令和4年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
寒冷障害(ヒトの低温障害)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 5℃以下の水に突然つかると、5~15分間で生命にかかわる低体温症を生じる。
- 気温が13~16℃程度でも天候によっては低体温症となることがある。
- 乳幼児や高齢者は寒さへの適応力が低く、低体温症のリスクが高い。
- 低体温症の診断は脇の下の体温を測定することで行う。
- 凍傷による障害は、組織の凍結と周辺の血管収縮・結栓による血流阻害により起きる。
答え【4】
(4)が誤りです。
低体温症は深部体温が35℃以下になった状態のことです。
体温の測定は、深部体温を測るため直腸用の体温計を使用し、直腸の温度を測ります。
従来型の体温計では、34℃未満の体温を測れないためです。
問題27
建築物内の湿度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 低湿度ではほこりが飛散しやすくなる。
- 低湿度ではインフルエンザウイルスの生存率が高まる。
- 加湿器を清潔に保つことは室内環境衛生のために重要である。
- 高湿度では体感温度が上昇する。
- 高湿度では壁の塗装の剥離が起きやすい。
答え【5】
(5)が誤りです。
低湿度では壁の塗装の剥離が起きやすい。
壁の塗装には温度と湿度の影響を受けます。
一般的に塗装に最適な気候は
- 気温25℃付近
- 湿度65%付近
つまり湿度の低い冬場などは塗膜がはじかれてしまったり、シワになってしまったりして耐久性がなくなり、容易に剥がれてしまう場合がありますので注意が必要です。
問題28
空気環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 良好な室内空気環境を維持するためには、一般に1人当たり30m3/h以上の換気量が必要とされている。
- 一般の室内環境下では、窒素の人体への健康影響はない。
- 空気中の酸素濃度が16%程度になると意識障害やけいれんが生じる。
- 二酸化炭素濃度は、室内空気の汚染や換気の総合指標として用いられる。
- 窒素は、大気の約78%を占める。
答え【3】
(3)が誤りです。酸素濃度が16~17%となると呼吸や脈拍が増加し、それ以下になると注意力、判断力が低下する。7%以下になると意識がなくなる。
酸素濃度と人体への影響
低濃度、高濃度の酸素は人体に傷害を与えます。作業場所における酸素濃度は18%以上に保たねばならなりません。
また60%以上の高濃度酸素を12時間以上吸入すると、肺に充血をきたし、失明、死亡の恐れがあります。
人体にとって許容される酸素濃度の下限は18%。6%以下では数回の呼吸で意識を失います。
問題29
浮遊粉じんに関する次の文章の[ ]内に入る数値の組合せとして、最も適当なものはどれか。
粒径[ ア ]μm以下の粉じんは長時間にわたり浮遊し、ヒトの気道内に取り込まれる。
特に肺に沈着し、人体に有害な影響を及ぼすのは、通常[ イ ]μm程度以下の大きさである。
- (ア)50―――(イ)10
- (ア)40―――(イ)10
- (ア)20―――(イ)5
- (ア)10―――(イ)5
- (ア)10―――(イ)1
答え【5】
この問題はそのまま覚えましょう。問題30
アスベストに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 自然界に存在する繊維状の水和化したケイ酸塩鉱物の総称である。
- 健康障害はアスベスト製品製造工場の従業員に限られていない。
- 肺がんに対して喫煙との相乗作用が疫学的に示唆されている。
- 労働安全衛生法、大気汚染防止法、建築基準法等により法規制が設けられている。
- 現在、試験研究を除き使用禁止であり、現存の建築物には残っていない。
答え【5】
(5)が誤りです。古い建物では今現在アスベストは残っています。
アスベストは、自然界に存在する水和化したケイ酸塩鉱物の総称である。
発がん性があり、かつては使われていたが、現在は製造が禁止されている。
アスベストの繊維は極めて細く、飛散すると呼吸器系に入り、肺線維症、悪性中皮膚の原因となる。肺癌を起こす恐れがある。
クリソタイル、アモサイト、クロシドライト等の種類がある。