平成27年度給水及び排水の管理「過去問題解説2」
問題111
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 高層建築物では、圧力を抑えるために上下の系統分け(ゾ―ニング)を行う。
- 高置水槽方式の揚水管は、高置水槽に向かって上り勾配で配管する。
- 止水弁は、主管からの分岐、各系統の起点、機器との接続部等に設置される。
- ポンプ直送方式は、一般に下向き配管方式が用いられる。
- 貯水槽と給水ポンプとの間には、可とう継手を使用する。
答え【4】
(4)ポンプ直送方式は、一般に上向き配管方式が用いられる。ポンプ直送方式とは左図のようなもので、基本受水槽等は1階か地下に設置されている場合が多くそこから加圧ポンプで各場所に給水する方式なので基本上向き配管方式になります。
逆に高置水槽方式は高置水槽は屋上に設置されている場合が多いので下向き配管方式になります。
(1)のゾ―ニングとは
ゾ―ニングとは
高層建築物では、給水を1系統で行うと、下層階において給水圧力が過大になる。そのため中間水槽や減圧弁を用いて上下の系統わけを行う。それをゾ―ニングという。一般的にはホテル、住宅では0.3MPa、事務所・工場では0.5MPaを上限水圧とする。
(5)は建物の揺れ、配管の振動等による変位を吸収するため、貯水槽と配管との接続には可とう継手を使用します。
問題112
給水設備機器に関する次の記述のち、最も不適当なものはどれか。
- 鋼板製貯水槽は、FRP製に比べて機械的強度が大きい。
- ポンプは、前面に保守点検スペ―スを取って配置する。
- 直結増圧方式における増圧ポンプの制御には、推定末端圧力一定制御方式がある。
- 木製貯水槽は、形状が円形又は楕円形に限られる。
- FRP製貯水槽は、紫外線に強い。
答え【5】
(5)はFRP製貯水槽は、紫外線に弱い(紫外線により劣化する恐れがある。)。FRP製貯水槽
FRP製貯水槽についての問題も多く出題されている。
- FRP製貯水槽は軽量で施工性に富み、耐食性があり衛生的であるため、貯水槽の主流となっている。
- 藻類が繁殖しないように照度率は0.1%以下とする。
- FRP製貯水槽は、機械的強度が低い。
- 複合板構造のFRP製貯水槽は結露による問題がない。
- 経年変化による強度劣化があり、紫外線に弱い。
ステンレス鋼板製貯水槽
- 強度があり、普通鋼板に比べ板厚を薄くできる。また、重量も軽くでき外観もきれい。
- 耐食性に優れている。
- 塩素による気相部に腐食が発生することがある。
木製貯水槽
- 木製貯水槽は、堅ろうで狭い場所の搬入・現場組立が容易である。
- 断熱性に優れているため、結露の心配がほとんどない。
- 貯水槽の形状が円形及び楕円形に限定される。
- 大型貯水槽には、木製のものもある。
鋼板製貯水槽
- 加工性に優れ、価格も安い
- 機械的強度も強い。
- 耐震補強をする心配がない。
- 防錆処理被膜を毎年点検する必要がある。
- 防錆処理被膜が破壊されると、本体の鉄の腐食が進行する。
貯水槽の種類の特徴はしっかり覚える。
問題113
配管材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 合成樹脂ライニング鋼管のねじ接合には、管端防食継手を使用する。
- 銅管の接合方法は、一般に差込ろう接合である。
- 硬質ポリ塩化ビニル管の接合方法は、一般に融着接合である。
- ステンレス鋼管の腐食には、すき間腐食がある。
- ほとんどの金属の腐食は、電気化学作用によって発生する。
答え【3】
(3)の硬質ポリ塩化ビニル管の接合方法は、一般に接着剤による接合です。銅管
- 接合は差し込みろう接合
- 潰食・腐食
- 青水の原因となる銅イオンの溶出が継続するような場合は、水質によって酸化保護被膜が形成されていないことが考えられる。水質の改善が必要になる場合がある。
- 返湯管に銅管を用いる場合は潰食を考慮して管内流速を1.2m/s以下とする。
ステンレス鋼管
- 接合はメカニカル接合とTIG溶接
- TIG溶接とはアルゴン等の不活性ガスの雰囲気中でタングステン電極と溶接母材の間にア―クを発生させて溶接する。
- ステンレス鋼管は酸化保護被膜によって耐食性を有しているので、この酸化保護被膜が破壊されると孔食、隙間腐食、残留応力腐食、もらいさびによる腐食の恐れがある。
硬質ポリ塩化ビニル管
- 塩ビ管ともいう。
- 接合は接着剤
- 硬質ポリ塩化ビニル管は建築基準法により防火区画を貫通できる太さに制限がある。
亜鉛メッキ鋼管
赤水の原因となるため現在は給水管としては使用しない。
問題114
給水設備の汚染に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 飲料水用貯水槽は、六面点検ができるように設置する。
- 貯水槽の水抜き管は、貯水槽の最も低い部分から取り出す。
- 逆サイホン作用とは、給水管内に生じた負圧により、水受け容器にいったん吐水された水が給水管内に逆流することである。
- 大便器洗浄弁には、圧力式バキュ―ムブレ―カを設置する。
- 大容量の貯水槽の場合は、槽内に迂回路(うかいろ)を設置して滞留水の発生を防止する。
答え【4】
(4)ですが、バキュ―ムブレ―カには、常時水圧がかからない場所に設ける大気圧式と、常時水圧がかかる場所に設ける圧力式があります。大便器洗浄弁には、大気圧式バキュ―ムブレ―カを設置する。
バキュ―ムブレ―カは、給水管が負圧になって逆サイホン作用を生じようとするときに空気を吸引して、負圧状態を破壊して逆サイホン作用を防止するものである。
問題115
貯水槽の清掃に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 貯水槽清掃終了後は、塩素剤を用いて2回以上、貯水槽内の消毒を行う。
- 貯水槽清掃後の水洗い及び水張りは、消毒終了後少なくとも15分経過してから行う。
- 清掃終了後の消毒は、有効塩素濃度50~100mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液などの塩素剤を用いる。
- 貯水槽清掃終了後の水質検査における遊離残留塩素濃度の基準値は、0.2mg/L以上である。
- 貯水槽清掃終了後の水質検査における色度の基準値は、5度以下である。
答え【2】
(2)は貯水槽清掃後の水洗い及び水張りは、消毒終了後少なくとも30分経過してから行う。後の選択枠も重要です。
貯水槽の水はり終了後、給水栓及び貯水槽内における水について、次の表の上欄に揚げる事項について検査を行い、当該各号の下欄に揚げる基準を満たしていることを確認すること。
基準を満たしていない場合はその原因を調査し、必要な措置を講ずること。
残留塩素の含有率 | 遊離残留塩素の場合は100万分の0.2以上 結合残留塩素の場合は100万分の1.5以上 |
色度 | 5度以下であること。 |
濁度 | 2度以下であること。 |
臭気 | 異常でないこと。 |
味 | 異常でないこと。 |
貯水槽清掃終了後は、水洗い及び水張りは、清掃終了後少なくとも、30分経過してから行う。
買い物は楽天市場