平成29年度建築物の環境衛生「過去問題解説3」
問題31
オゾンに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 光化学オキシダントの主成分である。
- 特有の臭気がある。
- 紫外線による光化学反応で生成される。
- 静電式コピ―機は、発生源となる。
- 水に溶けやすい。
答え【5】
オゾンは水に溶けにくい。オゾンは光化学オキシダントの主成分であり、独特の刺激臭を持った青い気体で
水に溶けにくく肺の奥まで侵入する。
落雷や放電でもオゾンは発生するが、人間の環境に影響する大部分のオゾンは自動車やその他燃焼過程の排気ガス中に含まれている炭化水素と窒素酸化物の光化学
反応の結果として生成される。
室内のオゾン量に重要な影響を与えそうな発生源が、高電圧を利用したコピ―機、レ―ザ―プリンタ―、コロナ放電を伴う静電式空気清浄機である。
オゾンは酸化力の強い物質で、オゾン濃度が0.3~0.5ppm程度となると肺や気道粘膜に刺激し始める。
問題32
一酸化炭素に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- ヘモグロビン親和性は、酸素と同等である。
- 我が国では、大気汚染物質としての環境中濃度は増加している。
- 特有の臭気がある。
- 喫煙により発生する。
- 建築物衛生法による基準値は、1ppm以下である。
答え【4】
たばこにも含まれています。特に副流煙に多く含まれています。
(1)はヘモグロビン親和性は、酸素の200倍以上である。
(2)は我が国では、大気汚染物質としての環境中濃度は減少傾向にあります。(それは受動喫煙の影響で建築物内の喫煙者の減少が影響していると考えられています。)
(3)は一酸化炭素は無臭の気体です。
(5)は建築物衛生法による基準値は、10ppm以下である。
一酸化炭素
一酸化炭素は無味無臭の窒息性のガスで、ヘモグロビンとの親和力は酸素の200倍以上
濃度[%] | 症状 |
---|---|
0~5 | 無症状 |
10~20 | 前頭部が締め付けられる感じ、時には動作により軽度の呼吸困難を示すことがある |
20~30 | 側頭部に軽度ないし中等度の拍動性の頭痛をきたす |
30~40 | 激しい頭痛、回転性のめまい、悪心、嘔吐、脱力が出現し易刺激性や判断力の低下、動作時失神をきたす |
50~60 | 時にけいれんや無呼吸期を伴うチェ―ンスト―クス型呼吸とともに昏睡を示すことがある |
60~70 | 昏睡とともにけいれん、呼吸抑制をきたす、時に死亡することがある |
70~80 | 呼吸中枢の抑制により死亡する |
- 一酸化炭素は空気より若干軽いので床近くに滞留することはない。
- 不完全燃焼より発生する。
- 一酸化炭素は火を着けてやれば空気中で青い炎を上げて二酸化炭素になるが、火源がなければ常温で酸素と反応して二酸化炭素になることはない。
- 高い濃度の一酸化炭素は急性中毒を起こすが、低濃度であっても、長期曝露によって慢性中毒を起こす。
- 一酸化炭素の人体への影響は、一般に一酸化炭素濃度と曝露時間の積に関係する。
- 血液中の酸素の運搬を阻害する。
- 一酸化炭素のビル管理法の環境衛生基準は、100万分の10以下、すなわち10ppm以下である。
ただし、特別の事情がある場合20ppm以下である。
ちなみに事務所衛生基準規則では50ppm以下である(空調設備を設けている場合はビル管理法と同じ基準値)。
- 平成30年問題30
問題33
呼吸中枢が刺激されて呼吸の増加、脈拍・血圧の上昇、頭痛、めまい等の病状が現れるときの二酸化炭素濃度として、最も適当なものは次のうちどれか。
- 500ppm
- 1,000ppm
- 5,000ppm
- 10,000ppm
- 40,000ppm
答え【5】
二酸化炭素の影響
濃度[%] | 症状 |
---|---|
0.55 | 6時間曝露で症状なし |
1~2 | 不快感を起こす。 |
3~4 | 呼吸中枢を刺激されて呼吸の増加・脈拍・血圧の上昇・頭痛・めまい等起こす。 |
6 | 呼吸困難 |
7~10 | 数分間で意識不明となり、チアノ―ゼが起こり死亡 |
良好な室内環境を維持するために必要な換気量は1人当たり約30m3/h以上確保されている必要がある。
室内の二酸化炭素濃度が1000ppm以下であれば、必要換気量(1人当たり約30m3/h以上)が確保されていると見なすことができる。
二酸化炭素は水に溶ける。
- 令和2年問題29
- 平成30年問題31
- 平成27年問題30
問題34
騒音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 住民の騒音苦情の大半は、聴取妨害と心理的影響による。
- 超音波は、強いレベルの場合には耳鳴り、頭痛、吐き気等の身体影響を生じさせる。
- 大きく、高い騒音に一時的曝露されることによる聴力の低下は、一過性であることが多く、安静により回復する。
- 一般の環境騒音に関しては、1日の曝露騒音として等価騒音レベルが70dB未満であれば、永久性の聴力障害はほとんど起こらない。
- 騒音により自律神経系が刺激されると、末梢血管の拡張、血圧の低下等が起きる。
答え【5】
(5)は騒音により自律神経系が刺激されると、末梢血管の収縮、血圧の上昇、胃の働きの抑制等が起きる。つまり騒音等でストレス等を感じると末梢血管の収縮、血圧の上昇、胃の働きの抑制等が起き
気持ちが落ち着く(リラックス)と末梢血管の拡張、血圧の低下等が起きる。
- 平成30年問題32
- 平成27年問題33
問題35
振動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 全身振動による健康影響として、末梢神経障害がある。
- 手持ち工具などの使用による振動は、オクタ―ブバンドの中心振動数で約8~1,000Hzの振動が問題となる。
- 全身振動の大きさの感覚は、振動継続時間によって変化する。
- 振動感覚閾値は、地震の震度0(無感)の限界に相当する振動レベル55dBである。
- 低い振動数で振幅が大きい振動では、乗り物酔い、動揺病等が発生しやすい。
答え【1】
振動は、人体の全身振動と局所振動に大別されます。末梢神経障害は局所振動の健康影響です。
全身振動の振動減、は建設機械、道路交通、工場、鉄道等があり、地面を伝搬してきた振動が、建築物内にいるヒトによって全身振動として知覚される。
局所振動は、身体の一部に局所的に振動が強く加わる場合で、木などを切る際のチェンソ―等の手持ち動力工具によるような振動は、手腕系局所振動と呼ばれる。
全身振動による健康影響として不快感や不安感、疲労などを覚える。
100dB以上の強い振動で、呼吸数の増加、血圧増加、胃腸の働きの抑制等、自律神経系や内分沁系への影響がみられる。
- 令和2年問題35
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