令和4年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説3」
問題176
殺鼠剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 粉剤は、ネズミの嗜好に合わせた毒餌作製に使用することができる。
- 殺鼠剤に対するネズミ類の抵抗性発達の原理は、昆虫とは異なる。
- 殺鼠剤を食べて死んだネズミから、ハエなどが発生することはない。
- 殺鼠剤の有効成分は選択毒性が高く、単位体重当たりのヒトに対する毒性は、ネズミに比べて低い。
- ワルファリンは、1回の摂取によってネズミを失血死させる。
答え【1】
正しいのは(1)です。
(2)~(5)は不適当な記述です。
(2)は基本的に原理は同じです。
(3)はハエなどが発生します。
(4)は殺鼠剤の有効成分は選択毒性が低い。ヒトとネズミの体重差から誤食による人体への影響は少ない。
(5)のワルファリンは、抗凝血性殺鼠剤に含まれます。
抗凝血性殺鼠剤は毎日連続して喫食させる必要があるため、定期的に点検し、喫食が
全くなくなるまで継続する。通常1週間以上を必要とする。
問題177
下記の①~④の記述全てに当てはまる殺鼠剤の有効成分は、次のうちどれか。
①1回の摂取でも効果が得られる。
②第2世代の抗凝血性殺鼠剤である。
③ワルファリンに抵抗性を示すネズミ対策用に開発された。
④建築物衛生法に基づく特定建築物内での使用が認められている。
- リン化亜鉛
- ブロマジオロン
- クマテトラリン
- ジフェチアロール
- シリロシド
答え【4】
この問題ですが①~④の記述全てに当てはまる殺鼠剤ということですが
②第2世代の抗凝血性殺鼠剤ですが
日本ではジフェチアロールのみが第2世代の抗凝血性殺鼠剤に承認されています。
従って(4)が正しい。
問題178
防虫・防鼠構造と防除に用いる機器に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- ライトトラップは、長波長誘引ランプに誘引された昆虫を捕獲する器具である。
- ネズミの侵入防止のため、建物の外壁に樹木の枝が接触することを避ける。
- 噴射できる薬剤の粒径は、ミスト機、ULV機、噴霧器の中で、ULV機が最も大きい。
- 昆虫の室内侵入防止のため措置する網戸は、10メッシュ程度とする。
- ULV機は、高濃度の薬剤を多量散布する薬剤散布機である。
答え【2】
(2)正しいのは直ぐに(2)と分かると思います。建物に樹木の枝が接触しているとそこからネズミが侵入してきます。
(1)はライトトラップ(飛来昆虫捕獲器)とは、虫の好む波長365nm(ナノメータ)の紫外線により虫を誘因し、 虫粘着性捕虫シートで虫を捕獲します。
(3)ミスト機は20~100μm、ULV機は10μm、噴霧器は100~400μm
従って最も大きいのは噴霧器です。
(4)昆虫の室内侵入防止のため措置する網戸は、20メッシュ程度とする。
(5)ULV機は、高濃度の薬剤を少量散布する薬剤散布機である。
問題179
建築物衛生法に基づく特定建築物内のねずみ・昆虫等の防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- トラップによる生息状況調査により複数の害虫種が捕集された場合、それぞれの種類の生息密度が「許容水準」に該当する場合でも「警戒水準」にあると判断する。
- ねずみ・昆虫等に対する不快感も、健康被害の一つである。
- 調査では、発生状況や被害状況に関する聞き取り調査を重点的に実施する。
- 防除は、ベクターコントロールとニューサンスコントロールという二つの異なる側面をもつ。
- 建築物における維持管理マニュアルのIPM実施モデルに示す水準値は、現場の使用用途などの状況に応じた個別水準値を設定することも可能である。
答え【3】
調査は、全体を包括的に点検する目視調査と、種類や発生量を的確に把握するためのトラップ等による捕獲調査を実施する。
問題180
ねずみ・昆虫等及び鳥類の防除と殺虫剤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 蚊の幼虫に対する基礎的な殺虫力は、LD50値により判断できる。
- カラスの巣を卵ごと撤去する場合には、自治体の長などの許可が必要となる。
- 「発生予防対策」は、ねずみ・昆虫等の対策の基本である。
- 水性乳剤は、水で希釈した際に白濁(乳濁化)しない。
- IGRは、成虫に対する致死効力がない。
答え【1】
不適当なのは(1)になります。