建築物の構造概論3
鉄筋コンクリ―ト造(RC造)と鉄骨造(S造)
コンクリ―トと鉄筋
コンクリ―トは圧縮力に強く、引張力に弱い。(圧縮強度は引張強度の10倍以上)
コンクリ―トの線膨張係数はほぼ等しく、相互の付着性能もよい。
線膨張係数とは、線膨張率ともいいます。
物体を熱すると、温度が上がるにつれてその長さ、面積、体積が増加する。この現象を熱膨張という。長さの熱膨張を線膨張といい、温度1℃上がるごとの物体の単位長さが増す量を、その物体の線膨張率という。柱、梁の配置図
配筋の名称 | 負担する応力 | 備考 |
---|---|---|
柱の主筋 | 曲げモ―メント、軸方向力 | |
柱の帯筋 | せん断力 | フ―プともいう。 |
梁の主筋 | 曲げモ―メント | |
梁の折曲げ筋 | せん断力 | 梁の反曲付近に入れる。 |
梁のあばら筋 | せん断力 | スタ―ラップともいう。 |
備考:配筋とは、RC構造の建物で、図面および仕様通りに鉄筋を配置すること。
梁にあける設備用の貫通孔
- 貫通孔の直径は主筋を避けて、梁せい(梁の高さ)の1/3以下とする。
- 貫通孔は柱に近い部分は避け中央部に設ける。
- 貫通孔と貫通孔の中心間隔は孔の直径の3倍以上とする。
RC造の特徴
- 耐火耐久性に富む
- 建築の自由な形態が得やすく比較的安価である。
- 自重が重く地震の影響が大きい
- 施工の良し悪しによって強度が影響を受け、工期が長くなる。取り壊しが容易でない。
コンクリ―トのかぶり厚さ
かぶり厚さとは鉄筋とコンクリ―ト表面との距離。
耐力壁、柱、梁 | 3cm |
耐力壁以外の壁、床 | 2cm以上 |
直接土に接する壁、柱、床 布基礎の立上り部分 | 4cm以上 |
基礎(布基礎の立上り部分を除く。) | 捨てコンクリ―トの部分を除いて、6cm以上 |
コンクリートの厚さ
床のことを通常、スラブまたは床スラブと呼んでいる。
一般的な床の厚さは13~20cm程度である。
RC構造の壁は、構造上大きな役割を持つ耐震壁と、間仕切り等の一般壁がある。
- 耐震壁は20cm程度の厚さ。
- 一般壁は10~15cm程度の厚さ。
鉄筋コンクリ―ト用の鉄筋
- 鉄筋には普通棒鋼と異形棒鋼がある。
- 異形棒鋼は付着性能が優れる。
SRは普通棒鋼、SDは異形棒鋼で表されます。
RC造りに関することをまとめてみました。上記記載事項重要です。
捨てコンクリートとは
捨てコンクリートとは地盤の上に底面を平らにする目的で敷きならしたコンクリートのことです。
鉄骨造(S造)
特徴
- RCに比べ比強度が大きく大スパン構造や高層建築に用いられる。
- 靭性に富み、耐震的に有利な構造にしやすい。
- 施工の工期も短く、解体も容易
- 耐火性能性に劣り、耐火被覆、防錆処理をしなければならない。
備考:
靭性とは粘り強さのこと。
耐火被覆戸は骨組を火災から守るための耐火性能に必要な被覆のこと。
鋼材の性質
- 炭素量が増すと強度は増加するが、靭性、溶接性は低下する。
- 引張強度の大きい鋼材は高張力鋼と呼ばれている。
- 鋼材は、温度上昇とともに強度が低下し、1000℃ではほとんど零となり、1400~1500℃で溶解する。
接合
- ラ―メン構造の鉄骨同士の接合にはリベット、溶接、ボルト等があるが、近年ではほとんどボルト接合である
- 溶接は一般にア―ク溶接が用いられる。
- リベット接合は打ち込み時の騒音と熟練を要する作業の為、現在はあまり用いられなくなった
- ボルト接合は現場での施工が容易で、技術者のレベルに左右されることが少なく、 一定の品質が保てる。
- ボルト接合には普通ボルトと高力ボルトが用いられる。
- 高力ボルト接合では接合部にわざと赤錆を発生させ、より摩擦を得やすくする(塗装してはいけない)
鋼材
S構造に用いられる鋼材には、形鋼、平鋼、鋼板、鋼管等の種類がある。
材質はJIS規格で規定されている。
建築構造用鋼材(SN400等)、一般構造用圧延鋼材(SS400等)や溶接構造用圧延鋼材(SM400A等)等がある。
記号中の数値は引張強度を示している。
H形鋼 | |
角型鋼管 | |
山形鋼 | |
T形鋼 | |
溝形鋼 |