令和5年度建築物衛生行政概論「過去問題解説1」
問題1
日本国憲法第25条に規定されている次の条文の「 」内に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。
第25条 すべて国民は、健康で「 ア 」な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての「 イ 」について、「 ウ 」、社会保障及び「 エ 」の向上及び増進に努めなければならない。
- (ア)文化的―――(イ)生活部面―――(ウ)社会福祉―――(エ)公衆衛生
- (ア)社会的―――(イ)国民―――――(ウ)環境衛生―――(エ)生活環境
- (ア)文化的―――(イ)国民―――――(ウ)環境衛生―――(エ)生活環境
- (ア)社会的―――(イ)国民―――――(ウ)社会福祉―――(エ)公衆衛生
- (ア)文化的―――(イ)生活部面―――(ウ)環境衛生―――(エ)公衆衛生
答え【1】
ビル管理士試験の定番の問題です。日本国憲法第25条の条文です。
第25条 すべて国民は、健康で「 文化的 」な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての「 生活部面 」について、「 社会福祉 」、社会保障及び「 公衆衛生 」の向上及び増進に努めなければならない。
赤字は確実に覚えましょう。
まず、覚えるポイントとしては
ビル管理士試験では向上及び増進に努めなければならない。
とあればその前には公衆衛生が入ります。
後は社会福祉と社会保障の順番が逆にならないように注意しましょう。
問題2
次に掲げる法律と、法律を所管する行政組織との組合せとして、誤っているものはどれか。
- 地域保健法―――――――――――――厚生労働省
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律――環境省
- 学校保健安全法―――――――――――文部科学省
- 土壌汚染対策法―――――――――――国土交通省
- 健康増進法―――――――――――――厚生労働省
答え【4】
土壌汚染対策法は試験で初めての出題になります。
土壌汚染対策法の所管は環境省になります。
法令を所管する省庁の一覧
この問題も毎年出題されています。
今まで出題されてきた法令とその法令を所管する官庁をまとめてみました。
これは、覚えましょう。
官庁 | 法令 |
---|---|
厚生労働省 |
|
環境省 |
|
国土交通省 |
|
経済産業省 | 電気事業法 |
総務省 | 消防法 |
文部科学省 | 学校保健安全法 |
※下水道法のうち終末処理場の維持管理は環境省、国土交通省の共管である。
公立学校の学校保健事務は教育委員会の所轄
私立学校は都道府県知事である。
問題3
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「建築物衛生法」という。)に基づく特定建築物の用途に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 興行場は、興行場法に基づく興行場をいう。
- 旅館は、旅館業法により許可を受けた施設に限られる。
- 学校は、学校教育法に基づく学校に限られる。
- 博物館は、博物館法に基づく博物館に限らない。
- 図書館は、図書館法に基づく図書館に限ららない。
答え【3】
学校には類似の教育を行う施設や研修を行うための施設(研修所)も該当するとあり学校教育法に基づく学校に限られるわけではありません。
特定建築物の種類
興行場 | |
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興行場法に定義される興行場をいい、映画・演劇・音楽・スポ―ツ・演芸又は観せ物を公衆に見せ、又は聞かせる施設 | 備考: |
百貨店 | |
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大規模小売店舗立地法第2条に規定する大規模小売店舗(飲食店業を除き、物品加工修理業を含む) | 備考:店舗のうち特に大規模なものス―パ―マ―ケット・疑似百貨店を含む |
集会場 | |
---|---|
会議・社交等の目的で公衆の集合する施設をいい、公民館・市民ホ―ル・各種の会館・結婚式場等 | 備考: |
図書館 | |
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図書・記録・その他必要な資料を収集し・整理し・保存して、公衆の利用に供することを目的とする施設 | 備考:図書館法に規定するものに限らない |
博物館・美術館 | |
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歴史・芸術・民俗・産業・自然科学・美術等に関する資料を収集し・整理し・保存して、公衆の利用に供することを目的とする施設 | 備考:博物館法に規定するものに限らない |
遊技場 | |
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設備を設けて、公衆に麻雀・パチンコ・卓球・ボウリング・ダンス・その他の遊技をさせる施設 | 備考:体育館・その他スポ―ツ施設は含まれない |
店舗 | |
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卸売・小売店等の物品販売業の他・飲食店・理容所・美容所・その他サ―ビス業に係る店舗を広く含む | 備考: |
事務所 | |
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事務をとることを目的とする施設をいう。名称にかかわらず事実上事務を行っていると同視される施設も該当する | 備考:銀行等は店舗と事務所の両方の用途を兼ねるとして把握される |
学校 | |
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小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校・盲学校・聾学校・養護学校・幼稚園・専門学校・各種学校等 | 備考:類似の教育を行う施設や研修を行うための施設(研修所)も該当する |
旅館 | |
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旅館業法第2条第1項に定義する旅館業を営むための施設(旅館、ホテル等) | 備考:寄宿舎は含まれない |
問題4
建築物衛生法に基づく特定建築物の用途として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 結婚式場
- 理容所
- 認可保育園
- 公民館
- 社交ダンスホール
答え【3】
特定用途に含まれないのは認可保育園になります。この問題も問題2の解説を見れば分かるように
- 結婚式場・・・集会場
- 理容所・・・・店舗
- 公民館・・・・集会場
- 社交ダンス・・遊技場
問題5
建築物衛生法に基づく特定建築物の届出等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特定建築物が使用されるに至ったときは、その日から1か月以内に届け出る。
- 届出事項は、建築物衛生法施行規則に定められている。
- 届出を行う者は、特定建築物の所有者等である。
- 届出事項に変更が生じる場合は、1か月前までに届け出る。
- 届出をせず、又は虚偽の届出をした場合には、30万円以下の罰金の適用がある。
答え【4】
まず、届出となれば1か月以内に届け出る。とビル管理士試験では覚えておきましょう。(建築物衛生法第5条第3項)
特定建築物の届け出
特定建築物は都道府県知事等 の届け出が必要。
特別区(東京23区)では区長に、政令市、中核市、一部の市では市長に提出する。
- 原則として、特定建築物の所有者(区分所有者を含む。)
- 所有者以外では、その建築物全部の管理について権原を有する者。
届け出事項
- 特定建築物の名称
- 特定建築物の所在場所
- 特定建築物の用途
- 特定建築物の延べ面積
- 特定建築物の構造設備の概要
- 特定建築物の維持管理権原者の氏名及び住所等
- 建築物環境衛生管理技術者の氏名、住所及び免状番号
- 特定建築物が使用されるに至った年月日
- 特定建築物の所有者等の氏名及び住所等
この9項目のみですのでそれ以外は含まれません。
届け出期限
届け出期限に関する問題もよく出題されるが、基本的に1か月以内に届け出が義務付けられている。
次に該当する場合は届け出が必要である。(1か月以内に届け出)
- 建築物の使用開始してから
- 届け出に変更があった場合
- 特定建築物に該当しなくなった場合
- 最初特定建築物ではなく、途中で増築・改築等により特定建築物になった場合
届出の様式は、各都道府県の実情に即して定められている。←重要です。