令和4年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説2」
問題171
害虫に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ヒメマルカツオブシムシの成虫は、乾燥食品や羊毛製品等を食害する。
- シバンムシ類の幼虫は、乾燥した麺類や菓子類を加害する。
- ヒラタキクイムシ類の幼虫は、穀物を加害することもある。
- 一部のメイガ類は貯穀害虫である。
- イガは、繊維や衣類の害虫である。
答え【1】
ヒメマルカツオブシムシの幼虫は、主に羊毛製品、乾燥植物性食品も食害する。
問題172
害虫に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コナチャタテ類の防除では、餌となるカビの発生を抑えることが必要である。
- ヒメマルカツオブシムシは、フェロモンによって誘引される。
- マルカメムシの防除では、食草となるクズなどの除去が有効である。
- チョウバエ類の幼虫に対する殺虫剤の効力は、一般に蚊と比較して高い。
- イエバエは、薬剤抵抗性を獲得している集団が報告されている。
答え【4】
チョウバエ類の幼虫に対する殺虫剤の効力は、一般に蚊に比べると低い。
問題173
次の対象害虫の防除を目的とする殺虫剤のうち、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による承認を必要とするものはどれか。
- アリ類
- シロアリ類
- スズメバチ類
- トコジラミ類
- ドクガ類
答え【4】
まず
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称、医薬品医療機器等法)平成25年法律第84号により薬事法から改称
ということです。
医薬品医療機器等法によって医薬品、医薬部外品として承認されている薬剤には、現在
- ネズミ
- ハエ
- 蚊
- ゴキブリ
- ノミ
- シラミ
- トコジラミ
- イエダニ
- 室内塵性ダニ
- ツツガムシ
- マダニ
従って問題文からトコジラミ類が正しいので(4)です。
問題174
殺虫剤の効力や剤形(剤型)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 殺虫剤の速効性は、KT50値から判断できる。
- ピレスロイド剤は、ゴキブリなどに対しフラッシング効果を示す。
- フィプロニルは、ゴキブリ用の食毒剤の有効成分である。
- プロペタンホスには、マイクロカプセル(MC)剤がある。
- 有機リン剤を有効成分とした、ULV処理専用の乳剤がある。
答え【5】
有機リン剤を有効成分とした、ULV処理専用の乳剤はありません。
ULV処理専用の乳剤としてはピレスロイド剤のペルトリンとフェノトリンがあります。
問題175
ネズミに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ネズミの糞から、食中毒の原因となる病原体が検出されることがある。
- ハツカネズミは、クマネズミと比較してトラップにかかりにくく、殺鼠剤に弱い。
- クマネズミはドブネズミと比較して、穀類などの植物性の餌を好む傾向が強い。
- クマネズミは、垂直な壁を登ったり、電線を伝わって室内に侵入する。
- ネズミの移動経路は、ほぼ一定しているため、体の汚れが通路となる壁やパイプシャフル周辺に付着する。
答え【2】
ハツカネズミは好奇心旺盛でトラップにかかりやすい。
クマネズミ
- 都心の大型ビルではクマネズミが優占種である。
- クマネズミは運動能力に優れパイプ、電線を伝わったり垂直行動が得意でいたるところから侵入する。
- 天井、梁など建物の比較的高層部分まで生息する。
- クマネズミは動物性の餌も食べるが植食性が強い。
- 大きさは、頭胴長が、成獣で15~23cmで、尾長は体長よりも長く、頭胴長の約1.1倍程度で、体重は、大体100g~200gである。形態的な特徴は、耳が大きく、折り返すと目を覆う ほどで、尾の長さは体長よりも長い。
- 毛色は背面が黒褐色で、腹面はやや黄褐色のものが多い。
- クマネズミは警戒心が強く、毒餌をなかなか食べず、防除が困難である。
- クマネズミは、天井裏、壁の中、カウンタ内部、空気調和機の内外、戸棚や引出しの内部、ソファ内部、ちゅう房の機器内部等、多彩に巣を作る。
ドブネズミ
- ドブネズミは比較的平面的な活動をするので地下や厨房、低層階に多い。
- ビルの周囲の植栽の土壌などに穴を掘って生息する。
- ドブネズミの食性は雑食性であるが、動物蛋白を好む。
- ドブネズミの大きさは、頭胴長が成獣で22~26cmで尾長は体長よりもやや短い(体長の0.7~0.9倍)、体重は最大のもので500gを超す。(成獣でおよそ200g~500g程度)
- 特徴は耳が小さく肉厚で、倒しても目まで届かないことと尾の長さが体長よりも短い
- ドブネズミは泳ぎが得意。排水溝が最も重要な侵入場所である。水洗便所からも侵入する。
- 毛色は、基本的に背面が褐色、腹面が色白であるが、全身黒色等に変化したものも多い。
- 獰猛であるが警戒心が弱く、防除は比較的やりやすい。
- ドブネズミは床に巣を作ることが多い。
ハツカネズミ
- 農村で優占種であるハツカネズミの生息地は畑地とその周辺地域であるが、ビル内にも生息する。ビルでは局所的な分布で、生息数はドブネズミやクマネズミより少ない。行動範囲も小さい。
- 種子食性である
- 最も小型のネズミで、頭胴長が成獣で6~9cm、尾長は体長よりやや短い程度(体長の0.9~1.0倍)、体重は成獣で約10g~20gである。
- 特徴は、耳が大きくハツカネズミ特有の臭いがする。
- 水気のない環境下でも長時間生息する。
- 好奇心旺盛でトラップにかかりやすいが、殺鼠剤にはもともと強い