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ねずみ、昆虫等の防除3

ゴキブリの生態と防除

ゴキブリの種類

主な種類にチャバネゴキブリ、クロゴキブリ、トビイロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、キョウトゴキブリなどがある。

それらゴキブリの特徴もしっかり覚える必要がある。

チャバネゴキブリ

  1. 全世界に広く分布する都市環境の代表的な害虫。
  2. 日本においても最優占種である。
  3. 飲食店・病院等に多く生息する。
  4. 最も小型で成虫の体長は1.5cm程度。
  5. 全体は黄褐色で前胸背板に明瞭な2本の細長い黒斑がある。
  6. 1卵鞘中には30~40個の卵が入っている。
  7. 孵化直前まで尾端に卵鞘を保持している。
  8. 成虫になるまでの期間は25℃で約60日、27℃で45日、20℃で220日と著しく長くなる。
  9. 1匹のメスは平均5回産卵する。
  10. チャバネゴキブリは日本の冬季では暖房なしでは越冬できないが暖房設備の完備されたビルでは通年生息することができる。
  11. 1年に2回~3回世代交代を繰り返す。
  12. 北海道から沖縄まで広く分布している。
  13. 他のゴキブリと比較して、屋内生活性が強い。

クロゴキブリ

  1. 成虫の体長は3~4cm。
  2. 本州(関東以西)、四国、九州に多い。
  3. 一般住宅の優占種。
  4. ビル内では厨房、湯沸し器、建築物周辺や下水道、側溝等でも見られる。
  5. 気温の高い夏に雄雌が1対で飛行行動し分布を拡大する。
  6. やや褐色がかかった艶のある黒色で斑紋はない。

ヤマトゴキブリ

  1. 屋外でも暮らす半野生種
  2. クロゴキブリに形態は似ているが、艶が少なくやや小型で平たい感じを受ける。
  3. 農村地区や郊外の木造住宅に多いが、都心の下水道や飲食店で生息が確認されている。

ワモンゴキブリ

  1. 成虫の体長は3~4.5cmの大型種。
  2. もともと熱帯性で九州以南に多かったが近年では暖房完備されたビル各地に定着している。
  3. やや赤みを帯びた黄褐色で前胸背板に黄白色の輪紋がある。

トビイロゴキブリ

ワモンゴキブリの近似種で、年間高温化したビル各地で定着している。

キョウトゴキブリ

クロゴキブリに似ているが大きさはチャバネゴキブリ程度で食品工場などに定着している。


ゴキブリの生息地域、場所は覚える。
チャバネゴキブリの特徴も覚える。(良く出題されますよ)

ゴキブリの習性

  1. 夜間特定の時間に潜伏場所から出現し、摂食、摂水行動を起こす。
  2. 体内に組み込まれた体内時計により、約24時間を周期とする行動が見られる。
  3. 潜伏場所の辺りに糞などの汚れが多く見られ、殺虫剤を処理する場所の目安になる。
  4. 集合フェロモンを糞中に分泌してこれによって群れる。
  5. 雑食性で、食品類、汚物など様々なものを餌とする。
  6. ゴキブリは幼虫、成虫とも同じ場所で活動し、同じ食物を摂取する
  7. 物の縁や隅を通る傾向があり、壁から5cm程度の隅に活動が集中する。
  8. ゴキブリは不完全変態である。
完全変態:卵→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫
不完全変態:卵→幼虫→成虫

つまり、ゴキブリは蛹にならない


防除法

薬剤処理とともに餌となるものは放置しない。生息場所をなくすことが重要である。

残留処理

ゴキブリの行動習性を利用した基本駆除法、残効性の高い有機りん剤やピレスロイド剤を壁面等1m2当たり50mL散布するのが標準である。
ゴキブリの通路や隠れ場所となりやすい家具の隅や隙間などに重点的に殺虫剤処理を行う。

直接処理

生息密度が高い場合は煙霧、燻煙処理、蒸散、ULV処理などによって室内に薬剤を充満させ30分~1時間部屋を閉めきり、隅に澄んでいるゴキブリを 直接殺す。
残効性には期待できない。
部屋はできるだけ密閉状態にし、引き出し、戸棚等はすべて開放しておく。

煙霧処理

ジクロボス0.3%油剤を1m3当たり2~3mL散布する。

追い出し効果(フラッシング効果)

ピレスロイド剤にはゴキブリに対する追い出し効果がある。
空間処理にピレスロイド剤を使用すると、フラッシング(追い出し)効果が期待できる。

ULV処理

ペルメトリンを有効成分とする専用水性乳剤では1m3当たり5%溶液を約1mL処理する。


直接処理だけの効果を期待するより、残留処理など、他の方法と併用した方が効果が高い。
種類によって有機りん剤に高い抵抗性の発現が見られる。
ピレスロイド抵抗性のチャバネゴキブリにはメトキサジアゾンが有効である。

粘着トラップ

生息密度がそれほど高くない場合に用いる。薬剤処理と併用する。

毒餌(ペイト剤)処理

  1. 喫食性を増すためにロ―チスポット(ゴキブリの排泄物等による汚れ))が多く見られる、ゴキブリが良く行動する場所に、的確に数か所設置する。
  2. 喫食率を高めるため、ゴキブリの餌となるものを設置場所周辺から除去することが大切である。
  3. 毒餌に殺虫剤がかからないようにする。
  4. 遅効性の為生息密度が減少するまである程度長時間に配置が必要である。
備考:ロ―チスポットとはゴキブリの 排泄物や、吐物で汚れていて、独特な悪臭のある場所のこと。

総合的な防除

  1. 駆除率の算出には、1日、1トラップ当たりのゴキブリ捕獲数であるゴキブリ指数を用いる。
  2. 環境の整備、清掃に努めることで発生を最小限に抑え、発生調査に基づき、状況に合った防除対策を講じる。
  3. 殺虫剤を用いた防除と、殺虫剤に頼らない防除とを組み合わせた方法である。
  4. 薬剤使用にあたっては環境に配慮し、少ない薬量で、労力、経済負担を少なくする。
  5. 発育期間が長いため、ハエや蚊と比較して徹底駆除後における生息密度の回復にかかる時間も長い。


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