令和3年度給水及び排水の管理「過去問題解説6」
問題131
排水槽と排水ポンプに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 排水槽の底部の勾配は、吸込みピットに向かって1/15以上1/10以下とする。
- 排水槽内は、ブロワによってばっ気すると正圧になるので排気を行う。
- 排水槽のマンホ―ルは、排水水中ポンプ又はフ―ト弁の直上に設置する。
- 排水ポンプは、排水槽の吸込みピットの壁面から100mm程度離して設置する。
- 厨房用の排水槽には、汚物ポンプを用いる。
答え【4】
排水ポンプは、排水槽の吸込みピットの壁面から200mm程度離して設置する。排水槽の構造
- 内部の保守点検が容易な位置に有効内径600mm(直径が60cm以上の円が内接することができるもの)以上の 密閉型マンホ―ルを設ける。
- マンホ―ルは2個以上設けることが望ましい。
- 通気管は単独に大気中に開口する。
- 排水槽の底部には吸込みピットを設け、排水槽の底部には1/15以上、1/10以下の勾配を設ける。
- 排水槽は、通気管以外の部分から臭気が漏れない構造とする。
- ちゅう房排水槽と汚水排水槽は別々に設置することが望ましい。
- 排水槽のマンホ―ルふたはパッキン付き密閉型にする。
- 湧水槽は、二重ピットに発生する湧水を排出するもので、湧水槽のポンプ起動水位は2重スラブ床面以下とし て滞留期間を短くして水の腐敗、衛生害虫の発生を防止する。
- 吸込みピットは水中ポンプの周囲に保守のためにスペ―スとして200mm以上の空間を設けられる大きさとする。
ここも、すべて重要だがマンホ―ルの有効内径60cm以上、排水槽の勾配1/15以上、1/10以下などは確実に覚える。
- 排水槽の満水、ポンプの運転の制御には電極棒は使わない。(電極棒は汚物により誤作動の原因になる)。
- 排水槽の満水、ポンプの運転の制御にはフロ―トスイッチが適している。
- 排水ポンプは原則2台設置し自動交互運転とする。
- 排水ポンプには、水中ポンプ、立て型ポンプ、横型ポンプ等があるが、設置スペ―スが要らない水中ポンプが多用されている。
排水ポンプの種類
排水ポンプには、主に汚水ポンプ、雑排水ポンプ・汚物ポンプに分類される。
対象排水 | 最少口径 [mm] | 通過異物の大きさ | 補足 | |
---|---|---|---|---|
汚水ポンプ | 浄化槽排水、湧水、雨水 | 40 | 口径の10%以下 | 原則固形物を含まない排水。 |
雑排水ポンプ | ちゅう房以外の雑排水、雨水 | 50 | 口径の30~40%以下 | 口径50mmで20mmの球形異物が通過すること。 |
汚物ポンプ ノングロッグ型 | 汚水、ちゅう房排水、産業排水 | 80 | 口径の50~60%以下 | 口径80mmで53mmの球形異物が通過すること。 |
汚物ポンプ ボルテックス型 | 汚水、ちゅう房排水、産業排水 | 80 | 口径の100% | 口径80mmで53mmの球形異物が通過すること。 |
- 汚水ポンプ
- 原則として固形物を含まない排水用。
- 雑排水ポンプ
- 小さな固形物を含む排水用。
- 汚物ポンプ
- 大小便等の汚水、厨房排水等固形物を含む排水用
- 排水ポンプは汚水の流入部の近くに設置すると汚水の流入とともにエアを吸う恐れがあるので、流入部より離して設置する。
- 水中ポンプの電動機は損傷防止のため、常時水没させておく。
問題132
排水管に設置する掃除口と排水ますに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 掃除口の設置間隔は、排水管の管径が75mmの場合には、25m程度とする。
- 排水ますは、敷地排水管の直管が長い場合、管内径の120倍を超えない範囲内に設置する。
- 掃除口の口径は、排水管の管径が125mmの場合には、100mmとする。
- 掃除口は、建物内の排水横主管と敷地排水管との接続箇所の近くに設置する。
- 排水ますの大きさは、配管の埋設深度、接続する配管の大きさと本数、及び点検等を考慮して決定する。
答え【1】
掃除口の設置間隔は、排水管の管径が75mmの場合には、15m以内とする。掃除口の設置間隔は30mを限度とし、管径が100mm以下の場合は15m以内とする。
