令和4年度空気環境の調整「過去問題解説1」
問題46
熱移動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 中空層の熱抵抗は、一定の厚さ(2~5cm)までは厚さが増すにつれて増大するが、それ以上ではほぼ一定となる。
- 固体内の熱流は、局所的な温度勾配に熱伝導率を乗じて求められる。
- 密度が大きい材料ほど、一般に熱伝導率は小さくなる。
- 同一材料でも、一般に熱伝導率は温度によって異なる。
- 同一材料でも、一般に内部に湿気を多く含むほど熱伝導率は大きくなる。
答え【3】
一般に密度の大きい材料ほど熱伝導率が大きく、同一材料でも温度が高いほど、また内部に湿気が多く含むほど熱伝導率は高くなる傾向があります。
(1)ですが壁などの内部に空気層を設けた場合、断熱効果は高まります。(乾燥空気の熱伝導率は低いため)しかし、空気層を設ければ設けるほどいいわけではなく、2cm~3cmまでは断熱性能が高まりますが、それ以上を設けてしまうと、対流が生じてしまい、かえって断熱性能が悪くなります。
問題47
湿り空気と湿気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 湿り空気の温度が一定の状態で絶対湿度を増加させると、比エンタルピーは増加する。
- 露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。
- 湿り空気において、絶対湿度が上昇すると水蒸気分圧は上昇する。
- 絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。
- 絶対湿度が一定の状態で温度が低下すると、相対湿度は上昇する。
答え【4】
(4)は絶対湿度が低下すると、露点温度は低下する。この手の問題は以下の空気線図の関係をしっかり理解しておきましょう。
図から見てもわかるように絶対湿度が低下すると、露点温度は低下しているのがわかると思います。
問題48
熱放射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 白色ペイントは、光ったアルミ箔よりも長波長放射率が小さい。
- 物体表面から放射される単位面積当たりの放射熱流は、絶対温度の4乗に比例する。
- 同一温度の物体間では、長波長放射に関し、放射率と吸収率は等しい。
- 一般的なアスファルトの長波長放射率は、約0.9である。
- 常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。
答え【1】
白色ペイントの長波長放射率は0.9程度で光ったアルミ箔は0.1程度なので白色ペイントの長波長放射率の方が大きいです。
この問題も出題頻度が高い問題になります。
建材 | 例 | 放射率 | 日射吸収率 |
---|---|---|---|
白っぽい材料 | 白色プラスタ―(石膏) | 0.9 | 0.1 |
白色ペイント | 0.9 | 0.2 | |
黒っぽい材料 | アスファルト | 0.9 | 0.9 |
黒色ペイント | 0.9 | 0.9 | |
その他 | 新しい亜鉛鉄板 | 0.2 | 0.74 |
光ったアルミ箔 | 0.1 | 0.1 | |
木材(松板) | 0.6 | 0.9 | |
酸化した亜鉛鉄板 | 0.3 | 0.8 |
問題49
一辺が3mの正方形の壁材料を組み合わせて立方体の室を作り、日射が当たらない条件で床面が地表面から浮いた状態で固定した。床と天井を含む壁材料の熱貫流抵抗を0.4(m2・K)/W、隙間換気は無視できるとし、外気温度が10℃の条件下で内部を1,620Wで加熱した。
十分に時間が経過した後の室内空気温度として、最も適当なものは次のうちどれか。
- 12℃
- 22℃
- 28℃
- 32℃
- 40℃
答え【2】
壁を通じて移動する貫流熱量Q[W]は、壁の面積、壁の貫流率、内外温度差に比例する。
すなわち
Q=K(Θ1ーΘ2) x S
になります。
問題50
自然換気の換気力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 温度差による換気力は、開口部の高さの差に比例して増加する。
- 温度差による換気力は、室内外空気の密度差に比例して増加する。
- 風力による換気力は、外部風速の2乗に比例して増加する。
- 風力による換気力は、開口部での風圧係数の2乗に比例して増加する。
- 風力による換気力は、風向きが変わると変化する。
答え【4】
(4)が誤りです。
正確には
風力による換気力は、風圧係数の差に比例する。