建築物の構造概論1
建築物と環境問題
建築物等により都市が形成され、都市に形成される環境は、郊外に比べて以下のような特徴があります。
ビル管理士試験対策として以下のことは覚えておきましょう。
- 年平均気温が高い。
- 年平均相対湿度が低い。
- 年平均二酸化炭素濃度が高い。
- 年平均風速が低い。
- 雨水の保水能力が少ない。
典型7公害
公害が環境基本法(旧公害対策基本法)により、次の7つが定義されています。
これを、典型7公害といいます。
- 大気の汚染
- 水質の汚濁
- 土壌の汚染
- 騒音
- 振動
- 地盤の沈下
- 悪臭
日射を考慮した建築計画
東京における建築物で、晴天日における日射の受熱の図を示します。夏至の日
- 最も日射受熱が大きいのは水平面(ピ―クで約900W/m2)である。
- 夏期における建築物の日射受熱を減少させ、冷房負荷を小さくする観点からは、東西の壁面・窓面はなるべく小さく、南の 壁面・窓面は大きくとるほうが有利である。
- 建築物の西側諸室の方が温熱環境化的に厳しい条件下にあるので、日射遮へい対策も重点的に施す必要がある。
冬至の日
- 南壁面(ピ―クで800W/m2弱、1日で約5kW/m2日)の日射受熱が最も大きい。
- 暖房負荷を減ずる観点からも、南面を大きくし、東西面をなるべく小さくした方が有利である。
春分の日・秋分の日
- 1日に受ける日射受熱量が最も多いのは水平面である。
- 南向き鉛直壁面の1日に受ける日射受熱量は、夏至の日よりも冬至の日のほうが圧倒的に多い
- 夏至の日に南向き鉛直壁面が1日に受ける日射受熱量は、緯度が高い地域ほど多い。
日影曲線(ひかげきょくせん)
日影曲線は夏至、春分・秋分、冬至の日に地面に垂直な単位長さの棒が水平面に落とす影を時間別に描いたもので、イメ―ジ的には下のイメ―ジ図のような曲線になります。
夏至の日は太陽が高くのぼります。下の図のように影は短くなります。冬至の日は夏至とは逆に、太陽は低くのぼります。下の図のように影は長くなります。
夏至の日は最も影が短く、冬至の日は影が長くなります。春分・秋分はその中間になります。
また不思議なことに春分・秋分の日に日影曲線が直線になるのです。
直線になるのは日本以外の国でも同じなのです。
遮へい係数
これお覚えましょう。特に熱取得がポイントだね
設計図面
設計図面は意匠図面、構造図面、設備図面に大別される。
主な図面
配置図 | 敷地内での建物の位置、方位、道路との関係等を示す。庭園樹木等も記入する。 |
平面図 | 部屋の配置を平面的に示す。家具や棚等も記入することがある。 |
立面図 | 建築物の外観、普通は東、西、南、北の4面、隠れた部分は別図で示す。/td> |
断面図 | 建築物の垂直断面で、主要部を2面以上でつくる。垂直寸法関係を示す。 |
天井伏図(ふせず) | 天井面の仕上げ材、割付、照明の位置等記入 |
仕様書 | 建築工事における材料や製品の品質、性能、施工方法、製造者等を指示するもの |
現寸図 | 意匠的に又は構造的に複雑な部分を現尺で描く図面。現寸図は建築基準法に定める設計図書に含まれない。 |
透視図 | 雰囲気や空間の構成を理解しやすいように絵で表現したもの |
日影図 | 冬至における日照状態を描く |
矩計図 | 建築物の基礎を含む主要な外壁部分の各部寸法を示した垂直断面詳細 |
展開図 | 各室内部壁面の詳細。各壁面の窓やドア、造作家具、設備機器などを示し、天井の高さや窓の取付位置などを併せて示す。 |
特に赤字で書いた部分は覚える。
特に現寸図は建築基準法に定める設計図書に含まれない←これ覚えましょう。
日影図は冬至におけるです。たまに夏至におけると出題されますから、その時は不正解ですから
仕様書に記載される事項
- 品質
- 成分
- 性能
- 製造や施工の方法
- 部品や材料のメ―カ―
- 施工工業者等を指定するもの
建築物の設計者
建築物の計画・設計は設計者によって行われる。
主に一級建築士、二級建築士、木造建築士の三種がある。
建築士法による資格
資格 | 内容 |
---|---|
1級建築士 | 建築士法に定められた資格であり、国土交通大臣の免許を受け1級建築士の名を用いて建築物の設計、工事監理等の業務を行う者。 1級建築士でなければ設計または工事監理できない建築物が定められている。 |
2級建築士 | 建築士法に基づき都道府県知事の免許を受けて得られる資格。 一定限度以下の建築物の設計、監理等を行う。 |
木造建築士 | 建築士法で定められた資格。 1・2級建築士に限られた建築物以外の100m2超える木造建築物を新築する場合の設計と工事監理をすることができる。 |
建築設備士 | 建築設備の設計と工事監理について建築士に助言できる。 |
構造設計1級建築士 | 高度な専門能力が必要とする一定の建築物について、法適合チェックが義務付けられている建築物への関与。 |
構造設計2級建築士 |
- 一級建築士・・・・・・・・・・国土交通大臣免許
- 二級建築士、木造建築士・・・・都道府県知事免許
以下事柄も丸暗記すること。
設計とはその者の責任において設計図書を作成すること。
「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。 施工上の管理者とは異なる。
建築生産
建築生産は、一般の製造業が見込み生産、大量生産、工場生産であるのと異なり注文生産、一品生産、現場生産が多い。
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これ重要
施工方式には直営方式、請負方式、実費生産方式があり、おもに請負方式が多い。
請負方式とは、一式請負(一括)、分割請負、ジョイントベンチャ―(共同企業体)がある。
主な平面表示記号
出入口一般 | アネモ型吹出口 | ||
---|---|---|---|
空調還気ダクト | 空調機 | ||
引違い窓 | エアフィルタ | ||
空調給気ダクト | 吸込口 | ||
両開き窓 | 両開き戸 | ||
片開き戸 | 自由扉 |
建ぺい率と容積率
建築基準法では、用途地域制と連動させて容積率、建ぺい率を規制している。
建ぺい率とは建築面積の敷地面積に対する割合
容積率とは建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合- 建ぺい率:建築面積 / 敷地面積 x 100%
- 容積率:延べ床面積 / 敷地面積 x 100%
※容積率、建ぺい率とも法では%で表示さることは規定していないが、通常は%で表示される。
- 地階
- 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のものをいう。
- 敷地面積
- 建物が建っている土地の面積
- 建築面積
- 建築物の外壁又はこれらに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平線1m以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離1m後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。
- 地階で地盤面上1m以下にある部分を除く。
- 国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
- 延べ床面積
- 建築物の各階の床面積を合計した面積
- 床面積
- 建築物の各階又はその一部で壁やその他区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
- 階数
- 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。
あくまでも建築面積は真上から見たときの水平面積です。
下図のように2階の地面が大きい建物の場合は2階の面積になります。
建築生産と建築施工
- 建築生産
- 建築生産は、一般の建造業が見込み生産、大量生産、工場生産であるのと異なり、注文生産、一品生産、現場生産の多いことが特徴である。
- 建築施工
- 施工方式
直営方式、請負方式、実費生産方式がある。一般に請負方式が多い。
- 施工方式
- 請負方式
一式方式(一括)、分割請負(分離)、ジョイントペンチャ―(共同企業体)がある。
- 施工計画
工事の工程は大きく4段階大きく分けられる。