平成28年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
人の温熱的快適性に影響する因子として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 代謝量
- 室内の相対湿度
- 室内の二酸化炭素濃度
- 性差
- 加齢
答え【3】
温熱的快適性に影響する因子は気温・湿度・風速・熱放射(平均放射温度)の4要素と人体側として活動状態(エネルギ―代謝量)・着衣量の2要素、計6要素がある。これを温熱環境要素という。
それに 年齢、季節、性別も影響します。
従って二酸化炭素が最も不適当です。
問題27
熱中症で起こる症状として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- けいれん
- 失神
- 下痢・嘔吐
- 体温低下
- 頭痛・めまい
答え【4】
(4)は体温低下ではなく体温上昇です。体温上昇は熱射病を発症致します。
熱中症
人は恒温動物であり、体温は調節機構により通常は37℃付近に維持されるが、何らかの原因により調節不全または調節不能の状態を来し、異常な体温上昇や 循環不全、電解質異常を来すことにより生じる障害を総称して熱中症という。
重症例では生命の危機を伴うことがある。従って予防が第一である。
発症してしまった場合には迅速・適確な対応が肝要である。熱中症の種類は下記表に示す通りです。
(軽症) | 熱失神 | 皮膚血管の拡張により血圧が低下し、脳血流が減少して起こる一過性の意識消失 |
熱けいれん | 低Na血症による筋肉のけいれんが起こった状態 | |
(中等症) | 熱疲労 | 大量の汗により脱水状態となり、全身倦怠感、脱力、めまい、頭痛、吐気、下痢などの症状が出現する状態 |
(重症) | 熱射病 | 体温上昇のため中枢神経機能が異常をきたした状態 |
日射病 | 上記の中で太陽光が原因で起こるもの |
熱失神
長時間、頭頚部が直射日光に曝されることにより抹消血管の拡張を生じ、相対的な体循環血液の減少を来して、めまいや失神が起こることがある。
また、、高温多湿時に急に激しい運動を始めたり、逆に激しい運動をしていたのを急に休止したりした場合、めまいや失神を来すことがある。
熱けいれん
熱の放射時の過剰な発汗により身体から水分と塩分(主にナトリウム)が失われる。その際、水分を大量に摂取すると、塩分が薄まり、有痛性の 筋収縮が生じることがある。これを熱けいれんという。
熱疲労
高温高湿の環境下に長時間居ることにより大量の発汗を来し、体内の水分や塩分が不足することに加え、全身的な循環不全にによる重要諸臓器の機能低下 によるものと考えられる。異常なほど汗をかきながらも、皮膚は青白くてじっとりし、強い疲労感や頭痛、めまい、吐き気、強い口の渇きなどの兆候が特徴である。
熱射病
熱射病は、大脳の体温調節中枢が熱によって障害された状態で引き起こされる最も重い温熱障害である。体温が40℃以上であることと脳障害の症状があることが特徴である。
体温調節中枢の機能に障害を来しているため、自力での体温調節ができず、体温が急激に上昇し、危険なレベルまで達する。
熱射病の治療は、全身の冷却が第一であるが冷やし過ぎには十分に注意する。
日射病
熱射病の病態にあって、太陽光が原因で起こったものが日射病とされている。
- 令和2年問題26
- 令和元年問題26
- 平成30年問題24
- 平成27年問題25
問題28
空気汚染物質とその健康障害との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- オゾン―――――――気道粘膜刺激
- ホルムアルデヒド――シックハウス症候群
- ハウスダスト――――喘息
- たばこ煙――――――慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 二酸化窒素―――――過敏性肺炎
答え【5】
二酸化窒素は、慢性気管支炎、胃腸障害、不眠症を引き起こすといわれています。過敏性肺炎は有機粉じんの吸入によって起こるアレルギ―疾患です。
- 令和2年問題32
- 令和元年問題30
- 平成30年問題27
問題29
建築物環境衛生管理基準におけるホルムアルデヒド量の基準値として、正しいものは次のうちどれか。
- 1mg/m3以下
- 0.5mg/m3以下
- 0.15mg/m3以下
- 0.1mg/m3以下
- 0.08mg/m3以下
答え【4】
これはそのまま覚えるしかありません。(4)の0.1mg/m3以下です。
問題30
浮遊粉じんに関する次の文章の[ ]内に入る数値の組合せとして、最も適当なものはどれか。
粒径[ ア ]μm以下の粉じんは長時間にわたり浮遊し、ヒトの気道内に取り込まれる。特に肺に沈着し、人体に有害な影響を及ぼすのは、通常[ イ ]μm前後から以下の大きさである。
- (ア)50――――――(イ)10
- (ア)40――――――(イ)10
- (ア)20――――――(イ)5
- (ア)10――――――(イ)5
- (ア)10――――――(イ)1
答え【5】
粒径[ 10 ]μm以下の粉じんは長時間にわたり浮遊し、ヒトの気道内に取り込まれる。特に肺に沈着し、人体に有害な影響を及ぼすのは、通常[ 1 ]μm前後から以下の大きさである。
10μm以上の大きな粉じんは、発じんしてもすぐに沈降するので、長時間にわたり浮遊して、ヒトの呼吸によって気道内に取り込まれることは少ない。
5μm程度のものは、気道の粘液と有毛細胞の線毛に捕捉されて、粘液線毛運動により排出される。
従って、肺に沈着し、人体に有害な影響を及ぼす粉じんは、通常1μm前後から以下の大きさである。
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