令和1年度空気環境の調整「過去問題解説4」
問題61
湿り空気の状態変化に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 湿り空気を加熱すると、相対湿度は低下する。
- 湿り空気を加熱すると、露点温度は低下する。
- 湿り空気を冷却すると、比エンタルピ―は低下する。
- 湿り空気を冷却すると、比容積は小さくなる。
- 湿り空気を減湿すると、湿球温度は低下する。
答え【2】
この手の問題は湿り空気線図を確認すればわかりやすいと思います。上の図は状態点を仮に乾球温度25℃、相対湿度を50%としています。
(1)(2)は湿り空気を加熱しているので乾球温度が上昇。
(3)(4)は湿り空気を冷却しているので乾球温度が低下。
(5)は湿り空気を減湿しているので絶対湿度が低下。
しています。
(1)は相対湿度が50%~40%及び35%辺りまで下がっているのが分かります。
(2)は乾球温度が上がっても露点温度が変わっていないのが分かると思います。
従って(2)が最も不適当な解答になります。
(3)は冷却しているので乾球温度が下がっていますが比エンタルピ―は下がっているのがわかると思います。
(4)は湿り空気を冷却すると比容積は小さくなります。
(5)は湿り空気を減湿すると、湿球温度は低下すしているのが分かると思います。
詳しく説明しているサイトがありましたの載せておきます。
九州住環境研究会
- 平成30年問題60
問題62
熱源方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 電動冷凍機+ボイラ方式は、冷熱源として電動機駆動の冷凍機と、温熱源としてボイラを用いたものである。
- 吸着冷凍機は、比較的高温度の温水を加熱源としており、高い成績係数を得ることが可能である。
- ヒ―トポンプ方式には、ガスエンジン駆動のヒ―トポンプがあり、エンジン排熱を暖房熱源に利用することが可能である。
- 吸収冷凍機+蒸気ボイラ方式は、年間を通じてガス又は油が使用され、冷熱源は冷水、温熱源は蒸気である。
- コ―ジェネレ―ション方式では、高いエネルギ―利用効率を得るために、燃焼排熱の有効活用が重要である。
答え【2】
吸着冷凍機の加熱源は低温度の温水で、成績係数は低い。(吸収冷凍機よりも成績係数は低い。)吸着式冷凍機は、低温の温水(65℃~100℃)を利用して冷水をつくることができます。
構造としては、蒸発器,凝縮器,吸着材熱交換機から構成されており,機内は真空となっています。
- 令和2年問題62
- 平成30年問題62
- 平成29年問題66
問題63
空気調和方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 全空気方式では、熱負荷を処理するための熱媒として空気のみを用いるため、比較的大型の空気調和機が必要である。
- 外調機併用タ―ミナルエアハンドリングユニット方式は、ダクト併用ファンコイルユニット方式に比べ、高品位な空調空間が達成されやすい。
- 定風量単一ダクト方式では、室内空気質の維持に必要な新鮮外気量の確保が難しい。
- デジカント空調方式は、潜熱・顕熱を分離して制御できる空調システムである。
- 分散設置空気熱源ヒ―トポンプ方式は、圧縮機のインバ―タによる比例制御が可能な機種が主流である。
答え【3】
定風量単一ダクト方式は新鮮外気を取り入れることができるので室内空気の清浄度維持には有利と言えます。また今までのビル管理士試験での出題がなかったデシカント空調機が出てきましたが
デシカント空調機とは、温度と湿度を別々に制御できる空調機のことをいいます。
定風量単一ダクト方式
最も基本的な空調方式ゾ―ニングされた各単位ごとに空調機設置して空調された空気を1本のダクトで供給。
- 各室に一定風量をダクトで供給し、熱負荷の変化に対応して、給気温度を変化させる方式。
- 代表点又は還気の温湿度で制御するので、単独の大空間に適した方式。
- 複数室で個々の温湿度制御はできない。
- 再熱器を持ったタ―ミナルレヒ―ト方式にすれば個々の制御が可能となるが省エネではない。
