令和5年度建築物衛生行政概論「過去問題解説2」
問題6
建築物衛生法に基づき備え付けておかなければならない帳簿書類とその保存等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特定建築物の所有者等は、環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておかなければならない。
- 平面図や断面図は、当該建物が解体されるまでの期間保存しなければならない。
- 実施した空気環境の測定結果は、5年間保存しなければならない。
- 実施した遊離残留塩素の検査記録は、5年間保存しなければならない。
- 受水槽を更新した際の給水の系統図は、5年間保存しなければならない。
答え【5】
この問題は次のことを覚えておきましょう。
- 帳簿書類は5年間
- 図面は永久に保存
(建築物衛生法第20条第1項第2号) 従って
- 平面図や断面図は永久的
- 空気環境の測定結果は、5年間
- 遊離残留塩素の検査記録は、5年間
- 給水の系統図は永久的
また帳簿書類の備えておかなければならないのは特定建築物の所有者等です。
建築物環境衛生管理技術者ではありませんので間違えないようにしましょう。
問題7
建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の測定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ホルムアルデヒド以外の測定は、2か月以内ごとに1回、定期に実施する。
- ホルムアルデヒドの測定結果が基準値を超えた場合は、空調・換気設備を調整するなど低減措置を実施後、速やかに測定を行う。
- 浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率及び二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値とする。
- 通常の時間中に、各階ごとに、居室の中央部で実施する。
- 特定建築物において大規模修繕を行った場合は、完了後、その使用を開始した日以降最初に到来する6月1日から9月30までの期間中に1回、ホルムアルデヒドの測定を行う。
答え【2】
建築物環境衛生管理基準に以下のような記載がされています。- ホルムアルデヒドの量の測定結果が管理基準を超過した場合は、空気調和設備又は機械換気設備を調整し、外気導入量を増加させるなど、室内空気中におけるホルムアルデヒドの量の低減策に努める必要があります。さらに、翌年の測定期間中に1回、再度、当該測定を実施することが必要です。
空気環境の測定方法
- 通常の時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測定
- ホルムアルデヒドの量を除く項目については2か月以内ごとに1回、定期に、測定しなければならない。
- ホルムアルデヒドは建築基準法第二条にいう大規模の修繕又は大規模の模様替えを行ったとき、その使用を開始した日以降最初に到来する6月1日から9月30日までの 期間中に1回測定する。
ホルムアルデヒドとは家具や建築資材、壁紙を貼る為の接着剤、塗料などに含まれている化学物質の一つです。
防腐剤としても使用されます。
従って大規模な模様替えや修繕した時に測定が義務つけられています。
しかも夏場に発生するといわれているので、夏場に測定を行います。
空気環境の測定値
- 粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素・・・・・・平均値
- 温度、湿度、気流・・・・・・・・瞬時値
です。
問題8
建築物環境衛生管理基準に基づく飲料水に関する衛生上必要な措置等における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 飲料水として供給する水については、飲用目的だけでなくこれに類するものとして、炊事用、手洗い用その他、人の生活の用に水を供給する場合も含めることとされている。
- 水道事業者が供給する水(水道水)以外の地下水等を原水とする場合にも、水道水と同様の水質を確保し、塩素消毒等を行うことが必要である。
- 貯湯槽の清掃は、1年以内ごとに1回、定期に行う。
- 使用開始後の飲料水の水質検査は、原水が水道水の場合と地下水の場合、項目と頻度は同じである。
- 遊離残留塩素の検査を7日以内ごとに1回、定期に行う。
答え【4】
(4)の原水が水道水の場合と地下水の場合、項目と頻度は異なります。
下記のここがポイントを確認してください。
検査回数 | 6ヶ月ごとに1回 | 1年ごとに1回 (6月1日~9月30日) |
---|---|---|
