平成27年度建築物の構造概論「過去問題解説1」
問題91
建築物と環境に関する用語の組合せとして、最も関係が少ないものは次のうちどれか。
- ヒ―トアイラント現象――――――――都市気候
- サスティナブルディベロップメント――持続可能な開発
- メタン―――――――――――――――温室効果ガス
- リノベ―ション―――――――――――エネルギ―管理
- コ―ジュネレ―ション―――――――――排熱の有効利用
答え【4】
(4)のリノベ―ションは直接エネルギ―管理とは関係ありません。リノベ―ションとは、再生、改革等の意味を指し、建築物に関する用語として 、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり、付加価値を与えたりすることをいいます。
問題92
東京における建築物で、晴天日における日射の受熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 夏至の日の正午において、水平面が他の鉛直面に比べて最も日射量が多い。
- 照り返しは、日射の反射と熱放射に分けられる。
- 窓のブラインドを室内付けにするより外付けにした方が、日射による熱取得が大きい。
- 冬至の日において、鉛直壁面が受ける日積算日射量は、南面が最も多い。
- 南向き鉛直壁面が受ける日積算日射量は、夏至の日よりも冬至の日の方が多い。
答え【3】
(3)は正確には窓のブラインドを外付けにするより室内付けにした方が、日射による熱取得が大きい。
夏至の時期
- 最も日射受熱が大きいのは水平面(ピ―クで約900W/m2)である。
- 夏期における建築物の日射受熱を減少させ、冷房負荷を小さくする観点からは、東西の壁面・窓面はなるべく小さく、南の 壁面・窓面は大きくとるほうが有利である。
- 建築物の西側諸室の方が温熱環境化的に厳しい条件下にあるので、日射遮へい対策も重点的に施す必要がある。
冬至の時期
- 南壁面(ピ―クで800W/m2弱、1日で約5kW/m2日)の日射受熱が最も大きい。
- 暖房負荷を減ずる観点からも、南面を大きくし、東西面をなるべく小さくした方が有利である。
その他
- 南向き鉛直壁面の1日に受ける日射受熱量は、夏至の日よりも冬至の日のほうが圧倒的に多い
- 夏至の日に南向き鉛直壁面が1日に受ける日射受熱量は、緯度が高い地域ほど多い。
問題93
建築物の意匠設計図面及び建具の表示記号に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 展開図は、各室の内部壁面を時計回りに描いた図である。
- 断面図は、建築物の垂直断面を投影した図で、一般に2面以上作成する。
- 天井伏図は、天井面の仕上材、割付、照明の位置等が記入された図である。
答え【4】
(4)は両開き扉です。設計図面
設計図面は意匠図面、構造図面、設備図面に大別される。
主な図面
配置図 | 建築物と敷地の関係を示す |
平面図 | 部屋の配置を平面的に示す |
立面図 | 外観図ともいう。東西南北に面する4面を描く |
断面図 | 建築物を垂直に切断して内部の立面を示す。主要部を2面以上描く |
天井伏図(ふせず) | 天井の意匠や仕上げ、照明器具、空調器具の大きさ、配置を示す。 天井伏図(てんじょうふせず)とは部屋の天井の仕上げを床から見上げた場合の見取図。天井仕上げ材により両サイドにどれくらいの半端モノを使うか、目地の割付の寸法などを指示するために利用される図面のこと。 |
仕様書 | 建築工事における材料や製品の品質、性能、施工方法、製造者等を指示するもの |
現寸図 | 意匠的に又は構造的に複雑な部分を現尺で描く図面。現寸図は建築基準法に定める設計図書に含まれない。 |
透視図 | 雰囲気や空間の構成を理解しやすいように建築内部を透視して描いた図 |
日影図 | 冬至における日照状態を描く |
矩計図 | 断面詳細図の1種。建物の代表的な部分の外壁の詳細を示す。 建物の一部を切断して、 納まりや寸法等を細かく記入した断面図の詳細版です。 |
展開図 | 各室の内部壁面を北から時計回りに描いた図をいう。 |
主な平面表示記号
出入口一般 | アネモ型吹出口 | ||
---|---|---|---|
空調還気ダクト | 空調機 | ||
引違い窓 | エアフィルタ | ||
空調給気ダクト | 吸込口 | ||
両開き窓 | 両開き戸 | ||
片開き戸 | 自由扉 |
問題94
建築物の基礎構造と地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 地盤の許容地耐力は、地盤の許容支持力と許容沈下量を考慮して決定する。
- 地業は、基礎スラブより下に設けた割ぐり石、捨てコンクリ―ト等の部分をいう。
- 供積層は、主に台地・丘陵等に分布し、地耐力が良好な地層である。
- 液状化現象は、埋立地や砂質地盤等で生じやすい。
- べた基礎は、地耐力が強い地盤に用いられることが多い。
答え【5】
(5)のべた基礎は地耐力が弱い地盤に用いられることが多い。べた基礎とは建築物の底面全体がフ―チングとなった基礎のことで地耐力が強い地盤に用いられることが多い。
フ―チングとは、柱また壁を支える無筋または鉄筋コンクリ―トの基礎の拡がりの部分のここです。
ベタ基礎はまず耐震性を高めやすくなります。また床下の地面をすべて厚いコンクリ―トで覆うので、湿気が建物に伝わりにくくなります。
そのため湿気による住宅の木材の腐食等の心配も減ります。さらにコンクリ―トも厚いのでシロアリによる被害も防ぎやすくなります。
(4)の液状化現象とは、中粒砂のゆるい地盤で、地震力によって振動を受けると流動化し、地震力を失ってしまう現象です。
海岸・河床・埋立地・砂質地盤等で起こりやすい。
問題95
建築物の構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木質構造の工法には、在来工法、プレハブ工法、枠組壁工法(ツ―バイ方式)等がある。
- プレストレスコンクリ―ト構造は、コンクリ―トに引張力を導入することで、コンクリ―トのひび割れやクリ―プが発生しないようにした構造である。
- 混合構造は、鉄筋コンクリ―ト構造や鉄骨構造等の異なった構造の長所を生かして組み合わせた構造をいう。
- 合成ばりは、鉄骨ばりとコンクリ―トスラブをスタッドボルトなどで緊結したものである。
- 集成材は板状の材を繊維方向に平行にして重ね合わせ、長さ、幅、厚さ方向に接着して大断面にしたものである。
答え【2】
(2)のプレストレスコンクリ―ト構造は、コンクリ―トに圧縮力を導入することで、コンクリ―トのひび割れやクリ―プが発生しないようにした構造である買い物は楽天市場