令和3年度空気環境の調整「過去問題解説7」
問題76
空気調和設備のポンプ・配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ポンプの損失水頭は、管内流速の2乗に比例する。
- 片吸込み渦巻きポンプは、タ―ボ型ポンプに分類される。
- 歯車ポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。
- ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。
- キャビテ―ションとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。
答え【5】
流体が流動しているときに、ある部分における圧力がそのときの液体温度に相当する蒸気圧力以下になると、その部分で液体は局部的な蒸発を起こして気泡を発生する。この現象をキャビテ―ションという。
サ―ジングとは、流量と圧力の周期的な変動が続き運転が安定しない現象をいう。
問題77
換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 水分の回収を必要としない場合の熱回収には、空気対空気の顕熱交換器が用いられる。
- 空気対空気の全熱交換器では、空調システムとして十分な温度処理、湿度処理はできないため、二次空調機が必要となる。
- 外気処理ユニットとは、冷媒直膨コイル、全熱交換器、加湿器、フィルタ等を組み込んだユニットである。
- ヒ―トポンプデシカント調湿型外気処理装置では、暖房時において効果的な相対湿度の維持管理が期待できる。
- 厨房、倉庫、各種機械室等では、換気設備が単独で設置されることが多い。
答え【4】
最も不適当なのは(4)です。デジカウントは除湿機です。
暖房時に必要なのは加湿なので
ヒ―トポンプデシカント調湿型外気処理装置では除湿は出来ても加湿をすることができないので暖房時において効果的な相対湿度の維持管理が期待できない。
問題78
光散乱式の粉じん計を用いて室内の浮遊粉じんの相対濃度を測定したところ、3分間当たり90カウントであった。
この粉じん計のバックグランド値は10分間当たり60カウントで標準粒子に対する感度が1分間当たり1カウント0.001mg/m3、室内の浮遊粉じんに対する較正係数が1.3であるとすると、室内の浮遊粉じんの量として、最も近い数値は次のうちどれか。
- 0.01mg/m3
- 0.03mg/m3
- 0.04mg/m3
- 0.07mg/m3
- 0.20mg/m3
答え【2】
まず整理しますと今わかっているのは- 3分間当たり90カウント
- バックグランド値は10分間当たり60カウント
- 標準粒子に対する感度が1分間1カウント当たり0.001mg/m3
- 較正係数が1.3
そこで求めるのは室内浮遊粉じんの濃度?
では、求めていきます。今回使用する式は以下です。
まず今回はすでに
E:較正係数=1.3
Y:標準粒子に対する感度=0.001mg/m3
B:60÷10=6
については問題文からわかります。
Aについては
1分間当たりの測定カウントなので
- 3分間当たり90カウント
90 ÷ 3 = 30
になります。
A=30
B=6
式に代入していくと
C=0.001 x 1.3(30-6)=0.03
になります。答えは(2)の0.03mg/m3です。
問題79
汚染物質とその濃度又は強さを表す単位の組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- アスベスト―――――CFU/m3
- 放射能―――――――Bq
- オゾン―――――――μg/m3
- 二酸化イオウ――――ppm
- トルエン――――――μg/m3
答え【1】
アスベストは本/L
f/cm3
f/L
です。
今まで出題された単位の問題の総まとめです。
汚染物質 | 単位 | 出題年度 |
---|---|---|
アセトアルデヒド | μg/m3 | 平成30年 |
真菌 | CFU/m3 | 平成30年 |
アスベスト | 本/L f/cm3 f/L | 令和元年、平成30年、平成29年、平成23年 平成28年 平成27年 |
浮遊粉じん | mg/m3 cpm | 平成30年 平成26年 |
キシレン | μg/m3 | 令和元年、平成29年 |
放射能 | Bq | 令和3年、平成29年、平成26年 |
二酸化窒素 | ppb | 平成29年、平成26年、平成23年 |
パラジクロロベンゼン | μg/m3 | 平成28年 |
浮遊細菌 | CFU/m3 | 令和元年、平成28年、平成27年 |
二酸化硫黄 | ppb ppm | 令和3年、平成28年 |
トルエン | mg/m3 μg/m3 | 令和3年、平成27年 |
ダニアレルゲン | ng/m3 | 平成27年 |
オゾン | μg/m3 | 令和3年、平成26年 |
浮遊微粒子 | 個/m3 | 平成23年 |
ラドンガス | Bq/m3 | 平成23年 |
イオウ酸化物 | ppm | 令和元年 |
問題80
温熱環境要素の測定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 熱式風速計は、白金線などから気流に奪われる熱量が風速に関係する原理を利用している。
- サ―ミスタ温度計は、2種類の金属の膨張率の差を利用している。
- 自記毛髪湿度計は、振動の多い場所での使用は避ける。
- アスマン通風乾湿計は、周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。
- 電気抵抗式湿度計は、感湿部の電気抵抗が吸湿、脱湿によって変化することを利用している。
答え【2】
(2)はパイメタル温度計の説明です。温熱要素の測定
温度測定法
液体封入ガラス管温度計
ガラス管内の毛細管の下部を膨らまし、液体(水銀・アルコ―ル等)を入れ、空気を抜いて封をしたもので、毛細管の液面の位置を管につけた目盛り から読み取る温度計
バイメタル温度計
金属の温度上昇に伴う体積膨張を利用したもの。
その膨張率は金属の種類によって異なる。このことを利用して、膨張率の異なる2種類の金属(鉄・ニッケル、マンガン等の合金)を張り合わせ(バイメタルという)、温度によるわん曲
度の変化量から温度を求める。
電気抵抗温度計
金属線は温度によって電気抵抗が変わる。この変化量から温度を求める。
通常センサ―には白金線を用いる。
金属の酸化物である半導体を用いたサ―ミスタ温度計もこの電気抵抗温度計の一種である。
熱電対温度計
種類の異なる2本の金属線、銅とコンスタンタン(銅とニッケルの合金)を接合して閉回路を作り、2つの接合点に温度差を与えると、回路に熱起電が生じて熱電流が流れる。この熱起電力の変化量から求める。
電気抵抗温度計、熱電対温度計は精度が高い。遠隔で示度を読み取れる。
測定上の注意事項
- 温度計を中央においても、周囲の温度と異なる壁がある場合は熱放射の影響を受けやすく正確な温度を示さないことがある。熱放射を遮断しなければならない。また、体温や呼気等の影響にも注意する。
- ガラス管温度計は、気象庁検定済のものが望ましい。
- ガラス管温度計以外の温度計を使用する場合は、検定付きガラス管温度計を用いての校正等を定期的に実施する。
グロ―ブ温度計
熱放射の測定にはグロ―ブ温度計が用いられます。
薄銅板製の直径15cmの中空球体の表面を黒色つや消し塗し、その中心にガラス管
温度計の球部が達するように挿入したものです。
測定上の注意事項
- グロ―ブ温度計設置後示度が安定するまで15~20分間要する。
- 測定のときは、熱源と黒球温度計との間に人体や物体等が入って放射をさえぎらない。
- 気流変動の著しいところでは使用は適さない。