令和3度建築物衛生行政概論「過去問題解説1」
問題1
現在の行政組織に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 消防法は、内閣府が所管している。
- 学校保健安全法は、総務省が所管している。
- 下水道法は、国土交通省と環境省が所管している。
- 浄化槽法は、厚生労働省が所管している。
- 保健所には、労働基準監督官が置かれている。
答え【3】
正しいのは(3)です。この問題はよく正しいものはどれは。誤っているものはどれか。
の形式での出題が出ますのでどちらが出ても答えれるようになっておいてください。
- 消防法は、総務省が所管している。
- 学校保健安全法は、文部科学省が所管している。
- 浄化槽法は、環境省が所管している。
- 労働基準監督署には、労働基準監督官が置かれている。
官庁 | 法令 |
---|---|
厚生労働省 |
|
環境省 |
|
国土交通省 |
|
経済産業省 | 電気事業法 |
総務省 | 消防法 |
文部科学省 | 学校保健安全法 |
※下水道法のうち終末処理場の維持管理は環境省、国土交通省の共管である。
公立学校の学校保健事務は教育委員会の所轄
私立学校は都道府県知事である。
問題2
世界保健機関(WHO)憲章の前文に述べられている保健の定義に関する次の文章の[ ]内に入る語句の組合せとして、最も適当なものはどれか。
健康とは完全な肉体的、[ ア ]及び社会的福祉の状態にあり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。
到達しうる最高水準の健康を享有することは、[ イ ]、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。
- ア イ
- 経済的―――人種
- 文化的―――性別
- 文化的―――人種
- 精神的―――性別
- 精神的―――人種
答え【5】
この問題は世界保健機関(WHO)憲章の前文の問題で日本国憲法第25条の条文の問題と同じくビル管理士試験ではお馴染みの問題なので
いつもこのような形式で出題されますので
どの部分が穴埋めになってもいいようにしておきましょう。
健康とは完全な肉体的、[ 精神的 ]及び社会的福祉の状態にあり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。
到達しうる最高水準の健康を享有することは、[ 人種 ]、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである。
問題3
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「建築物衛生法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 建築物衛生法は、建築物の設備・構造面と維持管理面の両面から規制を行っている。
- 建築物衛生法に基づく事業の登録に関する事務は、都道府県知事が行う。
- 特定建築物以外の建築物であっても、多数の者が使用し、又は利用する建築物については、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理をするように努めなければならない。
- 特定建築物の維持管理権原者は、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理をしなければならない。
- 特定建築物の所有者等には、所有者以外に、特定建築物の全部の管理について権原を有する者が含まれる。
答え【1】
建築物衛生法は、建築基準法に基づいて建築された建築物について環境衛生上の維持管理を行うことを定めた法律であり建築物の設備・構造面については定めていません。建築物の設備・構造面については建築基準法で定められています。
問題4
建築物衛生法における特定建築物の特定用途に供される部分として、延べ面積に含めるものは次のうちどれか。
- 地下街の地下道
- 建築物の地下に電気事業者が設置した変電所
- 建築物内部にある鉄道のプラットホ―ム
- 地下街の店舗に付属する倉庫
- 建築物の地下に設置された、管理主体の異なる公共駐車場
答え【4】
(4)の地下街の店舗に付属する倉庫のみが特定用途に供される部分として、延べ面積に含まれます。ここでのポイントは地下街の店舗が特定建築物に含まれるかどうかになります。
結論から言うと特定建築物に該当しますので、付属する倉庫も延べ面積に含まれます。
以下は特定建築物の面積には含まれない。
- 地下街の地下道、広場、プラットホ―ムとその上家
- 公共駐車場
- 独立棟の駐車場
- 電力会社の地下変電所
- 鉄道の運転保安施設
つまり、
延べ面積が2,500m2の事務所と1,000m2の地下公共駐車場のある事務所建築物 は特定建築物に該当しない。
延べ面積が2,500m2と1,000m2で合計が3,500m2であるが、地下公共駐車場は特定建築物の用途に含まれないため。
特定建築物の面積の要件
特定用途の面積 = 特定用途そのものの面積 + 付随する部分の面積 + 付属する部分の面積- 付随する部分・・・トイレ、廊下、階段、機械室などの共用部分
- 附属する部分・・・百貨店の倉庫、新聞社の事務所に付属する印刷工場、店舗駐車場など
問題5
建築物衛生法に基づく特定建築物の届出等に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 現に使用されている建築物が、用途の変更により新たに特定建築物に該当することになる場合は、1ヵ月前までに届け出なければならない。
- 特定建築物の届出をせず、又は虚偽の届出をした場合には、30万円以下の罰金の適用がある。
- 建築物が解体される場合は、あらかじめ、特定建築物に該当しなくなることを届け出なければならない。
- 届出事項は、政令により定められている。
- 届出の様式は、厚生労働省の通知で示されている。
答え【2】
正しいのは、(2)で特定建築物の届出をせず、又は虚偽の届出をした場合には、30万円以下の罰金の適用があります。罰則には以下のものがあります。
- 30万円以下の罰金(良く試験に出題されるもの)
- 特定建築物に関する届出を怠った者、虚偽の届出をした者
- 建築物環境衛生管理技術者の選任を怠った者
- 帳簿書類を備えなかった者、記載を怠った者、虚偽の記載をした者
- 特定建築物の維持管理に関して都道府県知事の求める報告・検査に対して報告を怠った者、虚偽の報告をした者、検査を拒んだ者、質問に対する答弁を拒んだ者、虚偽の答弁をした者
- 特定建築物の維持管理に関して都道府県知事の改善命令等に従わなかった者
- 事業の登録に関して都道府県知事の求める報告・検査に対して報告を怠った者、虚偽の報告をした者、検査を拒んだ者、質問に対する答弁を拒んだ者、虚偽の答弁をした者
- 登録業に関する指定団体の行う第12条の6第2項の業務の運営に関し都道府県知事の求める報告・検査に対して報告を怠った者、虚偽の報告をした者、検査を拒んだ者、質問に対する答弁を拒んだ者、虚偽の答弁をした者
- 登録業に関する指定団体の行う第12条の6第2項の業務の運営に関して都道府県知事の改善命令に従わなかった者
- 10万円以下の過料
- 命令に違反して建築物環境衛生管理技術者免状を返納しなかった者
- 事業の登録を受けないで、第12条の3に規定する表示又はこれに類似する表示をした者
- ※事業の登録は、表示ができないだけであって、登録をしなくとも事業を行うことは構わない。
過料
- 行政上の義務の履行を強制する手段として、あるいは社会の違反に対する制裁ないしは懲戒として科せられる金銭罰、科料・罰金と違って刑罰ではなく、刑法・刑事訴訟法は適用されない。
- 刑法の定める刑罰の1つ。軽微な犯罪に科す財産刑。1000円以上10000円未満。罰金より軽い。
- 刑法の定める刑罰の1つ。10000円以上、科料より重い財産刑。
重要:罰則の対象になるのは建築物環境衛生管理技術者ではなく、特定建築物所有者等であること。
つまり、われわれには罰せられることはないので安心してください。
ここで間違えやすいのが(1)ですが届出を1ヵ月前と認識している方は(1)が正しいと思いがちですが
現に使用されている建築物が、用途の変更により新たに特定建築物に該当することになる場合は、その日から1ヵ月以内に届け出なければならない。
ですので間違えないようにしましょう。
(5)の届出の様式は届け出る地方自治体の様式による。