令和3年度給水及び排水の管理「過去問題解説2」
問題111
給水設備の汚染に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 逆サイホン作用とは、給水管内に生じた負圧により、水受け容器にいったん吐水された水が給水管内に逆流することである。
- クロスコネクションとは、飲料水系統と他の配管系統を配管などで直接接続することである。
- 洗面器における吐水口空間は、給水栓のあふれ縁との垂直距離である。
- 大便器の洗浄弁の下流側には、一般に圧力式バキュ―ムブレ―カを設置する。
- 逆サイホン作用の防止対策の基本は、吐水口空間を設けることである。
答え【4】
バキュ―ムブレ―カには、常時圧力のかからない配管や器具に設置する大気圧式と、常時圧力はかかるが逆圧はかからない配管部分に設置する圧力式があるが、 大便器の洗浄弁には大気圧式を設置する。逆サイホン作用による飲料水の汚染の防止の基本は吐水口空間の確保であるが、吐水口空間が確保できない場合は給水側にバキュ―ムブレ―カを設置する。
二次側が開放された大便器洗浄弁のような場合は、大気圧式で逆流を防止できるが、弁の二次側も圧力がかかっているような配管では、大気圧式では給気てきず
逆流は防止できないので、一次側、二次側の圧力差で、逆止弁と吸気弁を作動させる圧力式を用いる。
問題112
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 小学校における1日当たりの設計給水量は、70~100L/人である。
- 受水槽の有効容量は、一般に1日使用水量の1/2程度である。
- 一般水栓の最低必要水圧は、30kPaである。
- 給水配管の管径は、管内の流速が2.0m/s以下となるように選定する。
- 高層ホテルの上限給水圧力は、0.7MPaである。
答え【5】
一般的にホテル・住宅では0.3MPa、事務所・商業施設では0.5MPaを上限水圧とする。
器具 | kPa |
---|---|
一般水栓 | 30 |
大便器洗浄弁 | 70 |
小便器洗浄弁 | 70 |
ガス瞬間湯沸かし器4~5号 | 40 |
ガス瞬間湯沸かし器7~16号 | 50 |
ガス瞬間湯沸かし器22~30号 | 80 |
シャワ― | 70 |
給水量(1日あたりの設計給水量)
事務所 | 60~100L/人 |
総合病院 | 1500~3500L/床 |
ホテル客室 | 350~450L/床 |
飲食店 | 55~130L/客 |
小中学校 | 70~100L/人 |
社員食堂 | 25~50L/食 |
戸立て住宅 | 300~400L/人 |
問題113
給水設備における現象とその原因の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- ウォ―タハンマ―――――シングルレバ―水栓による急閉
- 貯水槽水面の波立ち―――迂回壁の設置
- クリ―プ劣化――――――長時間継続する応力
- 青水――――――――――銅イオンの浸出
- 孔食――――――――――ステンレス鋼管内の異物の付着
答え【2】
迂回壁の設置の目的は滞留域の発生を防止します。滞留水の防止
貯水槽の構造によっては、水槽内で滞留水が発生する事があります。
水が滞留すると残留塩素が検出されなくなる場合があります。
受水槽の流入口と流出口の位置は死水(滞留水)を発生させないために対角線上に配置する。さらに大容量の貯水槽では隔壁を設けて死水を防止する。
問題114
給水設備の配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 給水管と排水管が平行して埋設される場合には、給水管は排水管の上方に埋設する。
- 止水弁は、主管からの分岐、各系統の起点、機器との接続部等に設置する。
- ポンプに弁及び配管を取り付ける場合には、その荷重が直接ポンプにかからないように支持する。
- 建物の揺れ、配管の振動等による変位を吸収するため、貯水槽と配管との接続には伸縮継手を使用する。
- 機器との接続配管は、機器の交換の際に容易に機器が外せるフランジ接合などとする。
答え【4】
建物の揺れ、配管の振動等による変位を吸収するため、その変位に追従できる可とう継手等を取り付ける。問題115
給水設備の配管に関する語句の組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- 合成樹脂ライニング鋼管(ねじ接合)―――管端防食継手
- ステンレス鋼管(溶接接合)――――TIG溶接
- 架橋ポリエチレン管―――――接着接合
- ポリブテン管―――――――メカニカル接合
- 銅管――――――差込みろう接合
答え【3】
架橋ポリエチレン管はメカニカル接合か融着接合です。架橋ポリエチレン管・ポリブテン管は耐熱性・可とう性があり、集合住宅のさや管ヘッダ工法の給水・給湯配管に使用されています。
ポリエチレン二層管・架橋ポリエチレン管・ポリブテン管は接着剤で溶かすことができないため、メカニカル接合か融着接合とする。
主な配管の種類
主な配管には銅管、ステンレス鋼管、ライニング鋼管、合成樹脂管、硬質ポリ塩化ビニル管、ポリエチレン二層管、ポリブデン管などがあるが、全部は覚えきれないので、簡単に特徴だけ記載します。
接合方法などはしっかり覚えましょう。
銅管
- 接合は差し込みろう接合
- 潰食・腐食
- 青水の原因となる銅イオンの溶出が継続するような場合は、水質によって酸化保護被膜が形成されていないことが考えられる。水質の改善が必要になる場合がある。
- 返湯管に銅管を用いる場合は潰食を考慮して管内流速を1.2m/s以下とする。
ステンレス鋼管
- 接合はメカニカル接合とTIG溶接
- TIG溶接とはアルゴン等の不活性ガスの雰囲気中でタングステン電極と溶接母材の間にア―クを発生させて溶接する。
- ステンレス鋼管は酸化保護被膜によって耐食性を有しているので、この酸化保護被膜が破壊されると孔食、隙間腐食、残留応力腐食、もらいさびによる腐食の恐れがある。
硬質ポリ塩化ビニル管
- 塩ビ管ともいう。
- 接合は接着剤
- 硬質ポリ塩化ビニル管は建築基準法により防火区画を貫通できる太さに制限がある。
亜鉛メッキ鋼管
赤水の原因となるため現在は給水管としては使用しない。
架橋ポリエチレン・ポリブテン管
架橋ポリエチレン管・ポリブテン管は耐熱性・可とう性があり、集合住宅のさや管ヘッダ工法の給水・給湯配管に使用されています。
ポリエチレン二層管・架橋ポリエチレン管・ポリブテン管は接着剤で溶かすことができないため、メカニカル接合か融着接合とする。