平成27年度建築物の環境衛生「過去問題解説5」
問題41
水道法に基づく水質基準項目に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 亜硝酸態窒素である亜硝酸塩は、メトヘモグロビン血症の原因となる。
- 鉛及びその化合物は、神経系の障害や貧血などの中毒症状を起こす。
- カドミウムは、水俣病の原因となった。
- ベンゼンは、発がん性を有する。
- トリハロメタンは、消毒副生成物の中に含まれる。
答え【3】
(3)のカドミウムはイタイイタイ病水俣病は有機水銀です。
水銀 | 急性中毒は口内炎、下痢、腎障害、慢性中毒では貧血、白血球減少を引き起こし、さらに手足の知覚喪失、精神異常となる。 一般に 無機水銀と有機水銀に分けらえる。総水銀とは両者の合計量をいう。 |
---|---|
セレンおよびその化合物 | 金属セレンは毒性は少ないが、化合物には猛毒のものが多い。 粘膜に刺激を与え、胃腸障害、肺炎等の症状を起こし、全身けいれんから死に至ることがある。 |
鉛およびその化合物 | 神経系の障害や、貧血、頭痛、食欲不振、鉛疝痛の中毒症状を呈することが知られている。 |
ヒ素およびその化合物 | ヒ素化合物の毒性はその結合形によって異なる。 通常、3価および5価のヒ素化合物として存在し、いずれも毒性を持つが、3価のヒ素の方が5価のヒ素よりも毒性が強い。 可溶性無機ヒ素化合物を摂取すると急速に吸収され、肝臓、腎臓、消化管等に強く作用する。 |
六価クロム化合物 | 六価クロム塩を多量に摂取した場合、嘔吐、下痢、尿毒症等を引き起こす |
シアン化物イオン および塩化シアン | シアン化合物には強い毒性があり、経口的に摂取すると急速に粘膜から吸収され、血液中でシアンヘモグロビンを生成して金属を含有する呼吸酵素を阻害し、頭痛、吐き気、浮腫、けいれん、失神を起こして死亡する。 |
硝酸態窒素および 亜硝酸態窒素 | 硝酸態窒素および亜硝酸態窒素とは、水中の硝酸イオン及び硝酸塩に含まれている窒素のことをいい、亜硝酸態窒素である亜硝酸塩は、メトヘモグロビン血症の原因となります。 |
フッ素およびその化合物 | 適量に含んだ水を飲用した場合には「う歯」の予防に効果があるといわれているが、多量に含まれていると斑状菌の原因となる。 |
四塩化酸素 | 高濃度曝露によって麻酔作用を起こし、1回あるいは反復曝露によって肝臓障害を起こす。また、発がん性もあり、主に肝臓腫瘍を生じされる。 |
ベンゼン | 発癌性を有する。 |
クロロホルム | クロロホルムには強い麻酔作用があり、肝臓、腎細尿管、心臓等に細胞毒として作用する。 また、動物実験によって腎腫瘍や肝癌等発癌性が確認されている。 低濃度の慢性毒性では胃腸、肝臓障害が起こり、 高濃度では反射機能喪失、感覚麻痺、呼吸停止等が起こる。 |
消毒副生成物 | 水道水のトリハロメタン等は、水道原水中に存在するフミン質等の有機物を前駆物質として、塩素処理によって生成する。 なかでもクロロホルムは発癌物質であることが明らかとなっている。 |
亜鉛およびその化合物 | 毒性は比較的弱いが、高濃度の場合には腹痛、嘔吐、下痢等の中毒症状を起こすことがある。 |
銅およびその化合物 | 銅化合物は藻類、カビ類、無脊椎動物に対しては強い毒性があるが、哺乳類に対しては蓄積性が認められてないので慢性中毒の恐れは少ない。 |
マンガンおよびその化合物 | 過剰摂取すると全身倦怠感、頭痛、不眠、言語不明瞭等の中毒症状を起こす。 |
問題42
病原体の種類とその感染症との組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。
- 原虫―――――――白癬症
- 真菌―――――――発疹チフス
- リケッチア――――B型肝炎
- 細菌―――――――ペスト
- ウイルス―――――マラリア
答え【4】
正しいのは(4)です。感染症と病原体の種類
分類 | 大きさと形態 | 感染症の例 |
---|---|---|
ウイルス | 10~400nm球状の小体 | 麻しん、痘そう、インフルエンザ、日本脳炎、ポリオ、B型肝炎 |
細菌 | 1μm前後球形ないし櫛形の単細胞生物 | コレラ、赤痢、腸チフス、ベスト、結核、レジオネラ症、パラチフス |
リケッチア | 300~500nm球球ないしは裸形の小体 | 発疹チフス、つつが虫病 |
真菌 | 1~10μm程度の仲間 | カンジダ症、白癬症 |
