令和3年度建築物衛生行政概論「過去問題解説2」
問題6
建築物衛生法に基づき備え付けておかなければならない帳簿書類とその保存期間との組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。
- 飲料水貯水槽の修繕の記録――――――2年間
- 維持管理に関する設備の配置図――――5年間
- 更新した空調設備の設備記録―――――3年間
- 臨時に実施した空気環境測定の結果――3年間
- 排水管清掃の実施記録――――――――5年間
答え【5】
(5)が正しい。基本的に保存期間は帳簿書類が5年間、図面が永久保存です。
つまり解答枠の中で5年間となっているのは(2)と(5)のみです。
しかし(2)の配置図は図面になるので永久保存です。
従って排水管清掃の実施記録のみが5年間保存で正しい。
ここで気を付けないといけないことはこの問題は建築物衛生法に基づいた問題なので良く消火設備等の整備記録の問題が出ますが消火設備等は消防法になりますので勘違いしないようにしましょう。
問題7
建築物環境衛生管理基準に規定されている空気環境の調整に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 機械換気設備を設けている場合、ホルムアルデヒドの量の基準は適用されない。
- 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしない。
- 空気調和設備等を設けている一般事務所にあっては建築物衛生法と事務所衛生基準規則が適用され、居室における二酸化炭素の含有率の基準値も同一である。
- 外気の一酸化炭素の含有率が高いため基準値の10ppm以下を保てない場合は、基準値を50ppm以下とすることができる。
- 浮遊粉じんの量の基準値は、相対沈降径がおおむね20μm以下の粒子を対象としている。
答え【2】
(2)が正しい。- 機械換気設備を設けている場合は、浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率、二酸化炭素の含有率、気流およびホルムアルデヒドの量の5項目について、各基準値を遵守しなければならない。
- 建築物衛生法で規制する対象は特定建築物であり、一般事務所には適用されません。よって、たとえ一般事務所が空気調和設備等を設けていても、建築物衛生法が適用されることはありません。
- 一酸化炭素の基準値は6ppm以下(法改定により変更(もともとは10ppmでした。)です。また、外気の含有率がいくら高くても、基準値を変えることはありません。
- 浮遊粉じんの量の基準値は、相対沈降径がおおむね10μm以下の粒子を対象としている。
問題8
建築物環境衛生管理技術者に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行われるよう、監督する。
- 選任された特定建築物に常駐することが必要である。
- 特定建築物所有者等との雇用関係がなければならない。
- 特定建築物維持管理権原者に設備改善を命じることができる。
- 環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておかなければならない。
答え【1】
この問題は建築物環境衛生管理技術者に関する問題なので是非抑えてもらいたい問題です。正しいのは(1)です。
- 常駐する必要はありません。
- 雇用関係は必要ありません。
- 設備改善を命じることはできません。
- 建築物環境衛生管理技術者は帳簿書類を備えておく必要はありません。
(4)についてはあくまでも意見を述べることができますが命令は出来ません。
(5)の帳簿書類は備えておかなければならないのは特定建築物維持管理権原者ですので、この問題は建築物環境衛生管理技術者についての問題ですので誤りになります。
問題9
建築物環境衛生管理基準に基づく飲料水の衛生上必要な措置に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 水道事業者が供給する水(水道水)を直結給水により、特定建築物内に飲料水として供給する場合、定期の水質検査を行う必要はない。
- 水道事業者が供給する水(水道水)を特定建築物内に貯水槽に貯留して供給する場合、貯水槽以降の飲料水の管理責任者は、当該特定建築物の維持管理権原者である。
- 供給する水が人の健康を害するおそれがあると知ったときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知する。
- 飲用目的だけでなく、炊事用など、人の生活の用に供する水も、水道法で定める水質基準に適合する水を供給することが必要である。
- 水道事業者が供給する水(水道水)以下の井水等を使用する場合、水道水と同様の水質が確保されていれば、給水栓における残留塩素の保持は必要ない。
答え【5】
井水等を使用する場合でも、給水栓における残留塩素の保持は必要ですので不適当な解答になります。ここでのポイントは水道事業者です。
つまり水道事業者とは厚生大臣 の 認可 を受けて 水道事業 を 経営 する者を水道事業者という。 ( 水道法 第3 条)。 水道事業 は 原則として 市町村 が 経営 するが、 市町村 以外の 者は、 治水 し ようとする 区域 をその 区域 に含む 市町村 の 同意 を得た 場合 に 限り 、 水道事業 を 経営 することができる。
つまり(1)の場合は市町村の水を直接給水することになりますので水質検査は特定建築物の維持管理権原者側が行う必要がないことになります。
(2)の場合は一旦貯水槽に貯留して供給するので貯水槽以降の飲料水の管理責任者は、当該特定建築物の維持管理権原者になり定期の水質検査を行う必要があります。
(3)(4)もその通りです。
問題10
建築物環境衛生基準に基づく空気環境の測定方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 特定建築物の通常の使用期間中に実施する。
- 測定位置は、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下である。
- 浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率及び二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値とする。
- 新築の特定建築物は、使用開始後3年間、毎年6月1日から9月30日までの期間にホルムアルデヒドの測定を行う。
- 測定は、2ヵ月以内ごとに1回、定期に実施する。
答え【4】
(4)が誤りです。ホルムアルデヒドは建築基準法第二条にいう大規模の修繕又は大規模の模様替えを行ったとき、その使用を開始した日以降最初に到来する6月1日から9月30日までの 期間中に1回測定する。
とあります。
ホルムアルデヒドとは家具や建築資材、壁紙を貼る為の接着剤、塗料などに含まれている化学物質の一つです。
防腐剤としても使用されます。
しかも夏場に発生するといわれているので、夏場に測定を行います。
管理基準値 | ||
---|---|---|
浮遊粉じんの量 | 0.15mg/m3以下 | 平均値が基準を満たすこと。 |
一酸化炭素の含有率 | 10ppm以下(100万分の10以下) | |
二酸化炭素の含有率 | 1000ppm以下(100万分の1000以下) | |
温度 | 17℃~28℃ | すべての測定値が基準を満たしていること。 |
相対湿度 | 40~70% | |
気流 | 0.5m/s以下 | |
ホルムアルデヒド | 0.1mg/m3以下 |
- 通常の時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測定
- ホルムアルデヒドの量を除く項目については2か月以内ごとに1回、定期に、測定しなければならない。
- ホルムアルデヒドは建築基準法第二条にいう大規模の修繕又は大規模の模様替えを行ったとき、その使用を開始した日以降最初に到来する6月1日から9月30日までの 期間中に1回測定する。