令和3年度空気環境の調整「過去問題解説6」
問題71
空気調和機を構成する機器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- システム型エアハンドリングユニットは、全熱交換器、制御機器、還気送風機等の必要機器が一体化された空調機である。
- エアハンドリングユニットは、冷却、加熱のための熱源を内蔵している空調機である。
- ファンコイルユニットは、送風機、熱交換器、エアフィルタ及びケ―シングによって構成される。
- パッケ―ジ型空調機は、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁等によって構成される。
- パッケ―ジ型空調機のうちヒ―トポンプ型は、採熱源によって水熱源と空気熱源に分類される。
答え【2】
エアハンドリングユニットは、冷却・加熱のための熱源を持たず、他の熱源設備から供給された冷水・温水・蒸気・水などを用い、冷却・加熱・減湿・加湿・混合などの操作を 加え、また除じんなどを行って所要空気を作り、各ゾ―ン・各室にその処理済空気をダクトにより送風する空調機である。(2)の説明はパッケ―ジ型空調機です。
問題72
防火ダンパに関する次の記述の[ ]内に入る組合せとして、最も適当なものはどれか。
温度ヒュ―ズ型の溶解温度は、一般換気用[ ア ]、厨房換気用[ イ ]、排煙用[ ウ ]である。
- (ア)60℃――――(イ)120℃――――(ウ)280℃
- (ア)60℃――――(イ)130℃――――(ウ)270℃
- (ア)72℃――――(イ)120℃――――(ウ)270℃
- (ア)72℃――――(イ)120℃――――(ウ)280℃
- (ア)72℃――――(イ)130℃――――(ウ)270℃
答え【4】
この問題はこのまま覚えておきましょう。温度ヒュ―ズ型の溶解温度は、一般換気用[ 72℃ ]、厨房換気用[ 120℃ ]、排煙用[ 280℃ ]である。
問題73
送風機に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 軸流送風機は、空気が羽根車の中を軸方向から入り、軸方向へ抜ける。
- シロッコファンは、遠心式に分類される。
- ダンパの開度を変えると、送風系の抵抗曲線は変化する。
- 送風系の抵抗を大きくして風量を減少させると、空気の脈動により振動、騒音が発生し、不安定な運転状態となることがある。
- グラフの横軸に送風機の風量、縦軸に送風機静圧を表した送風機特性曲線は、原点を通る二次曲線となる。
答え【5】
(5)は抵抗曲線のことを言っています。送風機の運転と送風量の関係を示したものを特性曲線という。
送風機の特性曲線は、グラフの横軸に風量をとり、縦軸に 静圧をとって曲線Pのように示される。一方、送風系の抵抗曲線は、同じグラフ 上に、原点を通る二次曲線Rとして示される。ここで、2曲線の交点Aは、運転点を示している。その送風量をQAからQBに減少したい場合には、 送風系のダンパを操作することで調整できる。問題74
ダクトとその付属品に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- フレキシブル継手は、ダクトと吹出し口を接続する際に、位置を調整するために用いられる。
- 防火ダンパの羽根及びケ―シングは、一般に板厚が1.5mm以上の鋼板で製作される。
- グリル型吹出し口は、誘引効果が高いので、均一度の高い温度分布が得やすい。
- 低圧の亜鉛鉄板製長方形ダクトでは、一般に板厚が0.5~1.2mmのものが用いられる。
- グラスウ―ルダクトは、消音効果が期待できる。
答え【3】
(3)のグリル型吹出し口は、軸流吹出し口に分類されます。主に天井・壁あるいは床面に設置され、一定の軸方向に気流を吹き出す型式で、吹出し気流は、誘引比が小さいため 拡散角度が小さく、到達距離が長い。
誘引効果が高く、均一度の高い温度分布が得やすいのはアネモ型です。
問題75
空気浄化装置に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 自動巻取型エアフィルタのろ材の更新は、タイマによる方法や圧力損失を検知して行う方法が用いられている。
- ろ過式粒子用エアフィルタとは、さえぎり、慣性、拡散、静電気等の作用で、粉じんをろ材繊維に捕集するものをいう。
- 空気中の有害ガスを除去するガス除去用エアフィルタとして、イオン交換繊維を使用したものがある。
- 一般にHEPAフィルタの圧力損失は、一般空調用フィルタのそれと比較して小さい。
- 粒子用エアフィルタの性能は、圧力損失、粉じん捕集率、粉じん保持容量で表示される。
答え【4】
高性能フィルタの一種であるHEPAフィルタの圧力損失は100~500Paと一般にフィルタの数倍である。中性能フィルタや高性能フィルタ では通過速度で遅くして圧力損失を低くするためにろ材を折り込み、フィルタ面積を大きくしている。空気浄化装置の浄化原理には、静電式、粘着式、ろ過式、吸収法などがある。
静電式
高圧の電界で荷電し、吸引付着力で除じんする。空気調和機用に用いられる静電式では、オゾン発生量の少ない陽極放電が用いられる。
静電式は圧力損失が少なく省エネ的で、微細な粉じんまで効率よく捕集できる。
ろ過式
ろ過式は主にユニット型フィルタと巻き取り型フィルタがある。
ユニット型フィルタはろ材をユニット型の枠に収めたもの。ユニット型フィルタは、風量に応じて枚数の調節が出来空調機へのユニットの収まりがよい。
高性能フィルタの一種であるHEPAフィルタの圧力損失は100~500Paと一般にフィルタの数倍である。中性能フィルタや高性能フィルタ では通過速度で遅くして圧力損失を低くするためにろ材を折り込み、フィルタ面積を大きくしている。
ろ過式フィルタは適切な時期に交換を行わないと、捕集した粉じんの再飛散を起こす。
フィルタを安全に性能よく、経済的に使用するためには風速が許容範囲にあるようにしなければならない。速度の大きな気流がフィルタ面に吹き付ける場合はフィルタの前面にじゃま板を取り付ける。
自動更新型フィルタ
ロ―ル状のろ材を、タイマや差圧スイッチで、汚れに応じて自動で巻き取る。
捕集効率は高くないが、保守管理が簡単であり、広く使われる。エア―フィルタの性能表示
エア―フィルタ―の性能は、定格風量時における汚染除去率、圧力損失、汚染除去容量で示される。
- 汚染除去率
- 空気浄化装置の上流側に流入する汚染物質が、空気浄化装置により除去される割合のこと。
汚染除去率=(上流側濃度 - 下流濃度量) / 上流側濃度 X 100(%)で表される。
- 空気浄化装置の上流側に流入する汚染物質が、空気浄化装置により除去される割合のこと。
- 圧力損失
- 空気浄化装置に定格流量の空気が流れるときの、空気浄化装置上流側と下流側の全圧差で表示される。
- 汚染除去容量
- 空気浄化装置が使用限度に至るまでに保持できる汚染物質の量で示される。
性能試験の方法
粉じん捕集率の測定方法には質量法・比色法・計数法(個数法)がある
質量法
プレフィルタ等の粗じん用の性能表示に使用される。
比色法
中性能フィルタの性能表示に使用される。
計数法
計数法は、高性能フィルタの性能表示使用される。
比色法の50%フィルタは計数法では20%強、質量法では約90%の粉じん捕集効率となる。
フィルタの目詰まりを起こした場合
- 冷暖房能力の低下
- 送風量の減少
- フィルタ前後の差圧の増大
- 給気ダクト内の静圧の低下
- 送風機用電動機の運転電流値の減少