平成27年度給水及び排水の管理「過去問題解説5」
問題126
排水の水質に関する用語の説明として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 透視度――浮遊物質と相関を示すことが多く、処理の進行状況を推定する指標である。
- DO―――水中に溶解している分子状の酸素をいい、生物処理工程の管理や放流水質を評価する際の指標である。
- COD―――水中の酸化可能性物質、主として有機物質が好気性微生物によって分解される際に消費される酸素量を表す。
- 溶解性物質―――試料をガラス繊維ろ紙(孔径1μm)でろ過し、ろ液を蒸発乾固したときの残留物の重量で表す。
- 活性汚泥浮遊物質(MLSS)―――ばっ気槽混合液の浮遊物質のことで、活性汚泥中の微生物量の指標の一つとして用いられる。
答え【3】
(3)の説明はBOD(生物化学的酸素要求量)です。BOD(生物化学的酸素要求量)とは水中の酸化可能性物質、主として有機物質が好気性微生物によって分解される際に消費される酸素量で、20℃、暗所、5日間で消費された溶存酸素量で表します。
COD(化学的酸素要求量)とは、水中の酸化可能性物質、主として有機物質が酸化剤によって酸化される際に消費される酸素量を表したものです。
(BOD/COD)の比が高い排水は、浄化槽処理において、物理化学処理法より生物処理法が適している。低い場合は物理化学処理法が適している。
問題127
排水トラップに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 自掃作用とは、排水の流下水勢によって、トラップの封水部に沈積又は付着するおそれのある夾雑物(きょう)を押し流す作用をいう。
- 排水トラップの深さとは、ディップからウェアまでの垂直距離をいう。
- 封水強度とは、排水管内に正圧又は負圧が生じたときのトラップの封水保持能力をいう。
- トラップの脚断面積比とは、流入脚断面積を流出脚断面積で除した値をいう。
- ドラムトラップは、実験排水などの固形物が排出されるおそれのある箇所に用いられる。
答え【4】
(4)はトラップの脚断面積比とは、流出脚断面積を流入脚断面積で除した値をいう。トラップ
トラップとは、排水設備の配管の途中に設けられ下水道の悪臭や硫化水素などのガスを遮断し、屋内へ侵入するのを防ぐもの。
トラップの種類
- Pトラップ、Sトラップ、Uトラップ等を管トラップといいます。
- ドラムトラップ、ワントラップ等を非サイホントラップといいます。
- 管トラップはサイホントラップといわれ、水が流れる時、管の中が満水となるので封水損失を起こしやすいが、小型で自掃作用を有する。
- Uトラップは、排水管の途中に設ける。
- 二重トラップは禁止
- 容易に清掃できる構造とする。
- トラップのウエアとディップの垂直距離を封水深という。
- 封水がディップより下がって有効封水深がなくなり空気が流通するようになった状態を破封という。
- トラップは良好な自掃作用をもつこと。
- 断面積比(流出脚断面積/流入脚断面積)の大きいトラップは、満管になりやすく流速も遅くなるので、サイホン現象を起こしにくく破封しにくい。
- 蛇腹ホ―スなどでル―プ状にしてテ―プや針金で止めて封水を確保するようなものは、テ―プや針金が外れるとトラップを形成しないため、トラップとして認められないので、設けてはなりません。
上記トラップは暗記しましょう。
特に管トラップはサイホントラップで、ワントラップ等は非サイホントラップであること。二重トラップは絶対してはいけない。
断面積比(流出脚断面積/流入脚断面積)これも間違えないように。
断面積比は流出/流入←これ間違えない。たまに流入/流出と出題されている。
問題128
排水通気設備に関する語句の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- トラップの補給水装置―――封水の保持
- オイル阻集器―――――――ちゅう房排水の油脂分の阻止・分離・収集
- 誘導サイホン作用―――――管内圧力変動による封水の損失
- 排水口開放――――――――洗濯機排水管
- 雨水トラップ―――――――ル―フドレンからの悪臭の防止
答え【2】
(2)ですが- ちゅう房→グリ―ス
- オイル→ガソリン
間違えないようにしましょう。
阻集器
- 阻集器の目的
- 排水中の排水管を閉塞したり、あるいは排水施設に損傷を与える有害・危険な物質を阻集・分離・収集して排水のみを自然流下されることが目的。
- 排水中に含まれる貴金属等を排水と分離回収する。