スピロヘ―タ | 6~15μmらせん形の細長い単細胞生物 | 梅毒、ワイル病 |
原虫 | 20~500μm以上単細胞生物 | マラリア、クリプトポリジウム症 |
- 令和元年問題41
- 平成30年問題41
- 平成29年問題42
- 平成28年問題41
問題43
クリプトスポリジウム症とその病原体に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 病原体はウイルスである。
- 水の塩素消毒は病原体に対して有効である。
- 病原体を含む微細な水滴が肺に吸入されて発症する。
- 潜伏期間は2~3日である。
- 病原体による水の汚染を判断する上で、指標菌の検査は有用である。
答え【5】
(5)はクリプトスポリジウム症の感染経路は糞便による汚染も多いので大腸菌および嫌気性芽胞菌の検査を実施する。(1)は病原体は原虫です。
(2)芽胞と呼ばれる殻により、塩素に抵抗を示し、水の塩素消毒は病原体に対して無効です。
(3)病原体を含む水を経口摂取して発症。
(4)潜伏時間は1週間です。
- 令和2年問題44
問題44
薬液消毒剤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ホルマリンは、皮膚や粘膜に対して刺激作用を示す。
- 次亜塩素酸ナトリウムは、対象物に有機物が多く含まれていると消毒力が減退する。
- 消毒用エタノ―ルは芽胞に対して有効である。
- 逆性石けんは、手指や金属器具などの消毒に用いられる。
- クレゾ―ルは、多くのウイルスに対して無効である。
答え【3】
消毒用エタノ―ルは芽胞に対して無効です。消毒剤
薬品名 | 用途 | 効果 | 備考 |
---|---|---|---|
クレゾ―ル「3%」 | ほとんどの物件(飲食物、食器には不適) | 芽胞、ウイルスには無効 | 手の消毒には1~2%消毒液 |
次亜塩素酸ナトリウム | 井戸、水槽、汚水、し尿、その他廃棄物 | 細菌、ウイルスに有効、芽胞には効果が得られにくい | 有機物が多いと効力は減退 |
ホルマリン | 衣服、寝具、ガラス器 | すべての微生物に有効 | 皮膚、粘膜を強く刺激するので手指の消毒に不適 |
逆性石鹸 | 手指、ガラス器、金属器具 | 結核菌、ウイルスには無効 | 有機物が多い場合は不適 |
消毒用エタノ―ル | 手指、皮膚、医療器具 | 芽胞、一部のウイルスには無効 | ホルマリンの存在は殺菌力を減少させる。 70%が至適濃度 |
酸化エチレン (エチレンオキサイド) | ガス減菌 |
ここでのポイント
- ホルマリンは刺激性がある。芽胞やウイルスなどほとんどの微生物に有効
- クレゾ―ルは臭いがあるため食器には適さない。
- エタノ―ルは芽胞や一部のウイルスに無効
- 逆性石鹸は手指、ガラス器、金属器具に適する。
- 令和2年問題45
- 令和元年問題44
- 平成30年問題44
- 平成28年問題44
問題45
5%溶液として市販されている次亜塩素酸ナトリウム30mlに適当な量の水を加えて、25mg/Lの濃度に希釈したい。加える水の量として最も近いものは次のうちどれか。
- 6L
- 37.5L
- 60L
- 375L
- 600L
答え【3】
まずここで、少し問題を解く際のポイントを記載いたします。まず、水溶液の濃度の表し方には2種類あります。 濃度を%と表す場合と体積で表す方法です。
- (溶質の質量[g] / (水溶液の質量[g]) x 100 = 水溶液の濃度[%]
- (溶質の質量[mg] / (水溶液の体積[L] = 水溶液の濃度[mg/L]
まず
解答枠の単位に注目するとLです。
従ってまず整理すると
5%溶液として市販されている次亜塩素酸ナトリウム30ml
ということは
0.05 x 30ml = 1.5mlになります。
これが正味の量になります。
上記の事から
水の密度:1mLは1g
になりますので
1.5ml = 1.5g=1500mg
になります。
1,500÷25=60L
になります。
この水溶液の問題でどうしても解き方がわからない場合はこのように解答枠の単位に着目して
問題文から導けばほとんどの問題が解けます。
- 令和元年問題45
- 平成30年問題45
- 平成29年問題45
- 平成28年問題45
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