平成27年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
シックビル症候群に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 症状のほとんどは、該当ビルを離れると解消する。
- 体質が発症に関係する。
- 原因となる物質が同定されている。
- 特異的な症状はない。
- 仕事のストレスは発症に関与する。
答え【3】
(3)は原因となる物質が同定されていません。シックビル症候群(症状)
粘膜の症状 | 眼、鼻、喉の刺激 |
中枢神経系の症状 | 頭痛、疲労、倦怠感、吐き気、めまい |
精神神経症状 | 抑うつ、不安、集中力・記憶力の低下 |
呼吸器系の症状 | 胸部圧迫感、胸やけ、息切れ、咳 |
皮膚の症状 | 乾燥、掻痒感、紅斑、ジンマシン、湿疹 |
上記症状は丸暗記すること。
今まで出題された不適当な症状
- 狭心症などの循環器症状を伴う。
- 昂揚感(高揚感)
シックビル症候群(定義)
- そのビルの居住者の20%以上が不快感にもとづく症状の訴えを申し出る。
- それらの症状の原因は必ずしも明確ではない。
- それらの症状のほとんどは該当ビルを離れたら解除する。
定義には該当ビルを離れたら解除するとなっています。(これ覚えておこう。)
慢性的なシックビル症候群の起きやすい建築物の発生要因
- 室内の空気が循環されている。
- 屋外空気の換気量の低減。
- 気密性が高すぎる。
- 室内がテクスタイルやカ―ペット仕上げになってている。
シックビル症候群につながる危険因子
個人の医学的背景 | アトピ―体質、アレルギ―疾患、皮膚炎、女性の更年期 |
仕事の要因 | 複写機、改築、改装、職場のストレス |
建築物の要因 | 室外空気の供給不足、清掃の回数不足など |
- 平成元年問題27
- 平成30年問題26
- 平成29年問題27
問題27
気管支喘息に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 原因となるアレルゲンは、ペットの毛が最も多い。
- 免疫グロブリンは、アレルゲンの一つである。
- 患者の素因は、発症、増悪に関係しない。
- アレルゲンの同定は、予防や治療の上で重要である。
- 増悪予防には、部屋の湿度を下げる。
答え【4】
(1)は原因となるアレルゲンは、ヒョウニダニ類が最も多い。(2)の免疫グロブリンとは抗体としての構造・機能をもつ一群の血清たんぱく質を免疫グロブリンと呼びます。
一方アレルゲンとはアレルギ―疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原のことをいいます。
(3)ですが、気管支喘息は、患者の素因が、発症・増悪に関係するので、予防や治療上、原因物質の同定が重要である。
(5)の部屋の温度を下げるとこれらの物質が飛散しやすくなり、逆に症状が悪化する傾向になる。
- 令和元年問題28
問題28
ホルムアルデヒドに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 水やアルコ―ルに溶けやすい。
- 常温では気体として存在する。
- 合成樹脂や接着剤の原料となる。
- 不燃性である。
- 発がん性がある。
答え【4】
(4)ですが、ホルムアルデヒドは、常温では可燃性の無色の気体である。水やアルコ―ル等に溶けやすい。- ホルムアルデヒドは、常温では可燃性の無色の気体である。水やアルコ―ル等に溶けやすい。
- 35~38%水溶液はホルマリンと呼ばれている。
- ホルムアルデヒドは還元性が強く、人間にとって毒性、刺激性が強い。発がん性が確認されている。
- 建材、洗剤、化粧品、消毒剤、防腐剤に利用されている。
- 燃焼排気ガス、たばこ煙中にも存在
- シックハウス症候群及び肺気腫の原因物質である。
- 建築基準法によって居室の種類によるホルムアルデヒド発散建築材料の面積制限と換気設備の設置が義務付けられている。
- 令和2年問題31
- 平成30年問題28
- 平成29年問題30
問題29
酸素欠乏に関する次の文章の[ ]内に入る数値として、正しいものはどれか。
労働安全衛生法に基づく酸素欠乏症防止規則(酸欠則)では、空気中の酸素濃度が[ ]%未満である状態を酸素欠乏と定義している。
- 20
- 18
- 16
- 10
- 4
答え【2】
労働安全衛生法に基づく酸素欠乏症防止規則(酸欠則)では、空気中の酸素濃度が[ 18 ]%未満である状態を酸素欠乏と定義している。これはそのまま覚えましょう。
従って排水槽の清掃を行うときは最初に酸素濃度が18%以上、硫化水素濃度が10ppm以下あることを確認すること。
とありこれは酸素欠乏症にならないために18%以上であることを確認する意味があります。
酸素濃度の影響
酸素欠乏とは、酸素濃度が18%未満である状態。
濃度[%] | 症状 |
---|---|
17~ | 呼吸・脈拍増加、めまい |
15~14 | 労働困難・注意力・判断力低下 |
11~10 | 呼吸困難、眠気、動作が鈍くなる |
7~6 | 顔色が悪い・口唇が青紫色・感覚鈍重・知覚を失う |
4以下 | 40秒以内に知覚を失い、卒倒 |
- 令和元年問題26
問題30
二酸化炭素濃度に関する次の文章の[ ]内に入る数値として、最も適当なものはどれか。
建築物衛生法では、室内の二酸化炭素濃度が[ ]%以下と定められ、それ以下であれば必要換気量を確保できているとみなされる。
- 0.04
- 0.1
- 0.5
- 1
- 4
答え【2】
0.1%は1000ppmです。従ってビル管理法での空気環境の基準値は「1000.ppm以下と定めています。
二酸化炭素
二酸化炭素濃度は空気の汚れの一般的な指標とされている。
二酸化炭素は人の呼気に4%含まれている。
二酸化炭素の影響
濃度[%] | 症状 |
---|---|
0.55 | 6時間曝露で症状なし |
1~2 | 不快感を起こす。 |
3~4 | 呼吸中枢を刺激されて呼吸の増加・脈拍・血圧の上昇・頭痛・めまい等起こす。 |
6 | 呼吸困難 |
7~10 | 数分間で意識不明となり、チアノ―ゼが起こり死亡 |
良好な室内環境を維持するために必要な換気量は1人当たり約30m3/h以上確保されている必要がある。
室内の二酸化炭素濃度が1000ppm以下であれば、必要換気量(1人当たり約30m3/h以上)が確保されていると見なすことができる。
- 令和2年問題29
- 平成30年問題31
- 平成29年問題33
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