体の各部位に運搬する。
血液成分の40~50%は赤血球、白血球及び血小板等の有形成分であり、残りの55~60%は血漿(しょう)の液体成分であり、液体成分の90%は水分である。有形成分の中では酸素を運搬する赤血球が大部分を占め、白血球や血小板は数%である。
水分の欠乏率と脱水症状
| 水分欠乏率「%」 | 脱水症状 |
|---|---|
| 1 | のどの渇き |
| 2 | 強い渇き、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮 |
| 4 | 動きのにぶり、皮膚の紅潮化、いらいらする、疲労及び嗜眠、感情鈍麻、吐気、感情の不安定 |
| 6 | 手、足の震え、熱性抑うつ症昏迷、頭痛、熱性こんぱい、体温上昇、脈拍、呼吸数の増加 |
| 8 | 呼吸困難、めまい、チアノ―ゼ、言語不明瞭、疲労増加、精神錯乱 |
| 10~12 | 筋けいれん、平衡機能失調、失神、舌の腫張、講妄および興奮状態、循環不全、血液濃縮及び血液の減少、腎機能不全 |
| 15~17 | 皮膚がしなびれてくる。飲込み困難、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚の感覚鈍化舌がしびれる、 |
| 18 | 皮膚のひび割れ、尿生成停止 |
| 20%以上 | 死亡 |
問題42
レジオネラ症に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 病原体は、自然界の土壌や淡水中等に生息している。
- エアロゾル飛散により感染が生じる。
- 閉鎖的空間では感染のリスクが高い。
- ヒトからヒトへの感染が起こる。
- 喫煙者・慢性呼吸器疾患患者などでは発症しやすい。
答え【4】
レジオネラ症は主に給水・給湯設備、冷却塔、循環式浴槽、加湿器、水景施設、蓄熱槽等に供した水から感染です。
レジオネラ属菌
レジオネラ属菌は土壌や地下水などの自然界に広く存在している。
一般に20~50℃で繁殖し、人の体温に近い36℃前後で最も良く繁殖するが、熱に弱く、55℃ 以上で死滅する。 ポイント・・・・55℃で死滅するので給湯温度を55℃以上確保する必要があるわけ、上記レジオネラ属菌も丸暗記すること。 レジオネラ症は間接伝播(空気感染)する感染症である。(4類感染症に指定されている。)感染源
レジオネラ属菌の感染減は主に給水、給湯設備、冷却塔、循環式浴槽、加湿器、蓄熱槽など感染経路
エアロゾルや汚染水の吸引、径口感染などレジオネラ防止対策
- 外部からのレジオネラ菌の侵入を防ぐ
- 水温を20℃以下に保つ
- 給水機器の配管類のごみ、垢を防ぐ
- 残留塩素の確保
- 定期的に点検と清掃
- 給湯の末端温度55℃以上を確保
- 貯水槽の滞留時間を短くする
- エアロゾルを発生させる機器は使わない
- 殺菌剤や防食剤の注入
問題43
再興感染症に分類される感染症は次のうちどれか。
- AIDS (後天性免疫不全症候群)
- クリプトスポリジウム症
- デング熱
- SARS (重症急性呼吸器症候群)
- エボラ出血熱
答え【3】
(3)のデング熱が再興感染症に分類されます。
再興感染症とは既知の感染症で、すでに公衆衛生上問題とならない程度にまで患者数が減少していた感染症のうち、再び流行し始め患者数が増加した感染症。
と定義されています。
主な再興感染症
- 結核
- マラリア
- デング熱
- コレラ
- 狂犬病
- ペスト
- 黄熱病
- 炭疽
- 百日咳
問題44
クリプトスポリジウム症に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- クリプトスポリジウム症の病原体は原虫である。
- クリプトスポリジウム症は、人獣共通感染症である。
- 地表水を水道の原水としている場合は汚染のリスクが高い。
- クリプトスポリジウム症の発症の潜伏期間は3~ 10日である。
- 水道におけるクリプトスポリジウムの不活化は、一般にオゾンが用いられる。
答え【5】
水道におけるクリプトポリジウムの不活性には、一般に紫外線が用いられる。
問題45
薬液消毒に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 消毒用のエタノール濃度は、100 %が最も効果が高い。
- 消毒用のエタノールは、芽胞に対しても効果が期待できる。
- 逆性石けんは、緑膿菌や結核菌に対して有効である。
- ホルマリンは、全ての微生物に有効である。
- 0.01%次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、一般に手指消毒に用いられる。
答え【4】
正しいのは(4)のホルマリンは、全ての微生物に有効である。
| 薬品名 | 用途 | 効果 | 備考 |
|---|---|---|---|
| クレゾ―ル「3%」 | ほとんどの物件(飲食物、食器には不適) | 芽胞、ウイルスには無効 | 手の消毒には1~2%消毒液 |
| 次亜塩素酸ナトリウム | 井戸、水槽、汚水、し尿、その他廃棄物 | 細菌、ウイルスに有効、芽胞には効果が得られにくい | 有機物が多いと効力は減退 |
| ホルマリン | 衣服、寝具、ガラス器 | すべての微生物に有効 | 皮膚、粘膜を強く刺激するので手指の消毒に不適 |
| 逆性石鹸 | 手指、ガラス器、金属器具 | 結核菌、ウイルスには無効 | 有機物が多い場合は不適 |
| 消毒用エタノ―ル | 手指、皮膚、医療器具 | 芽胞、一部のウイルスには無効 | ホルマリンの存在は殺菌力を減少させる。 70%が至適濃度 |
| 酸化エチレン (エチレンオキサイド) | ガス減菌 |
















