令和5年度建築物の環境衛生「過去問題解説3」
問題31
オゾンに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 水に溶けにくい。
- 紫外線による光化学反応で生成される。
- (公社)日本産業衛生学会は、作業環境におけるオゾンの許容濃度を示している。
- 吸入すると肺の奥まで達し、肺気腫を起こすことがある。
- 無臭である。
答え【5】
オゾンは特有の臭気を有する。(無臭ではありません。)
オゾンは光化学オキシダントの主成分であり、独特の刺激臭を持った青い気体で
水に溶けにくく肺の奥まで侵入する。
落雷や放電でもオゾンは発生するが、人間の環境に影響する大部分のオゾンは自動車やその他燃焼過程の排気ガス中に含まれている炭化水素と窒素酸化物の光化学
反応の結果として生成される。
室内のオゾン量に重要な影響を与えそうな発生源が、高電圧を利用したコピ―機、レ―ザ―プリンタ―、コロナ放電を伴う静電式空気清浄機である。
オゾンは酸化力の強い物質で、オゾン濃度が0.3~0.5ppm程度となると肺や気道粘膜に刺激し始める。
問題32
健康増進法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特定施設の管理権原者は、法で定められた禁煙エリアに喫煙専用器具及び設備(灰皿等)を利用可能な状態で設置してはならない。
- 特定施設の管理権原者は、法で定められた禁煙エリアで喫煙している者に対し、喫煙の中止又は禁煙エリアからの退出を求めるよう努めなければならない。
- 病院や学校は、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準を満たしていたとしても、屋内に喫煙場所を設けることはできない。
- 受動喫煙防止を目的として罰則規定が設けられている。
- 加熱式たばこについては、規制対象とならない。
答え【5】
健康増進法では、喫煙は「人が吸入するため、たばこを燃焼させ、又は加熱することにより煙(蒸気を含む。)を発生させることをいう」と規定されています。従って加熱式たばこも規制対象になります。
問題33
音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 音は最終的に聴神経を経て大脳に伝わり音として認識される。
- 同じ音でも、聞く人によって、快適な音になったり、騒音になったりする。
- ヒトが聞き取ることができる音の周波数帯は、およそ20Hz~20kHz程度と言われている。
- 音の伝達において気導とは、空気の振動による音が鼓膜を通じて伝達されることである。
- 騒音職場などの定期健康診断における聴力検査では、スクリーニングとして500Hzと2,000Hzの聴力レベルが測定される。
答え【5】
騒音職場などの定期健康診断における聴力検査では、スクリーニングとして1,000Hzと4,000Hzの聴力レベルが測定される。- 人の耳が音として聞こえる周波数はおよそ20~20000Hzである。
- 人の耳に感度(敏感)のよい周波数は4000Hzである。
- 高齢者は、高い周波数の音は聞き取りにくい。(加齢による聴力の低下は高い周波数から始まり、一般に聴力の低下の度合いは女性より男性のほうが大きい。)
- オクタ―ブとは2音の周波数が2倍になる間隔をいう。
- 普通の会話で使われている音声周波数は90Hz~4000Hzの範囲である。
問題34
騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 騒音性難聴と加齢性難聴は医学的に異なる。
- 慢性の騒音曝露により、徐々に会話音域の聴力低下が進行する。
- 騒音性難聴は、中耳の伝播が障害されることによって起こる。
- 環境騒音に関する基準は、住民の心理的影響や聴取妨害、睡眠妨害等を参考に決められる。
- 会話の音声レベルから騒音のレベルを引いた値が20dB以上あれば、十分な了解度が得られる。
答え【3】
騒音性難聴は、内耳の感音が障害されることによって起こる感音性難聴である。問題35
振動に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 振動レベルの単位はHzで示される。
- 振動は全身に分布する交感神経末端の受容器により知覚される。
- 全身振動は、水平振動のみで評価される。
- 長距離バスやフォークリフトの運転などにより、局所振動障害が起こる。
- 振動を原因とする白ろう病では、指に境界鮮明な蒼白化状態が発生する。
答え【5】
- 振動レベルの単位はdBで示される。
- 振動は全身に分布する知覚神経末端の受容器により知覚される。
- 全身振動は、鉛直振動と水平振動に分けて測定・評価される。
- 長距離バスやフォークリストの運転などにより、全身振動障害が起こる。
- 振動は全身振動と局所振動に分けられる。
- 全身振動は、鉛直振動と水平振動に分けて測定・評価する。
- 人は鉛直振動のほうが 水平振動より敏感に感じる
- 振動による人の感覚は、周波数によって異なる。
- 鉛直振動では4~8Hzの振動に最も感じやすい。水平振動では1~2Hzである。
- 振動の知覚は、皮膚、内臓、間接等、人の全身に散らばる知覚神経末端受容器によりなされる。全身振動の場合には、内耳の前庭器官、三半規管が加速度の知覚に関係している。
- 人間の周波数による振動感覚の違いを補正して計測した振動加速度レベルを周波数補正加速度レベルまたは振動レベルという。
- 振動レベル55dBは地震の震度段階0(無感) に相当し、振動感覚閾値という。
- 局所振動ではレイノ―症候群(白ろう病)が生ずる場合がある。
- 振動の単位はdBである。