令和4年度空気環境の調整「過去問題解説5」
問題66
蒸気圧縮冷凍サイクルに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 凝縮器により冷媒が液化する。
- 圧縮機により冷媒の比エンタルピーが増加する。
- 膨張弁により冷媒の圧力が低下する。
- 蒸発器により冷媒がガス化する。
- 冷凍サイクルでは凝縮器、圧縮機、膨張弁、蒸発器の順に冷媒が循環する。
答え【5】
(5)が誤りです。
気体の冷媒を圧縮機で圧縮して昇温し、凝縮器で放熱凝縮して液体とし、膨張弁で減圧膨張させて一部の液を蒸発させ、蒸発器で残りの液を蒸発気化させて、周りから熱を奪い取る。気化した冷媒は圧縮機で再度圧縮されて、サイクルを繰り返す。
蒸気圧縮冷凍機の冷凍サイクルとモリエル線図です。
サイクル | 行程 | 説明 | 温度 | 圧力 | 比エンタルピ― |
---|---|---|---|---|---|
①→② | 圧縮 | 冷媒は過熱蒸気となって圧縮機へ | 上昇 | 上昇 | 増加 |
②→③ | 凝縮 | 過熱蒸気から湿り蒸気、液体冷媒へ | 一定 | 一定 | 減少 |
③→④ | 膨張 | 膨張弁を通り、液体冷媒から湿り蒸気 | 低下 | 低下 | 一定 |
④→① | 蒸発 | 湿り蒸気から過熱蒸気へ | 一定 | 一定 | 増加 |
圧縮機 | 気化した冷媒を圧縮して高圧高温の冷媒とする。 |
凝縮器 | 高温の冷媒ガスが放熱し、凝縮して液体冷媒となる。 |
膨張弁 | 次の蒸発器での蒸発に備えて、冷媒を低圧低温の状態にする。 |
蒸発器 | 液体冷媒が吸熱して蒸発、冷水を冷やす。 |
問題67
冷凍機の冷媒に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- CFC(クロロフルオロカーボン)は、オゾン層破壊の問題から全面的に製造禁止とされた。
- HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、オゾン破壊係数(ODP)は小さいが、全廃へ向けて生産量の段階的な削減が行われている。
- HFC(ハイドロフルオカーボン)はオゾン破壊係数(ODP)が1である。
- HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、温室効果ガスの一種に指定され、使用量に対する制限が課せられている。
- 自然冷媒のアンモニアは、地球温暖化係数(GWP)が1より小さい。
答え【3】
HFC(ハイドロフルオカーボン)はオゾン破壊係数(ODP)が0である。
問題68
空気調和設備の各種熱源方式の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コージェネレーション方式は、電力需要を主として運転することにより最も高いエネルギー利用効率が得られる。
- ガスエンジンヒートポンプ方式は、エンジン排熱を有効利用することができるため、寒冷地における暖房熱源に適している。
- 蓄熱システムは、電力負荷平準化や熱源装置容量削減に効果がある。
- 水熱源方式のヒートポンプは、地下水や下水熱等の未利用エネルギー利用に適している。
- 地域冷暖房システムは、地域での熱源集約化や集中管理化のメリットがある。
答え【1】
(1)のコージェネレーション方式とは、ガス、または油を投入エネルギーとして、エンジン・タービン・燃料電池等を用いた発電装置によって発電すると同時に、装置の排熱を 空調・給湯などその他のシステムに利用することにより、エネルギー利用効率を高めたシステムをいいます。
電力需要を主として運転するコージェネレーション方式では、空気調和その他の熱需要に追従出来ない場合がある。
問題69
密閉型冷却塔に関する次の文章の[ ]内に入る語句の組合せとして、最も適当なものはどれか。
密閉型冷却塔は、水と空気が[ ア ]熱交換となるため、通風抵抗と送風機動力が[ イ ]する。また、冷却水の散布水系統の保有水量は開放型冷却塔に比べて[ ウ ]。
- (ア)間接―――(イ)増加―――(ウ)多い
- (ア)間接―――(イ)減少―――(ウ)少ない
- (ア)直接―――(イ)減少―――(ウ)多い
- (ア)直接―――(イ)増加―――(ウ)少ない
- (ア)間接―――(イ)増加―――(ウ)少ない
答え【5】
密閉型冷却塔に関する問題です。
正しいのは(5)です。
問題70
空気調和機とその構成機器の組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- エアハンドリングユニット―――加湿器
- ファンコイルユニット―――――凝縮器
- パッケージ型空調機――――――圧縮機
- エアハンドリングユニット―――エアフィルタ
- ファンコイルユニット―――――熱交換器
答え【2】
ファンコイルユニットは、送風機、熱交換器(空気冷却器、加熱器)、エアフィルタ、ケーシングで構成されてます。
凝縮器はパッケージ型空調機等に用いられる機器です。