令和5年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
ヒトの温熱的快適性に影響する因子として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 室内の気流
- 室内の相対湿度
- 室内の二酸化炭素濃度
- 着衣量
- 季節
答え【3】
室内の二酸化炭素濃度は、ヒトの温熱的快適性に影響する因子に該当しません。二酸化炭素は、室内空気の汚染や換気の総合指標として用いられます。
問題27
ヒトのがんに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ヒトのがんの3分の2以上は、食事や喫煙等の生活習慣が原因とされる。
- がんは我が国の死因のトップであり、高齢化に伴い死亡者数が増え続けている。
- プロモータはDNAに最初に傷を付け、変異を起こさせる物質である。
- ウイルスが発がんの原因となることがある。
- ホルムアルデヒドには発がん性が認められる。
答え【3】
プロモータとは、細胞を増殖させるなど、がん化を促進する物質をいいます。DNAに最初に傷を付け、変異を起こさせる物質であるのはイニシエータのことです。
問題28
アレルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- アレルギーは、ヒトに有害な免疫反応である。
- アレルギー反応の発現には、体内の肥満細胞の働きが関係するものがある。
- 低湿度は、気管支喘息の増悪因子である。
- 予防には、ダニや真菌が増殖しないよう、換気や清掃が重要である。
- 建築物衛生法において、ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が定められている。
答え【5】
建築物衛生法では、ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が定められていません。アレルギ―
近年、アレルギ―性鼻炎、花粉症、アトピ―皮膚炎、気管支喘息をはじめとするアレルギ―疾患が増加しており、国民の3割程度が何らかのアレルギ―疾患に罹患しているといわれている。
アレルゲン
真菌(カビ)、花粉、ペットの毛、ゴキブリの虫体などほとんどの有機粉じんはアレルゲンとなるが、最も多いのはヒョウヒダニ等の屋内塵性のダニ由来の粉じんである。アレルゲンとなる真菌類としては、カンジダ、アルテルナリア、グラドスポリウム、アスベルギルス、ペニシリウムなどがある。
アレルゲンとはアレルギ―疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原のこと。
アレルゲン対策アレルゲン対策としては、室内の温湿度を適正にして、ダニ、真菌の増殖を防ぐ。
ダニの増殖を促すカ―ペット等を必要以上に使用しない。清掃の励行等の建築物の維持管理における配慮が必要である。
気管支喘息の原因となるアレルゲンは主にヒョウヒダニである。
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これ重要です。
ダニは高温多湿になる夏に多いので、アレルゲン量はダニの死骸や糞等が蓄積された秋に最大になる。
(重要)ダニは梅雨の時期が一番活動が活発になります。 秋にダニによるアレルギ―が増える理由は、6月~7月にかけて増えたダニが、 9月に気温・湿度が下がることで大量に死ぬことにより、その死骸が増えるのが原因と言われて います。 ダニ・カビ・ペット・花粉アレルギ―は粒子物質としてみた場合、その大部分は数μmの大きさで、エアフィルタによる除去が有効であると考えられている。問題29
建築物における室内空気とその環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一般の室内環境下では、窒素の人体への影響はない。
- 一般的な室内空気中の酸素濃度は、約21%である。
- 良好な室内空気環境を維持するためには、1人当たり10m3/h以上の換気量が必要である。
- 建築物衛生法では、粒径(相対沈降径)がおおむね10μm以下の粉じんを測定対象としている。
- 花粉は、エアロゾル粒子として室内に存在し得る。
答え【3】
建築基準法では、良好な室内空気環境を維持するためには、1人当たり20m3/h以上の換気量が必要である。と規定されています。
因みに
建築物衛生法(ビル管理法)では一酸化炭素濃度(6ppm以下)や二酸化炭素濃度(1000ppm以下)の基準を設けることで、適切な換気量を確保することを求めています。
この基準を実現するために、人体から発生する二酸化炭素に基づき、「一人当たり1時間につき30m3/h以上」の換気量が必要と示しております。
問題30
建築物衛生法におけるホルムアルデヒド量の基準値として、正しいものは次のうちどれか。
- 0.08mg/m3以下
- 0.1mg/m3以下
- 0.15mg/m3以下
- 0.5mg/m3以下
- 1mg/m3以下
答え【2】
建築物衛生法におけるホルムアルデヒド量の基準値は0.1mg/m3以下である。