平成28年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説1」
問題166
蚊の主要な発生源に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- アカイエカは、下水溝や雨水ますに発生する。
- ヒトスジシマカは、人工容器や雨水ますに発生する。
- シナハマダラカは、水田や湿地帯に発生する。
- チカイエカは、浄化槽や湧水槽に発生する。
- コガタアカイエカは、海岸線近くの汽水域に発生する。
答え【5】
(5)のコガタアカイエカは、水田から発生する。チカイエカ
- 日本国内の屋内で確認されている唯一の蚊である。
- 世界の温帯地域に広く分布し、ビル内部で発生する蚊はほとんどこの種類である。
- 九州から北海道の都市には普通に見られる。
- チカイエカは外見的にはアカイエカやネッタイイエカに似ており、外見的には区別するのは困難である。
- チカイエカは羽化後初めての産卵は吸血しなくても行える。その後は激しく人から吸血する。
- チカイエカの卵は卵塊として水面に産み落とされる。1卵塊の卵数は50~80個
- チカイエカは冬期でも休眠せず暖房された室内では盛んに吸血することから冬の蚊といわれる。
- チカイエカは試験管のような狭い場所でも交尾が可能で、また浄化槽内のような暗黒の条件下でも休眠せず交尾を行い産卵する。
- チカイイエカが媒介する感染症は今のところ知られていない。
アカイエカ
- アカイエカは屋外で発生して屋内に侵入する。
- 夜間に屋内に侵入して吸血するよく見られるカ
- アカイエカのメスの成虫は有機物の多い下水溝やどぶ川の水面に静止して舟形の卵塊を産む。
- ニワトリや野鳥からも盛んに吸血する。
- 秋に羽化した成虫は休眠に入り、冬期には気温が上昇しても吸血活動をしない。
コガタアカイエカ
- コガタアカイエカは水田から発生する。
- 日本脳炎ウイルスを媒介する。
- 夜間に吸血する。
ヒトスジシマカ
- 公園、墓地等の日陰ややぶに多く生息する。
- 昼間に盛んに吸血する
- 雨水ますなどの人工的にできた狭い水域や屋外の空き缶などの溜り水からもよく発生する。
- 血を吸われると大変強い痒みを生じる。
シナハマダラカ
- 幼虫の発生源は水田や沼
- マラリア原虫の媒介者
- 成虫は夜間活動する。
蚊の主な生態について記述していますが、ここではまず蚊の生息場所は確実に覚える。
チカイエカとアカイエカは外見的には区別することができない。
コガタアカイエカ→日本脳炎ウイルスを媒介する。
問題167
蚊の防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 昆虫成長制御剤(IGR)は、成虫に対する致死効果がない。
- 浄化槽内の防除効果は、粘着トラップによる成虫の捕獲数で判定する。
- 殺虫剤処理後の浄化槽内で成虫の発生数が減少しない場合は、薬剤抵抗性の発達を考慮する必要がある。
- ULV処理は、一般に成虫に対する速効性が低い。
- 乳剤に含まれる界面活性剤や有機溶剤は、浄化槽内の微生物に影響を及ぼすおそれがある。
答え【4】
ULV処理は、成虫に対する速効性が高い。(1)の昆虫成長制御剤(IGR)は昆虫の変態や脱皮をコントロ―ルしている ホルモンのバランスを狂わせることによって、昆虫の脱皮や羽化を阻害し、その結果として死に至らせるという殺虫剤で、成虫に対する効力はない。
後の選択枠も重要です。
問題168
ゴキブリに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ゴキブリ類は、昼間よりも夜間に活動が活発となる。
- トビイロゴキブリの日本における分布は、局地的である。
- ゴキブリ類が集合するのは、体節から分泌されるホルモンの作用である。
- チョバネゴキブリの産卵回数は、一生の間に約5回である。
- ゴキブリ類の食性は、発育段階によって変化しない。
答え【3】
(3)ですが、ゴキブリの直腸細胞から分泌される化学物質は集合フェロモンと呼ばれ、糞とともに排泄され、個々の個体をお互いに集合させる性質を持つ。ゴキブリの習性も重要ですので掲載します。
ゴキブリの習性
- 夜間特定の時間に潜伏場所から出現し、摂食、摂水行動を起こす。
- 体内に組み込まれた体内時計により、約24時間を周期とする行動が見られる。
- 潜伏場所の辺りに糞などの汚れが多く見られ、殺虫剤を処理する場所の目安になる。
- 集合フェロモンを糞中に分泌してこれによって群れる。
- 雑食性で、食品類、汚物など様々なものを餌とする。
- ゴキブリは幼虫、成虫とも同じ場所で活動し、同じ食物を摂取する
- 物の縁や隅を通る傾向があり、壁から5cm程度の隅に活動が集中する。
- ゴキブリは不完全変態である。
不完全変態:卵→幼虫→成虫
つまり、ゴキブリは蛹にならない
問題169
ゴキブリの防除に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- ゴキブリは、部屋中を歩き回る習性があるので、殺虫剤の残留処理は部屋内部の前面に行わなくてはならない。
- 7か所に3日間放置した粘着トラップに捕獲されたゴキブリの総数が200匹であった場合のゴキブリ指数は20である。
- 食毒剤を配置する際、毒餌に殺虫剤を噴霧するとその効果が高まる。
- 燻煙処理を効果的に行うためには、部屋の気密性を保ち、引出し、戸棚等の戸は開放して隅々まで薬剤がよく行きわたるようにする。
- 有機リン剤は、ゴキブリ類に対して追い出し効果を示す。
答え【4】
(1)はゴキブリは部屋の通路の隅を歩き回るため殺虫剤の残留処理は通路の隅部に行わなくてはならない。
(2)ですが
(5)はピレスロイド剤は、ゴキブリ類に対して追い出し効果(フラッシング効果)を示す。
問題170
ダニに関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- ダニの体は、頭部、顎体部、胴体部に分けることができる。
- マダニ類は、幼虫、若虫、成虫の全ての発育段階で吸血する。
- ツメダニ類は、ヒトから吸血し、激しい痒みを起こす。
- タカラダニ類は、冬季に鉢植えなどに発生する。
- イエダニは、ベットによって室内に持ち込まれる。
答え【2】
(1)ですがダニの体は頭部、胸部、腹部というはっきりとした区分はなく、袋状の胴体部と顎体部からなる。(3)のツメダニ類はヒトからの吸血をしません。
吸血性ダニには、イエダニ、トリサシダニ、ワクモ、スズメサシダニが確認されています。
(4)のタカラダニ類は、建築物の外壁などに多数が歩き回り、人に不快感を与える。
(5)のイエダニは、ネズミ類に寄生して増える吸血性のダニです。ヒトからも吸血し、激しいかゆみを引き起こす。
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