令和4年度空気環境の調整「過去問題解説3」
問題56
空気汚染物質の特性を表すア~エの記述のうち、ホルムアルデヒドの特性を表すものの組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。
ア 常温で無色の刺激臭を有する気体である。
イ ヒトに対して発がん性がある。
ウ 一酸化窒素と結合して二酸化窒素と酸素を生成する。
エ 非水溶性である。
- アとイ
- アとウ
- アとエ
- イとウ
- イとエ
答え【1】
正解は(1)です。ホルムアルデヒドの特性は以下です。
- ホルムアルデヒドは、常温では可燃性の無色の気体である。水やアルコ―ル等に溶けやすい。
- 35~38%水溶液はホルマリンと呼ばれている。
- ホルムアルデヒドは還元性が強く、人間にとって毒性、刺激性が強い。発がん性が確認されている。
- 建材、洗剤、化粧品、消毒剤、防腐剤に利用されている。
- 燃焼排気ガス、たばこ煙中にも存在
- シックハウス症候群及び肺気腫の原因物質である。
- 建築基準法によって居室の種類によるホルムアルデヒド発散建築材料の面積制限と換気設備の設置が義務付けられている。
問題57
次のエアロゾル粒子の相当径のうち、幾何相当径に分類されるものはどれか。
- 空気力学径
- ストークス径
- 円等価径
- 光散乱径
- 電気移動度径
答え【3】
幾何相当径には円等価径の他に定方向径があります。
エアロゾル粒子と粒径
液体のエアロゾル粒子は球形をしているが、固体の場合は一般的に複雑な形をしている。
まず、エアロゾル粒子の相当径とは?
粒子の形状が球形であれば、顕微鏡などで可視化することで求めることができます。
しかし形状が球形でない場合が実際には多い。そのため、可視化できるものは
形状を何らかの方法で算出される幾何相当径として、測定量として得られる仮想粒子を物理相当径として表す。
幾何相当径 | 幾何形状から算出 | 定方向径、円等価径 |
---|---|---|
物理相当径 | 同じ測定量を与える | 空気力学径、スト―クス径、光散乱径、電気移動度径 |
問題58
アレルゲンと微生物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- オフィスビル内のアレルゲンの大部分は細菌類である。
- 空気調和機内は、微生物の増殖にとって好環境となる。
- アルテルナリアは、一般環境中に生育するカビである。
- ダンプネスは、過度の湿気を原因とするカビ臭さや微生物汚染等の問題が確認できるような状態をいう。
- 大部分のダニアレルゲンの粒径は、数μm以上である。
答え【1】
アレルゲンと微生物に関する問題も毎年出題されていますが、それほど難しい問題は出ないので必ず答えれるようにしておきましょう。
細菌類もアレルゲンにはなりますが、オフィスビルで存在する可能性が高いアレルゲンは花粉やダニ等です。その他カビやペットの毛なども多く存在します。
問題59
エアロゾル粒子の一般的な粒径として、最も小さいものは次のうちどれか。
- 噴霧液滴
- 硫酸ミスト
- セメントダスト
- フライアッシュ
- たばこ煙
答え【5】
たばこ煙が最も小さく0.01~1μmです。
今まで出題されたことのあるエアロゾル粒子は以下のようになります。エアロゾル粒子の測定粒径
ウイルス | 0.003~0.05μm |
たばこ煙 | 0.01~1μm |
バクテリア(細菌) | 0.3~20μm |
真菌 | 1~10μm |
ダニアレルゲン | 1~20μm |
胞子 | 10~50μm |
セメントダスト | 3~100μm |
花粉 | 10~100μm |
雨滴(霧滴) | 2~70μm |
海岸砂 | 100~1,000μm |
今年初めてフライアッシュと硫酸ミストが出題されました。
フライアッシュは、燃焼ガスとともに吹き上げられるレベルの球状の微粒子である。
粒径は1~100μmの範囲に分布し、 平均粒径は20μm程度です。
硫酸ミストは粒径1~10μm程度です。
問題60
ダクト併用ファンコイルユニット方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ファンコイルユニットを単一ダクト方式と併用することで、個別制御性を高めたシステムである。
- ファンコイルユニットは、熱負荷が過大となるペリメ―タゾーンに配置されることが多い。
- 単一ダクト方式に比べ、空調機及び主ダクトの小容量化・小型化が可能である。
- ペリメ―タゾ―ンとインテリアゾ―ンにおける熱負荷特性の差異に対応可能である。
- 新鮮空気量の確保はファンコイルユニットで対応する。
答え【5】
ダクト併用ファンコイルユニット方式とは、ファンコイルユニットの冷温水利用とダクトの冷温風を利用する空調方式で、ファンコイルユニットを各室、各ゾーンのペリメーターゾーンへ設置し、中央機械室で空調された空気をダクトでインテリアゾーンへ供給します。
ファンコイルユニットは外気取り入れが難しく新鮮空気量の確保が出来ない。