管径が100mm以下の場合は配管と同じ大きさ、100mmを超える場合は100mmより小さくしてはいけない。問題133
排水槽と排水ポンプの保守管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 排水槽内の悪臭防止対策としては、1~2時間を超えて排水を貯留しないように、タイマ制御による強制排水を行う。
- 排水槽の清掃作業は、酸素濃度を確認した後、硫化水素濃度が10ppm以下であることを確認する。
- 排水ポンプは、3ヵ月に1回絶縁抵抗の測定を行い、1MΩ以上であることを確認する。
- 排水槽の清掃は、6ヵ月以内に1回行うことが建築物環境衛生管理基準で規定されている。
- 排水ポンプは、1~2年に1回程度、メカニカルシ―ルの交換を行う。
答え【3】
排水ポンプは、1ヵ月に1回絶縁抵抗の測定を行い、1MΩ以上であることを確認する。排水槽の清掃
- 清掃に用いる照明器具は防爆型で、作業に十分な照度を確保できるものであること。
- 排水槽には、爆発性のあるメタンガスや有毒な硫化水素等が充満していることがあるので、火気に注意する とともに、換気を十分に行い安全を確認してから槽内に立ち入ること。また、換気は作業が完全に終了するまで継続して行うこと。
- 清掃終了後は、水張りを行い、水位の低下の有無を調べ、漏水がないか確認すること。
上記排水槽の清掃のポイントをまとめてみましたが、確実に暗記すること。
特に清掃に用いる照明器具は防爆型である。たまに防水型で出題されているが惑わされないように、防爆型と覚えよう
排水槽の臭気対策
- 厨房排水が流入する排水槽では、水位をできるだけ下げ、ポンプの運転停止水位を排水ピットの上端よりも低い位置に設定する。
- 12時間を超えて貯留しないようにタイマ―でポンプを運転し強制排水する。あるいはばっ気撹拌装置を設ける。
- 排水槽上部室の換気回数を増やす
12時間は確実に覚えること。
排水槽の臭気対策については、過去の問題であいまいな問題が出題されています。
平成26年問題133(1)
排水槽内の悪臭防止対策としては、1~2時間を超えて排水を貯留しないようにタイマによる強制排水を行う。
平成20年問題133(1)
排水槽内の排水は、12時間を超えて貯留しないように、タイマ―で強制排水することが望ましい。
良く当サイトにも質問されます。
1~2時間それとも12時間どっちが正しいの?
この問題実は明確な時間を決められていないのです。
排水ポンプの自動運転
排水ポンプの自動運転は、通常水位制御によって行われる。
しかし、排水槽内の排水の貯留時間が数時間を超えると、腐敗による悪臭が強くなるので、それ以内の貯留時間で起動するように、タイマによる制御を水位制御と併用することが望ましい。
排水ポンプの種類
排水ポンプには、主に汚水ポンプ、雑排水ポンプ・汚物ポンプに分類される。
対象排水 | 最少口径 [mm] | 通過異物の大きさ | 補足 | |
---|---|---|---|---|
汚水ポンプ | 浄化槽排水、湧水、雨水 | 40 | 口径の10%以下 | 原則固形物を含まない排水。 |
雑排水ポンプ | ちゅう房以外の雑排水、雨水 | 50 | 口径の30~40%以下 | 口径50mmで20mmの球形異物が通過すること。 |
汚物ポンプ ノングロッグ型 | 汚水、ちゅう房排水、産業排水 | 80 | 口径の50~60%以下 | 口径80mmで53mmの球形異物が通過すること。 |
汚物ポンプ ボルテックス型 | 汚水、ちゅう房排水、産業排水 | 80 | 口径の100% | 口径80mmで53mmの球形異物が通過すること。 |
- 汚水ポンプ
- 原則として固形物を含まない排水用。
- 雑排水ポンプ
- 小さな固形物を含む排水用。
- 汚物ポンプ
- 大小便等の汚水、厨房排水等固形物を含む排水用
- 排水ポンプは汚水の流入部の近くに設置すると汚水の流入とともにエアを吸う恐れがあるので、流入部より離して設置する。
- 水中ポンプの電動機は損傷防止のため、常時水没させておく。
排水ポンプの定期点検
日常点検 | 吐出し圧力、電流値、騒音、振動等の異常の有無を確認 |
1ヵ月に1回 | 絶縁抵抗の測定を 行い、1MΩ以上あるか確認する。 |
6ヵ月から1年に1回 | 水中ポンプのメカニカルシ―ル部のオイル交換 |
