令和3年度空気環境の調整「過去問題解説1」
問題46
下に示す湿り空気線図に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 乾球温度14℃、相対湿度80%の空気を加熱コイルで25℃に温めると相対湿度は約40%となる。
- 乾球温度10℃、相対湿度80%の空気は、乾球温度22℃、相対湿度30%の空気より絶対湿度が高い。
- 乾球温度22℃、相対湿度60%の空気が表面温度15℃の窓ガラスに触れると結露する。
- 乾球温度19℃の空気が含むことのできる最大の水蒸気量は、0.010kg/kg(DA)より大きい。
- 露点温度10℃の空気は、乾球温度29℃において約30%の相対湿度となる。
答え【3】
この問題を解くには以下を理解しておく必要があります。
(3)は上の図より14℃の窓ガラスに触れると結露する。が正しく15℃では結露しません。
問題47
結露に関する次の文章の[ ]内に入る語句の組合せとして、適当なものはどれか。
暖房時の壁体の内部や表面での結露を防止するには、壁体内において、水蒸気圧の[ ア ]側に[ イ ]の低い[ ウ ]を設けることが有効である。
- (ア)高い――――(イ)熱伝導率―――――(ウ)断熱材
- (ア)高い――――(イ)湿気伝導率――――(ウ)防湿層
- (ア)低い――――(イ)湿気伝導率――――(ウ)防湿層
- (ア)低い――――(イ)熱伝導抵抗――――(ウ)防湿層
- (ア)低い――――(イ)湿気伝導率――――(ウ)断熱材
答え【2】
暖房時の壁体の内部や表面での結露を防止するには、壁体内において、水蒸気圧の[ 高い ]側に[ 湿気伝導率 ]の低い[ 防湿層 ]を設けることが有効である。結露対策
結露対策は表面結露と内部結露について分かれます。表面結露
壁体表面が露点温度以下になると結露します。これが表面結露です。
表面結露の起きやすい場所冬の窓の室内側表面にしばしばみられる。
集合住宅では北側の寝室の壁やタンスの裏側等、戸建て住宅では外気に面した収納室、出隅部分、鉄製下地材が直接触れている壁材では下
地材が熱橋となり、温度が下がって表面結露が起きる。
表面結露対策
以下の対策が必要である。- 露点温度以下の場所を作らない。
- 適当な量の換気を入れる。
- 水蒸気の発生を抑える。
- 家具と壁の隙間等を作り気流を通す。
- 温度の分布を抑える。
- 窓には2重ガラスや断熱戸を入れる。
尚カ―テンで厚いカ―テンを用いると断熱効果はあるが防湿効果が少ないのでかえって窓ガラスの 結露の原因になる。
内部結露
平衡含水率とは
-
木材などがどの程度の水分を保持しているかを示す値を含水率(含湿率)といい、
周囲の空気の温度、湿度が一定であると、やがて木材等の含水率は一定の値となる。この含水率のこと。
平衡含水率の値は吸湿時と放湿時で異なり、一般に放湿時のほうが高い。(一度湿ったものは乾きにくいということである。)
湿気伝導率とは
- 木材などの湿気の通りやすさ
壁体内部結露
- 湿り空気の露点温度がその地点の温度より高くなると壁体の内部に結露が生じる。これを壁体内部結露という。
内部結露対策
壁面の水蒸気圧の高い室内側に防湿層を設けることが有効である。
表面結露対策ではないので間違えないように(あくまでも内部結露ですから)
その他の結露対策
- 窓ガラスなどに生じた結露水が壁仕上げなどを汚染しないようにうまく排水できる構造にする。
- 空調給気ダクトが外断熱、外気ダクトは内断熱とする。
- 熱回収用熱交換器型換気装置を用いる場合は、全熱交換型より、顕熱交換型を用いた方が結露しにくい。
- 冬季、外断熱は結露に対して最も望ましい対策である。
問題48
建築材料表面(白色プラスタ―、アスファルト、新しい亜鉛鉄板、光ったアルミ箔)の長波長放射率と日射吸収率の関係を下の図中に示している。最も適当なものはどれか。
- (A)白色プラスタ――――(B)アスファルト―――(C)光ったアルミ箔―――(D)新しい亜鉛鉄板
- (A)光ったアルミ箔―――(B)新しい亜鉛鉄板――(C)白色プラスタ――――(D)アスファルト
- (A)白色プラスタ――――(B)アスファルト―――(C)新しい亜鉛鉄板―――'D)光ったアルミ箔
- (A)アスファルト――――(B)白色プラスタ―――(C)新しい亜鉛鉄板―――(D)光ったアルミ箔
- (A)新しい亜鉛鉄板―――(B)光ったアルミ箔――(C)白色プラスタ――――)D)アスファルト
答え【1】
この問題も良く出題されます。
建材 | 例 | 放射率 | 日射吸収率 |
---|---|---|---|
白っぽい材料 | 白色プラスタ―(石膏) | 0.9 | 0.1 |
白色ペイント | 0.9 | 0.2 | |
黒っぽい材料 | アスファルト | 0.9 | 0.9 |
黒色ペイント | 0.9 | 0.9 | |
その他 | 新しい亜鉛鉄板 | 0.2 | 0.74 |
光ったアルミ箔 | 0.1 | 0.1 | |
木材(松板) | 0.6 | 0.9 | |
酸化した亜鉛鉄板 | 0.3 | 0.8 |
問題49
下の図は、厚さの異なるA、B、C部材で構成された建築物外壁における定常状態の内部温度分布を示している。この図に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- A、B、C部材の中で、最も熱伝導率が大きい部材はB部材である。
- 熱伝達率は、屋外側の方が室内側より大きい。
- B部材が主体構造体であるとすれば、この図は内断熱構造を示している。
- 壁表面近傍で空気温度が急激に変化する部分を境界層という。
- A、B、C部材のなかで、部材を流れる単位面積当たりの熱流量が最も大きいのはA部材である。
答え【5】
誤りは(5)で問題で定常状態の内部温度分布を示している。とありますので定常状態であるからABC部材を流れる熱流の大きさは等しくなる。
この問題は温度勾配はCが一番急に高くなっておりA、Bとなっています。
つまり
C > A > B
となりますので
熱伝導率はその逆の
B > A > C
となりBが一番高いことになります。
問題50
空気の流動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 天井面に沿った冷房による吹出し噴流は、速度が小さいと途中で剥離して降下することがある。
- コ―ルドドラフトは、冷たい壁付近などで生じる下降冷気流である。
- 自由噴流の第3域では、中心軸速度が吹き出し口からの距離に反比例して減衰する。
- 吹出しの影響は遠方まで及ぶのに対し、吸込みの影響は吸込み口付近に限定される。
- 通常の窓の流量係数は、約1.0である。
答え【5】
通常の窓の流量係数は、約0.6である。各種開口の流量係数は下図である。