平成28年度空気環境の調整「過去問題解説7」
問題76
ポンプに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- サ―ジングの発生を判断するには、有効吸込みヘッド(NPSH)が用いられる。
- ダイヤフラムポンプは、容積型に分類される。
- 全揚程は、損失水頭と実揚程の和である。
- 渦流ポンプは、小水量で高揚程が特徴である。
- 渦巻きポンプは、タ―ボ型に分類される。
答え【1】
(1)はキャピテ―ションの発生を判断するのに、有効吸込みヘッド(NPSH)が用いられる。キャビテ―ションとは、液体 の 流れ の中で 圧力差により短時間に 泡 の発生と消滅が起きる物理現象である。
キャピテ―ションを防止するには、ポンプの有効吸込みヘッドが、管路bの必要有効吸込みヘッドより大きいことが重要です。 サ―ジングはダンパの開度を絞りすぎて風量が確保できていないとき、脈動を伴う不安定な運転となる現象です。
- 令和元年問題74
- 平成29年問題76
- 平成27年問題78
問題77
空気調和設備に用いられる配管の種類とそれに関連する温度又は圧力との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 高温水配管――――――80~90℃
- 冷却水配管――――――20~40℃
- 冷水配管―――――――5~10℃
- 高圧蒸気配管―――――0.1~1MPa
- 低圧蒸気配管―――――0.01~0.05MPa
答え【1】
(1)は高温水ということなので80~90℃は低いです。100℃以上(一般に120~180℃)
主な温度と圧力は以下に示します。
配管の種類と用途 | 使用温度及び圧力 |
---|---|
冷水配管 | 5~10℃ |
冷温水配管 | 5~10℃、40~50℃ |
温水配管 | 100℃未満(一般に40~80℃) |
高温水配管 | 100℃以上(一般に120~180℃) |
冷却水配管 | 20~40℃ |
不凍液配管 | -10~-5℃(氷蓄熱) |
低圧蒸気配管 | 0.1Mpa未満(一般に0.01~0.05MPa) |
高圧蒸気配管 | 0.1MPa以上(一般に0.1~1MPa) |
上記配管の使用温度と圧力の問題も数年に1度程度出題されているので覚えましょう。
基本的に上記表を覚えておけばいいでしょう。
冷温水配管は5~10℃、40~50℃ですので間違えないようにしましょう。
つまりファンコイル等が冷房の時は5~10℃、暖房時は40~50℃です。
冷却水配管は冷却と言われているのでもっと低い感じですが20~40℃ですので間違えないようにしましょう。
- 平成30年問題73
問題78
空気設備の配管材料とその使用区分との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
-
配管材料――――――――――使用区分
- 配管用炭素鋼鋼管(白管)――――――――冷温水
- 配管用炭素鋼鋼管(黒管)――――――――――油
- フランジ付硬質塩化ビニルライニング鋼管―――冷却水
- 硬質ポリ塩化ビニル管―――――――――蒸気
- 配管用ステンレス鋼管―――――蒸気還管
答え【4】
硬質ポリ塩化ビニル管は塩ビ管、塩ビパイプと呼ばれている配管です。このようなもので基本プラスチックなので蒸気に使えないのはわかると思います
硬質ポリ塩化ビニル管はそんなに温度が高くない冷水や冷却水等で用いられます。
蒸気配管には、配管用炭素鋼鋼管(黒管)等が使用されます。
- 令和2年問題77
問題79
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 排気フ―ドは、局所換気に用いられる。
- ハイブリッド換気は、自然換気に機械換気や空調設備を補助的に組み合わせたものである。
- 第1種機械換気は、室内の圧力を正圧にも負圧にも設定できる。
- 第3種機械換気は、給気口及び排風機により構成される。
- 感染症室などの汚染室の換気では、室内の圧力を周囲より高くする。
答え【5】
(5)は感染症室などの汚染室の換気では、室内の圧力を周囲より低くする。汚染室等は室内の汚染空気を外に漏らしてはいけません。
そのため室内の圧力を低くしなければいけません
換気については、重要なので以下に記載しています。
機械換気
機械換気は第一種機械換気、第二種機械換気、第三種機械換気に分けられます。その使用目的に合わせて換気することができます。
第一種機械換気
第二種機械換気
第三種機械換気
- 業務用の厨房では、臭気が食堂などへ漏れ出さないように、ちゅう房内をやや負圧にする。
- ボイラ室では、燃焼空気量を給気に加算するとともに、室内を正圧にする。
- 病院では、病原菌を他の病室に流れ込むことのないように、ダクト系統を分ける。
- 外気取り入れ口の位置は、車などの排気を考慮して道路から十分高い位置とする。
- 一般事務室では、外気取り入れ量とトイレなどの排気量が同一となるように計画する。
ちゅう房はやや負圧
ボイラ室は正圧
病院はダクトを分ける
外気取り入れは高い位置にする
事務所は外気取り入れ量とトイレの排気量は一緒 上記項目を表にまとめると以下のようになります。
用途 | 主な目的 | 適用される換気方式 |
---|---|---|
便所 | 臭気の除去 | 第1種、第3種 |
手術室・クリ―ンル―ム | 室内の清浄化 | 第1種、第2種 |
給湯室 | 熱・水蒸気の除去 | 第1種、第3種 |
厨房 | 酸素の供給・熱・臭気の除去 | 第1種、第3種 |
汚物処理場 | 臭気の除去 | 第1種、第3種 |
ボイラ室 | 酸素の供給 | 第1種、第2種 |
浴室・シャワ―室 | 水蒸気・湿気の排除 | 第1種、第3種 |
地下駐車場 | 排ガスの排除 | 第1種、第3種 |
感染症室 | 汚染物質の排除 | 第1種、第3種 |
正圧・負圧にもなるので全てにおいて適用されます。
よく問題で出題されるには、手術室・クリ―ンル―ム、ボイラ室です。
これらは第2種換気方式なので必ず覚えましょう。
- 令和2年問題52
- 令和元年問題75
- 平成29年問題78
問題80
温熱環境要素の測定器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 温度の測定には、金属の膨張を利用する方法がある。
- 熱線風速計には、定電圧式と定温度式がある。
- アウグスト乾湿計の乾球温度は、一般に湿球温度より高い値を示す。
- グロ―ブ温度計の値は、平均放射温度(MRT)と反比例する関係にある。
- 相対湿度の測定器には、電気抵抗を利用するものがある。
答え【4】
(4)が誤りです。まず平均放射温度(MRT)とは、周囲の全方向から受ける熱放射を平均化して温度表示 したもの。
とあります。
平均放射温度(MRT)が高くなるとグロ―ブ温度は高くなり、気流速度が小さくなるにつれ、グロ―ブ温度は平均放射温度(MRT)に近づく。
つまり(4)はグロ―ブ温度計の値は、平均放射温度(MRT)と比例する関係にある。
といえます。
(1)はバイメタル式温度計のことですね。
バイメタル温度計は、膨張率の異なる2種類の金属を張り合わせたバイメタルが、膨張率の差により、温度変化に伴って変形することを利用して、温度を指示する温度計です。
- 令和2年問題78
- 令和元年問題77
- 平成30年問題75
- 平成29年問題80
- 平成27年問題79
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