1~2年に1回 | メカニカルシ―ル交換 |
3~5年に1回 | オ―バ―ホ―ル |
問題134
排水設備とグリ―ス阻集器の保守点検に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 通気管は、1年に1回程度、定期的に、系統ごとに異常がないか点検・確認をする。
- グリ―ス阻集器のグリ―スは、7~10日に1回の間隔で除去する。
- ロッド法による排水管の清掃には、最大30mの長さにつなぎ合わせたロッド法が用いられる。
- スネ―クワイヤ法は、排水立て管の清掃に使用する場合では、長さ20m程度が限界である。
- 高圧洗浄による排水管の清掃では、0.5~3MPaの圧力の水を噴射させて洗浄する。
答え【5】
高圧ポンプを装備した高圧洗浄車、ホ―ス、ノズル等を用いて5~30MPaの高圧の水を噴射して排水管内の砂や汚物を除去する。阻集器
- 阻集器の目的
- 排水中の排水管を閉塞したり、あるいは排水施設に損傷を与える有害・危険な物質を阻集・分離・収集して排水のみを自然流下されることが目的。
- 排水中に含まれる貴金属等を排水と分離回収する。
- トラップが設けられていないグリ―ス阻集器にトラップを設ける場合は、阻集器の出口側に設ける。
- 阻集器に設けるトラップの封水深さは50mm以上とする。
- グリ―ス阻集器
- ちゅう房・調理場に設ける。
- 排水中の油脂類に流出阻止・分離・収集が目的
- グリ―ス阻集器から発生する廃棄物は、産業廃棄物である。
- 封水深は100mm以上ないとグリ―スが下流に押し出されてしまう。
- オイル阻集器
- 別名ガソリントラップ。ガソリンスタンド・自動車修理工場・洗車場などに設置
- 可燃物のガソリン、油脂類の流出阻止・分離・収集を行う。
- 通気管は単独とし、屋外に開放。
- プラスタ阻集器
- プラスタとは石こう(石膏)のこと。つまり歯科技工室、外科ギブス室等から排出されるプラスタ(石膏)の流出阻止・分離・収集を行う。
- 砂阻集器
- 工場や土木建築物現場用
- 土砂、セメントその他重い物質の流出阻止・分離・収集を行う。
- トラップの封水深は150mm以上が望ましい。
- 毛髪阻集器
- 別名ヘアキャッチャ―。浴場・美容室・プ―ル等の化粧品の油脂・毛髪等の流出阻止・分離・収集を行う。
ここでのポイントは
阻集器とは:有害・危険な物質を阻集・分離・収集を行うことにより排水の流れを円滑におこなうこと。
- グリ―ス・・・厨房から出る油類
- オイル・・・・車のガソリン類
- プラスタ・・・病院のギブス類
- 毛髪・・・・・浴室・美容室等の髪・化粧品類
- 砂・・・・・・土砂・セメント
グリ―ス阻集器の清掃
ストレ―ナのちゅう芥 | 毎日除去 |
グリ―ス | 7~10日に一度除去・清掃 |
槽内の底、壁面、トラップ等に付着したグリ―スや沈殿物 | 1~2ヵ月に1回程度高圧洗浄器にて洗浄 |
排水管の洗浄方法
排水管の洗浄方法には、スネ―クワイヤ―法、高圧洗浄法、ロッド法、ウォ―タ―ラム法などがある。
スネ―クワイヤ―法
ワイヤ―の長さは25m以下なので、排水横管では25mまで、立て管で20m程度が限界。
ここでのポイントは排水横管なのか立て管なのかしっかり覚える。高圧洗浄法
高圧ポンプを装備した高圧洗浄車、ホ―ス、ノズル等を用いて5~30MPaの高圧の水を噴射して排水管内の砂や汚物を除去する。
圧力5~30MPaは覚える。ロッド法
1~1.8mのロッドをつなぎ合わせ、手動で排水管内に挿入して清掃 する方法である
ウォ―タ―ラム法
閉塞した管内に水を送り、圧縮空気を一気に放出してその衝撃で閉塞物を除去する
問題135
大便器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 大便器の給水方式には、タンク式、洗浄方式、専用洗浄弁式がある。
- 大便器の洗浄水量は、JISA5207において、I型は8.5L以下と区分されている。
- 大便器洗浄弁が接続する給水管の管径は13mmとする。
- 大便器の取り付け状態は、6ヵ月に1回、定期に点検する。
- 大便器の節水型洗浄弁は、ハンドルを押し続けても、標準吐出量しか吐水しない機能を有している。
答え【3】
大便器洗浄弁が接続する給水管の管径は25mmとする。