- 冬季インテリア部の小室は吹き出し温度に近い温度になる。
- 令和2年問題65
- 平成30年問題61
- 平成27年問題66
- 凝縮器
- 蒸発器
- 吸収器
- 再生器
- 膨張弁
- 再生器にて、冷媒を吸収した吸収液が蒸発などで加熱され、冷媒と吸収液に分離される。
- 蒸発器にて、冷媒がガス化し、冷水が取り出される。
- 吸収器にて、冷媒が吸収液に吸収される。
- 凝縮器にて、冷媒が冷却水により冷却され、液化する。
- 平成30年問題66
- 平成29年問題67
- 往復動圧縮機は、シリンダ内のピストンを往復運動することで、冷媒ガスを圧縮する。
- スクロ―ル圧縮機は、渦巻き状の固定スクロ―ルと渦巻き状の旋回スクロ―ルの旋回により、冷媒を圧縮する。
- スクリュ―圧縮機を用いた冷凍機は、スクロ―ル圧縮機を用いたものよりも冷凍容量の大きな範囲で使用される。
- 自然冷媒(アンモニア、CO2等)を使用する機種では、通常の冷媒を使用する場合よりも低い圧縮比で使用される。
- 遠心圧縮機を用いた冷凍機は、羽根車の高速回転が可能であり、大容量としてもコンパクトな機種とすることができる。
- タ―ボ冷凍機(遠心冷凍機)
- 羽根車(インペラ)の高速回転による発生する遠心力で冷媒を圧縮する。
- 往復圧縮機
- シリンダ内のピストンを往復させることにより、冷媒ガスを圧縮する。
- 回転式冷凍機
- シリンダ・ピストンに相当する機構を回転子の回転運動で圧縮作用が得られるようにしたもので、高効率運転が可能で、高速回転に適している。圧縮機本体の小型化・低振動化が可能となり
用途によっては往復動式にとって代わりつつある。
回転式冷凍機にはスクロ―ル型、スクリュ―型、ロ―タリ型がある。
- シリンダ・ピストンに相当する機構を回転子の回転運動で圧縮作用が得られるようにしたもので、高効率運転が可能で、高速回転に適している。圧縮機本体の小型化・低振動化が可能となり
用途によっては往復動式にとって代わりつつある。
問題64
吸収冷凍機の構成機器として、最も不適当なものはどれか。
答え【5】
より膨張弁は含まれていません。
問題65
蒸気圧縮式冷凍機における圧縮機の種類と特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
答え【4】
答えは(4)ですが、まず自然冷媒とは自然界の存在する物質で、冷凍・ヒ―トポンプ・空調などの用途で冷媒として活用できる物質と定義され、地球環境への負荷という観点からは、人工的に合成されたフロン系物質と比較して、はるかに影響度 が小さいとみなせる点が大きな特徴とされています。圧縮比とは
凝縮圧力÷蒸発圧力
のことを言いますが、アンモニアや二酸化炭素の圧縮比が高い。
自然冷媒には、水、空気、炭化水素、アンモニア、二酸化炭素があります。
蒸気圧縮式冷凍機
冷媒ガスを圧縮冷却して液化してこれを蒸発させて周囲から熱を奪う。冷媒ガスを圧縮する圧縮機の形式により容積式(往復式、回転式)遠心式(タ―ボ式)などがある。
遠心式といえばタ―ボ←これ覚えよう
蒸気圧縮機の冷凍サイクルとモリエル線図
蒸気圧縮冷凍機の冷凍サイクルとモリエル線図です。
サイクル | 行程 | 説明 | 温度 | 圧力 | 比エンタルピ― |
---|---|---|---|---|---|
①→② | 圧縮 | 冷媒は過熱蒸気となって圧縮機へ | 上昇 | 上昇 | 増加 |
②→③ | 凝縮 | 過熱蒸気から湿り蒸気、液体冷媒へ | 一定 | 一定 | 減少 |
③→④ | 膨張 | 膨張弁を通り、液体冷媒から湿り蒸気 | 低下 | 低下 | 一定 |
④→① | 蒸発 | 湿り蒸気から過熱蒸気へ | 一定 | 一定 | 増加 |
圧縮機 | 気化した冷媒を圧縮して高圧高温の冷媒とする。 |
凝縮器 | 高温の冷媒ガスが放熱し、凝縮して液体冷媒となる。 |
膨張弁 | 次の蒸発器での蒸発に備えて、冷媒を低圧低温の状態にする。 |
蒸発器 | 液体冷媒が吸熱して蒸発、冷水を冷やす。 |
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