検査項目 | 一般細菌 大腸菌 鉛及びその化合物※ 亜硝酸態窒素 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 亜鉛及びその化合物※ 鉄及びその化合物※ 銅及びその化合物※ 塩化物イオン 蒸発残留物※ 有機物(全有機炭素(TOC)の量) pH値 味 臭気 色度 濁度 |
シアン化物イオン及び塩化シアン 塩素酸 クロロ酢酸 クロロホルム ジクロロ酢酸 ジブロモクロロメタン 臭素酸 総トリハロメタン トリクロロ酢酸 ブロモジクロロメタン ブロモホルム ホルムアルデヒド |
備考 | ● 給水栓における水の色、濁り、におい、味その他の状態より供給する水に異常を認めたとき→必要な項目について検査 ※の項目は、水質検査の結果、水質基準に適合していた場合は、その次の回の水質検査時に省略可能。 |
検査回数 | 6ヶ月ごとに1回 | 1年ごとに1回 (6月1日~9月30日) |
3年ごとに1回 |
---|---|---|---|
検査項目 | 一般細菌 大腸菌 鉛及びその化合物※ 亜硝酸態窒素 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 亜鉛及びその化合物※ 鉄及びその化合物※ 銅及びその化合物※ 塩化物イオン 蒸発残留物※ 有機物(全有機炭素(TOC)の量) pH値 味 臭気 色度 濁度 |
シアン化物イオン及び塩化シアン 塩素酸 クロロ酢酸 クロロホルム ジクロロ酢酸 ジブロモクロロメタン 臭素酸 総トリハロメタン トリクロロ酢酸 ブロモジクロロメタン ブロモホルム ホルムアルデヒド |
四塩化炭素 シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン ジクロロメタン テトラクロロエチレン トリクロロエチレン ベンゼン、フェノール類 |
備考 | ● 給水開始前→水道水質基準に関する省令の全項目(51項目) ● 給水栓における水の色、濁り、におい、味その他の状態より供給する水に異常を認めたとき→必要な項目について検査 ● 周辺の井戸等における水質の変化その他の事情から判断して、水質基準に適合しないおそれがあるとき→必要な項目について検査 ※の項目は、水質検査の結果、水質基準に適合していた場合は、その次の回の水質検査時に省略可能。 |
問題9
建築物環境衛生管理基準に基づく雑用水に関する衛生上必要な措置等における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 雑用水槽の清掃は、雑用水槽の容量及び材質並びに雑用水の水源の種別等に応じ、適切な方法により、定期に行う。
- 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を、100万分の0.1以上に保持する。
- 遊離残留塩素の検査を7日以内ごとに1回、定期に行う。
- pH値、臭気、外観の検査を7日以内ごとに1回、定期に行う。
- 一般細菌の検査を2か月以内ごとに1回、定期に行う。
答え【5】
一般細菌の検査は含まれていません。
正確には
大腸菌の検査を2か月以内ごとに1回、定期に行う。
維持管理基準
項目 | 基準 | 検査 |
---|---|---|
pH値 | 5.8以上8.6以下であること | 7日以内ごとに1回 |
臭気 | 異常でないこと | |
外観 | ほとんど無色透明であること | |
大腸菌 | 検出されないこと | 2か月以内ごとに1回 |
濁度 | 2度以下であること |
問題10
建築物環境衛生管理技術者免状に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 免状の交付を受けている者は、免状の再交付を受けた後、失った免状を発見したときは、5日以内に、これを厚生労働大臣に返還する。
- 免状を受けてる者が死亡した場合は、戸籍法に規定する届出義務者は、1か月以内に、厚生労働大臣に免状を返還する。
- 免状の交付を受けている者は、免状を破り、よごし、又は失ったときは、厚生労働大臣に免状の再交付を申請することができる。
- 厚生労働大臣は、免状の返納を命ぜられ、その日から起算して2年を経過しない者には、免状の交付を行わないことができる。
- 免状の交付を受けている者は、免状の記載事項に変更が生じたときは、厚生労働大臣に免状の書換え交付を申請することができる。
答え【4】
(4)の厚生労働大臣は、免状の返納を命ぜられ、その日から起算して1年を経過しない者には、免状の交付を行わないことができる。以下のことは間違えやすいので気を付けましょう。
- 免状の返納を命ぜられ、その日から起算して1年を経過しない者
- この法律またはこの法律に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられた者で、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しないもの。
従って執行が2年で返納が1年と覚えておきましょう。