平成27年度建築物の構造概論「過去問題解説3」
問題101
エレベ―タ―設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- JIS規格に定める積載荷重が900kgのエレベ―タ―の最大定員は、13人である。
- ロ―プ式エレベ―タは汎用性が高く、中高層、超高層建築物に多用されている。
- 非常用エレベ―タ―の設置義務は、電気事業法により定められている。
- 規格型のエレベ―タでは、機械室なしが標準的な仕様となってきている。
- エレベ―タ―の安全装置には、制動装置がある。
答え【3】
(3)の非常用エレベ―タ―の設置義務は、建築基準法により定められている。ロ―プ式
ロ―プ式エレベ―タは走行機の速度制御が広範囲にわたって可能なため、中高層、超高層建築物で多用されている。
油圧式
油圧式エレベ―タは、低速エレベ―タが適当な共同住宅、あるいは大規模な事務所建築物の1階と地下駐車場を連絡する箇所等、比較的昇降工程の短い場所に使用される。
ここで覚えることは、油圧式は中高層、超高層建築物には不向きである。
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重要・・・油圧式はあくまでも低層階向け
近年、巻上機、制御盤を昇降路やピットに設置する、機械室なしエレベ―タ―が普及している。
また、エレベ―タに使用される巻上電動機には、交流式と直流式がある。規格型エレベ―タ
現在、建築物に使用されるエレベ―タの多くが規格型(JIS規格に準拠し、製作されたもの)である。この規格型エレベ―タは、量産体制がとられており、価格が安く品質も安定しており、機種が豊富で適応性に富んでいる。
定員 (人) | 積載量 | 型式 | かご内法 (mm) | 出入口幅 (mm) |
---|---|---|---|---|
6 | 450 | P-6-CO-45,60,90,105 | 1400x850 | 800 |
9 | 600 | P-9-CO-45,60,90,105 | 1400x1100 | 800 |
11 | 750 | P-11-CO-45,60,90,105 | 1400x1350 | 800 |
13 | 900 | P-13-CO-45,60,90,105 | 1600x1350 | 900 |
15 | 1000 | P-15-CO-45,60,90,105 | 1600x1500 | 900 |
非常用エレベ―タ―
- 建築基準法によって、高さ31mを超える建築物には、非常用の昇降機を設けなけなければならないと定められている。
- 非常用エレベ―タは、平常時には通常の最大17人乗り通常のエレベ―タとして使用できるが、火災時には消防隊が優先される
- 非常用エレベ―タは停電時にも使えるように予備電源の設備が備わり、火災時には使用中の呼び戻しやかごを開いたままの使用が可能。かごは消防隊の活動に適する大きさとなっている。
- 非常用エレベ―タ―の設置義務は建築基準法で定められている。
- 建築基準法で、非常用の昇降機であるエレベ―タの数は、高さ31mを超える部分の床面積が、最大の階における床面積に応じて算定し、2以上の非常用エレベ―タを設置する場合は、避難上及び 消火上有効な間隔を保って配置しなければならないと定められている。
- 令和2年問題100
- 平成30年問題101
- 平成28年問題102
問題102
LPガスとその設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- LPガスの燃焼における理論空気量は、都市ガス(13A)より小さい。
- LPガス容器は、常時40℃以下を保てる場所に設置する。
- LPガスは、空気より比重が大きく、万一漏えいした場合は、低部に滞留するおそれがある。
- LPガス容器は、一般に鋼板製のものが多い。
- LPガスは、1,000倍に希釈しても臭いを感知できる付臭剤の添加が、法令で義務付けられている。
答え【1】
(1)が誤りです。ガス設備
都市ガス及びLPガスは、いずれも臭いがほとんどないガスであるため、1000倍に希釈しても臭いを感知できる付臭剤の添加が、法令で義務付けられています。
比重については、13Aガスは空気より軽く、LPガスは空気より重い。従ってガスが漏洩した場合は、6Aガス以外の都市ガスは天井付近に、LPガスは床付近に滞留する。
また、1m3を燃焼するのに必要な空気量は、都市ガスに比べLPガスの方が多い。このため、燃焼に必要な空気をガス機器で取り込みやすくするため、LPガスの方が高い圧力で供給されている。
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上記記載内容は重要です。
項目 | 都市ガス | LPガス | ||
---|---|---|---|---|
製造ガス(L1) | 天然ガス)13A) | プロパン | n-ブタン | |
総発熱量[MJ/m3(N)] | 19.0 | 45.0 | 102 | 134 |
理論空気量[M3(N)/m3(N)] | 3.97 | 10.70 | 24.29 | 32.08 |
比重[空気1.0] | 0.543 | 0.638 | 1.550 | 2.075 |
燃焼範囲[%] | 約6~30 | 約4~14 | 約2.1~9.5 | 約1.8~8.4 |
供給圧力[kPa] | 0.5~2.0 | 1.0~2.5 | 2.2~3.3 |
- 令和元年問題99
- 平成28年問題99
問題103
防災に関する語句の組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- 展炎性―――――――材料の燃え広がりのしやすさ
- 火災荷重――――――単位容積当たり可燃物重量
- 火災――――――――二方向避難路
- ガス爆発――――――可燃性混合気
- 着火性―――――――火のつきやすさ
答え【2】
(2)の火災荷重とは空間内の建築物材や家具等の可燃物の潜在発熱量を、木材の発熱量で規準化した単位面積当たりの可燃物重量のことです。
- 令和2年問題101
問題104
建築基準法の用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 新築とは、建築物の存しない土地の部分に建築物をつくることである。
- 増築とは、既存の建築物の床面積を増加させることである。
- 改築とは、既存の建築物の全部あるいは一部を除却して、いままで建っていた建築物と構造、規模、用途が著しく異ならないものに建て替えることである。
- 建築物とは、土地に定着する工作物で、屋根及び柱若しくは壁を有するものである。
- 移転とは、建築物を別の敷地へ移動させることである。
答え【5】
(5)の移転とは建築基準法では、建築物を同一の敷地へ移動させることをいいます。たとえば
別の敷地に移動を行った場合
元の敷地では除却、移動先の敷地では新築となり、移転として扱わない。
問題105
建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 建築主事は、建築確認申請書を審査し、適法と確認した場合は建築主に確認済証を交付する。
- 高さ20mをこえる建築物には、原則として有効に避雷設備を設置しなければならない。
- 特殊建築物等の定期検査の調査者は、1級建築士、2級建築士、国土交通大臣が定める資格を有する者(特殊建築物等調査資格者)である。
- 特殊建築物等の定期検査の調査報告先は、国土交通大臣である。
- 非常用の蛍光灯照明装置は、床面で2lx以上の照度を確保しなければならない。
答え【4】
(4)は特殊建築物等の定期検査の調査報告先は、特定行政庁である。特定行政庁とは、建築主事を置く市区町村ではそこの長であり、それ以外の市町村では都道府県知事となります。
(5)は非常用の蛍光灯照明装置は、避難経路の床面が避難上有効な照明(白熱電灯で1Lx、蛍光灯で2lx以上)で30分以上継続して点灯することが定められている。
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