令和3年度空気環境の調整「過去問題解説2」
問題51
流体力学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 直線ダクトの圧力損失は、長さに比例する。
- 直線ダクトの圧力損失は、風速に比例する。
- 直線の円形ダクトの圧力損失は、直径に反比例する。
- ダクトの形状変化に伴う圧力損失は、形状抵抗係数に比例する。
- 開口部を通過する風量は、開口部前後の圧力差の平方根に比例する。
答え【2】
直線ダクトの圧力損失は、風速の2乗に比例する。
直線ダクトの圧力損失Δpは、長さの速度をv、ダクトの有効径をD、長さをL、流体の密度をρとすると次式で表される。
問題52
換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 単位時間当たりに室内の入れ替わる新鮮空気(外気)量を換気量という。
- 空気交換効率とは、室内にある空気が、いかに効果的に新鮮空気と入れ替わるかを示す尺度をいう。
- 1時間に窓を開ける回数を換気回数という。
- 外気が給気口から室内の任意の点に移動するのにかかる平均時間を、局所平均空気齢という。
- ある汚染物質の室内濃度を、その基準値に維持するために必要な換気量のことを必要換気量という。
答え【3】
換気回数[回/h]とは、1時間当たりに室内取り入れる新鮮空気(外気)量を、室容積で除したもののことである。
問題53
ある居室に16人在室しているとき、室内の二酸化炭素濃度を建築物環境衛生管理基準以下に維持するために最低限必要な換気量として、正しいものは次のうちどれか。
ただし、室内は定常状態・完全混合(瞬時一様拡散)とし、外気二酸化炭素濃度は400ppm、在室者一人当たりの二酸化炭素発生量は0.018m3/hとする。
- 320m3/h
- 400m3/h
- 480m3/h
- 600m3/h
- 720m3/h
答え【3】
換気量を求める式は以下を使います。になります。
まず今分かっていることを整理します。
- 在室しているは16人
- 在室者一人当たりの二酸化炭素発生量は0.018m3/h
- 外気二酸化炭素濃度は400ppm
建築物環境衛生管理基準の二酸化炭素濃度は1000ppmになります。
つまり1000ppm以下に維持するための換気量を求めることになります。
M:在室者一人当たりの二酸化炭素発生量は0.018m3/hで16人在室しているので 0.018m3/h x 16 =0.288になります。
またppm=10-6
になるので
- 外気二酸化炭素濃度は400ppm=0.0004
- 二酸化炭素濃度は1000ppm=0.001
問題54
室内におけるホルムアルデヒドの発生源のうち、最も不適当なものはどれか。
- ユリア樹脂系接着剤
- パ―ティクルボ―ド
- 家具
- コンクリ―ト
- 喫煙
答え【4】
ホルムアルデヒドの発生源は接着剤、複合フロ―リング材、合板・パ―ティクルボ―ド・集成材、化粧合板、尿素樹脂発砲型断熱材 、パネル、カ―ペット、パ―ティションの他、生活用品、燃焼器具、喫煙等から確認されていますが、コンクリ―トは含まれていません。問題55
室内汚染物質とその発生源との組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- アセトアルデヒド――――加熱式たばこ
- 窒素酸化物―――――――開放型燃焼器具
- オゾン―――――――――レ―ザ―プリンタ
- ラドン―――――――――石材
- フェノブカルブ―――――接着剤
答え【5】
フェノブカルブは防虫剤、殺虫剤、殺蟻剤等です。接着剤ではありません。
汚染物質の例
汚染物質 | 主な発生源 | 人体への影響 |
---|---|---|
ホルムアルデヒド | 建材材料(接着剤、内装材) | 目、鼻、喉の刺激 |
硫黄酸化物 | 排ガス、燃焼器具、石油スト―ブ | 喘息、粘膜刺激 |
窒素酸化物 | 排ガス、燃焼器具、ディ―ゼルエンジン | 気管支炎、呼吸器障害 |
アスベスト | 断熱材 | 肺がん、肺気腫、中皮腫 |
ラドン | 土壌 | 肺がん |
VOC | 洗浄剤や溶剤 | シックビル症候群 |
一酸化炭素 | 燃焼器具(不完全燃焼) | 一酸化炭素中毒 |
オゾン | コピ―機 | 気道粘膜刺激 |
たばこ煙 | 喫煙 | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
ハウスダスト | 粉じん、ダニ | 喘息、アレルギ―疾患 |
微生物(細菌、カビ類) | 超音波加湿器 | 過敏性肺炎 |
パラジクロロベンゼン | 防虫剤,トイレの消臭ブロック | 目眩、頭痛、肝臓障害を起こす |