- トラップが設けられていないグリ―ス阻集器にトラップを設ける場合は、阻集器の出口側に設ける。
- 阻集器に設けるトラップの封水深さは50mm以上とする。
- グリ―ス阻集器
- ちゅう房・調理場に設ける。
- 排水中の油脂類に流出阻止・分離・収集が目的
- グリ―ス阻集器から発生する廃棄物は、産業廃棄物である。
- 封水深は100mm以上ないとグリ―スが下流に押し出されてしまう。
- オイル阻集器
- 別名ガソリントラップ。ガソリンスタンド・自動車修理工場・洗車場などに設置
- 可燃物のガソリン、油脂類の流出阻止・分離・収集を行う。
- 通気管は単独とし、屋外に開放。
- プラスタ阻集器
- プラスタとは石こう(石膏)のこと。つまり歯科技工室、外科ギブス室等から排出されるプラスタ(石膏)の流出阻止・分離・収集を行う。
- 砂阻集器
- 工場や土木建築物現場用
- 土砂、セメントその他重い物質の流出阻止・分離・収集を行う。
- トラップの封水深は150mm以上が望ましい。
- 毛髪阻集器
- 別名ヘアキャッチャ―。浴場・美容室・プ―ル等の化粧品の油脂・毛髪等の流出阻止・分離・収集を行う。
ここでのポイントは
阻集器とは:有害・危険な物質を阻集・分離・収集を行うことにより排水の流れを円滑におこなうこと。
- グリ―ス・・・厨房から出る油類
- オイル・・・・車のガソリン類
- プラスタ・・・病院のギブス類
- 毛髪・・・・・浴室・美容室等の髪・化粧品類
- 砂・・・・・・土砂・セメント
問題129
排水通気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 飲料用貯水槽の間接排水管の排水口空間は、最小100mmとする。
- 敷地内排水設備における分流式排水方式では、汚水と雑排水を別々の系統で排除する。
- 排水管に設置する掃除口の口径は、排水管径が100mm以下の場合には排水管と同一管径とする。
- 排水槽の底部の勾配は、吸込みピットに向かって1/15以上1/10以下とする。
- 通気立て管の下部は、最低部の排水横枝管より低い位置で排水立て管から取り出す。
答え【1】
(1)ですが飲料用貯水槽の間接排水管の排水口空間は、最小150mmとする。
間接排水管の管径[mm] | 排水口空間[mm] |
---|---|
25以下 | 最小50 |
30~50 | 最小100 |
65以上 | 最小150 |
各種飲料水用の給水タンク等の間接排水管 | 最小150 |
管径が100mm以下の場合は配管と同じ大きさ、100mmを超える場合は100mmより小さくしてはいけない
後の選択枠も重要です。
問題130
排水通気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特殊継手排水システムは、排水横枝管への接続器具数が多い事務所建築物の排水系統に用いられる。
- ル―プ通気方式は、通気管を最上流の器具排水管が排水横枝管に接続される位置のすぐ下流から立ち上げて、通気立て管に接続する方式をいう。
- 各個通気方式は、排水横枝管に接続された衛生器具の自己サイホン作用の防止に有効である。
- 伸頂通気方式は、排水横主管以降が満流となる場合には使用してはならない。
- 結合通気管は、高層建築物でブランチ間隔10以上の排水立て管において、最上階から数えてブランチ間隔10以内ごとに設ける。
答え【1】
(1)の特殊継手排水システムとは伸頂通気方式を改良したもので
排水横枝管と排水立て管の接続部分に特殊な継手を用いて排水立て管内の排水流速を低減することができるシステムです。
排水横枝管への接続器具数が少ない集合住宅やホテルの客室系統の排水系統に用いられる。
通気立て管
ブランチ間隔が3以上の排水立て管でル―プ通気方式または各個通気方式を設ける場合は、通気立て管を設ける2管式とする。
各個通気方式
1個のトラップを通気する為、トラップ下流から取り出し、その器具よりも上方で通気系統に接続するか、または大気中に開口するように
設けた通気管をいう。
自己サイホン作用を防止するのに有効
ル―プ通気管方式
2個以上のトラップを保護するために最上流の器具排水管が排水横枝管に接続する点のすぐ下流から立ち上げて、通気立管または 伸頂通気管に接続するまでの通気管をいう。
伸頂通気方式
伸頂通気管とは最上部の排水横管が排水立管に接続した点よりもさらに上方へ、その排水立管を、管径を縮小せずに立ち上げ、これを 通気管に使用する部分をいう。
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