令和3年度建築物衛生行政概論「過去問題解説3」
問題11
建築物衛生法に基づく事業の登録に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 事業登録制度は、建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者の資質の向上を図っていくため、設けられた制度である。
- 登録を受けていない者は、登録業者もしくはこれに類似する表示をすることは禁止されている。
- 本社で登録を行えば、支社の営業所においても登録業者である旨を表示することができる。
- 都道府県は、条例により独自に登録基準を定めることはできない。
- 平成14年4月に建築物空気調和用ダクト清掃業と建築物排水管清掃業が追加され、現在8業種となっている。

答え【3】
建築物において各営業所ごとにその所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けることができる。本社で登録を行うだけではいけません。各営業所ごとに登録の必要があります。

- 登録の有効期間は6年
- 登録を受けないで、当該事業に係る表示又はこれに類似する表示をしてはならない。
- 登録をしなくても事業を行うことは構わない。
- 単なる清掃控室を営業所として登録はできない。
- 登録者は、次に揚げる事項に変更があったとき又は登録に係る事業を廃止したときは、その日から30日以内
にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
- 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 登録に係る営業所の名称及び所在地並びに責任者の氏名
- 事業の用に供する主要な機械器具その他の設備
- 都道府県知事は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、登録業者に対し、その業務に関して必要な報告をさせ 又はその職員に、登録営業所に立ち入り、その設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

問題12
建築物衛生法に基づく事業の登録の登録基準に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 必要な機械器具について定められている。
- 監督者等の人的基準について定められている。
- 事故発生時の補償対応について定められている。
- 作業の方法について定められている。
- 必要な設備について定められている。

答え【3】
(3)の事故発生時の補償対応について定められていません。
登録を受けるには、各事業を行うための機械器具その他の設備(物的要件)、事業に従事する者の資格(人的要件)、その他の事項(その他要件)が一定の基準を満たしていなければならない。
その基準は、厚生労働省令で定められています。
定められているのは以下です。
- 物的基準・・・機械器具、設備
- 人的基準・・・監督者、従事者等
- その他の基準・・・作業の方法及び作業を行うために機械器具その他の設備の維持管理の方法

問題13
建築物衛生法に基づく特定建築物の立入検査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 特定建築物に該当していなくても、多数の者が使用し、又は利用する建築物に対して、立入検査を行うことができる。
- 都道府県知事は、必要があると認めるときは特定建築物に立入検査を行うことができる。
- 特定建築物の立入検査を行う職員を、環境衛生監視員という。
- 立入検査の権限は、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長にも付与されている。
- 特定建築物に対する立入検査は、犯罪捜査のために行ってはならない。

答え【1】
都道府県知事(保健所を設置する市または特別区にあっては、市長または区長)は、必要があると認めるときは、特定建築物の所有者等(届出義務者と同じ)に必要な報告をさせ、または立入検査を行うことができる。なお、立入検査の権限を行使する職員を環境衛生監視員と称する。
とあり、特定建築物に該当していない建築物には行うことができません。

(3)についても、都道府県知事(保健所を設置する市または特別区にあっては、市長または区長)とありますので付与されています。

問題14
建築物衛生法において、罰則が適用されないものは次のうちどれか。
- 特定建築物に建築物環境衛生管理技術者を選任しない者
- 都道府県知事の改善命令に従わない者
- 特定建築物の維持管理に関する帳簿書類に虚偽の記載をした者
- 建築物環境衛生管理基準を遵守しない者
- 都道府県知事の立入検査を拒んだ者

答え【4】
建築物環境衛生管理基準を遵守しないだけでは罰則は適用されません。
罰則
- 30万円以下の罰金(良く試験に出題されるもの)
- 特定建築物に関する届出を怠った者、虚偽の届出をした者
- 建築物環境衛生管理技術者の選任を怠った者
- 帳簿書類を備えなかった者、記載を怠った者、虚偽の記載をした者
- 特定建築物の維持管理に関して都道府県知事の求める報告・検査に対して報告を怠った者、虚偽の報告をした者、検査を拒んだ者、質問に対する答弁を拒んだ者、虚偽の答弁をした者
- 特定建築物の維持管理に関して都道府県知事の改善命令等に従わなかった者
- 事業の登録に関して都道府県知事の求める報告・検査に対して報告を怠った者、虚偽の報告をした者、検査を拒んだ者、質問に対する答弁を拒んだ者、虚偽の答弁をした者
- 登録業に関する指定団体の行う第12条の6第2項の業務の運営に関し都道府県知事の求める報告・検査に対して報告を怠った者、虚偽の報告をした者、検査を拒んだ者、質問に対する答弁を拒んだ者、虚偽の答弁をした者
- 登録業に関する指定団体の行う第12条の6第2項の業務の運営に関して都道府県知事の改善命令に従わなかった者
- 10万円以下の過料
- 命令に違反して建築物環境衛生管理技術者免状を返納しなかった者
- 事業の登録を受けないで、第12条の3に規定する表示又はこれに類似する表示をした者
- ※事業の登録は、表示ができないだけであって、登録をしなくとも事業を行うことは構わない。
過料
- 行政上の義務の履行を強制する手段として、あるいは社会の違反に対する制裁ないしは懲戒として科せられる金銭罰、科料・罰金と違って刑罰ではなく、刑法・刑事訴訟法は適用されない。
- 刑法の定める刑罰の1つ。軽微な犯罪に科す財産刑。1000円以上10000円未満。罰金より軽い。
- 刑法の定める刑罰の1つ。10000円以上、科料より重い財産刑。

問題15
地域保健法に関する次の記述のうち最も不適当なものはどれか。
- 保健所長は、原則として医師をもって充てる。
- 特別区には、保健所が設置されている。
- 都道府県が設置する保健所は、市町村の求めに応じ、技術的助言を行うことができる。
- 全国に設置されている保健所のうち、政令市が設置している保健所が最も多い。
- 地域保健対策の推進に関する基本的な指針には、対人保健のほか建築物衛生に関する事項も含まれている。

答え【4】
保健所には、都道府県の設置するものと、政令市および特別区の設置するものがあるが都道府県が最も多く政令市に続いて特別区の順です。- 都道府県立・・・・約360
- 政令市・・・・・・約90
- 特別区市・・・・・・約20

