ねずみの生態と防除
ねずみの生態
建築物内に生息するねずみは、ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミである。
大きさは- クマネズミで成獣で15cm~23cm
- ドブネズミで成獣で22cm~26cm
- ハツカネズミで成獣で6cm~9cm
クマネズミ
- 都心の大型ビルではクマネズミが優占種である。
- クマネズミは運動能力に優れパイプ、電線を伝わったり垂直行動が得意でいたるところから侵入する。
- 天井、梁など建物の比較的高層部分まで生息する。
- クマネズミは動物性の餌も食べるが植食性が強い。
- 大きさは、頭胴長が、成獣で15~23cmで、尾長は体長よりも長く、頭胴長の約1.1倍程度で、体重は、大体100g~200gである。形態的な特徴は、耳が大きく、折り返すと目を覆う ほどで、尾の長さは体長よりも長い。
- 毛色は背面が黒褐色で、腹面はやや黄褐色のものが多い。
- クマネズミは警戒心が強く、毒餌をなかなか食べず、防除が困難である。
ドブネズミ
- ドブネズミは比較的平面的な活動をするので地下や厨房、低層階に多い。
- ビルの周囲の植栽の土壌などに穴を掘って生息する。
- ドブネズミの食性は雑食性であるが、動物蛋白を好む。
- ドブネズミの大きさは、頭胴長が成獣で22~26cmで尾長は体長よりもやや短い(体長の0.7~0.9倍)、体重は最大のもの500gを超す。(成獣でおよそ200g~500g程度)
- 特徴は耳が小さく肉厚で、倒しても目まで届かないことと尾の長さが体長よりも短い
- ドブネズミは泳ぎが得意。排水溝が最も重要な侵入場所である。水洗便所からも侵入する。
- 毛色は、基本的に背面が褐色、腹面が色白であるが、全身黒色等に変化したものも多い。
- 獰猛であるが警戒心が弱く、防除は比較的やりやすい。
ハツカネズミ
- 農村で優占種であるハツカネズミの生息地は畑地とその周辺地域であるが、ビル内にも生息する。ビルでは局所的な分布で、生息数はドブネズミやクマネズミより少ない。行動範囲も小さい。
- 種子食性である
- 最も小型のネズミで、頭胴長が成獣で6~9cm、尾長は体長よりやや短い程度(体長の0.9~1.0倍)、体重は成獣で約10g~20gである。
- 特徴は、耳が大きくハツカネズミ特有の臭いがする。
- 水気のない環境下でも長時間生息する。
ネズミの防除法
ネズミの防除は、環境対策すなわち、餌を絶つ、通路を遮断するする、巣を作らせないを基本に進める。
環境対策を怠って薬剤に頼る防除は効果が上がらない。
殺そ剤
- 殺そ剤はすべて食毒で、抗凝血性殺そ剤、急性毒剤に大別される。
一般に毒餌中の含有量をあまり高めると喫食性が悪くなり、含有量が少ないと喫食性はよくなるが効果が落ちる。 - 殺そ剤は食毒であるから、他に餌となるものがあると効果が低下する。
また、毒餌の基材となる食品の選択が重要である。ドブネズミはそれほど選択性はないが、クマネズミ、ハツカネズミは餌に対する好みが非常に 強いので餌の選択を誤ると喫食されない。 - 薬剤の濃度は低すぎると喫食性はよくなるが効果が上がらず、高すぎるとと喫食性が悪くなる。
- クマリン系殺そ剤は1週間以上、急性殺そ剤で2日~3日間配置する。
- 人の活動の多いところでは、クマリン系殺そ剤を用いる。連続して誤食されない限り安心して用いることができる。
- クマネズミは殺そ剤に対して警戒心が強く喫食が悪い。
抗凝血性殺そ剤
- クマリン殺そ剤と総称され通常連日(3~7日)少量を摂取されることが必要で、これによって血液が凝固する時間が 次第に延長し、やがて出血死する。
- 1日おきなど摂取に中断が起きると効果は著しく低下する。
- 人畜に対しては、連日誤食される可能性が低いので安全性の面から汎用される。
- ワルファリン、フマリン、クマテトラリルなどがある。
急性毒剤
- ノルボルマイドはドブネズミに著効を示す。
- リン化亜鉛、硫酸タリウム、黄リン、アンツ―などもこのタイプである。
- ネズミが慣れて喫食するまで数日間放置する必要がある。
- シリロシドはハツカネズミに効果が大きいが激しい中毒症状がある。
ラットサイン
ネズミは活動に当たって様々な証拠を残す。(糞、臭い、毛、足跡、かじり跡、尿等) このような証拠をラットサインという。 これらの証拠からネズミの種類、行動範囲を判断することができる。
忌避剤(キヒザイ)
ネズミを近づけないことを目的で使用する薬剤で、ネズミを追い出す効果はない。
忌避剤にはシクロヘキシイミド、カプサイシンなどがある。
殺そ剤の剤型
- 粉剤
- 餌にまぶして使用
- 固形剤
- そのまま置く
- 液剤
- 毒水として使用(水と混ぜる)