- 界面活性剤は少量で水の界面における挙動を著しく変化させ、その表面張力を弱める。それによって対象物を濡らす。浸透する。汚れを離脱させ水中に溶け込ませる。汚れの再付着を防止するなどの作用がある。
- 合成洗剤は界面活性剤の種類によって陰イオン系活性剤、陽イオン系活性剤、両性系活性剤、非イオン系活性剤などに分けられる。
- 合成洗剤は冷水や硬水に良く溶け硬水中でも洗浄力は失なわない。
- 洗剤の洗浄効果は必ずしも、濃度に比例しないので、最適な濃度で使用し、作業後必ず清水で 十分なすすぎをする。
助剤
- 助剤として用いられたリン酸塩が湖沼の富栄養化をもたらしたため現在は使われていない。
- 界面活性剤の表面張力を弱め、pHの調整、洗浄力を阻害するカルシウム、マグネシウムの封鎖等の作用をもつ。
- ビルダとよばれ洗剤の効果を高め、その作業を補うもの。
万能洗剤(一般洗剤)
- pH9~11の弱アルカリ性である。
- 床や家具などの洗浄作業に使われる。
- 陰イオン系、非イオン系の界面活性剤を併用
- ケイ酸塩等の助剤を含む。
- 助剤の添加を控えて有機溶剤や酸素を添加したものもある。
酸性洗剤
- 大理石、テラゾ―などの建材には使用できない。
- 便器等の洗浄に用いる。
- 無機酸を配合しているので尿石などの除去に有効。
- 塩素系の薬剤と混ぜると塩素ガスが発生して危険。
カ―ペット用洗剤
- 高級アルコ―ル系の極めて発泡性の高い界面活性剤で、繊維を傷めないように中性になっている。
- 残った洗剤分の粉末化や速乾性等の特徴がある。
強アルカリ性洗剤
- 油脂分を含む頑固な汚れに使用。
- 厨房やガレ―ジの床用、ゴム系のタイルには使用できない。
表面洗剤
- 弱アルカリ性で、泡立ちが少ないようにしてある。
- 床面に塗布した樹脂床維持剤の皮膜の手入れ用として作られた。
- 成分的には一般洗剤とかわらない。
- 有機溶剤を配合してあるものが多い。
剥離剤
- 低級アミンやアンモニアを主剤としたものに界面活性剤を添加され強アルカリ性、ゴム系、リノリウム系の床には変色ひび割れを起こすので使用できない。
- 残留していると再塗布した床維持剤が粉化する可能性があるので使用後はすすぎ洗いを十分に行う。
- 皮膚を傷めることがあるので使用には注意が必要。
床維持剤
床維持剤は床の美観、床の表面の平滑化、床の保全化、耐水性の向上の目的で使用する。
フロア―ポリッシュ
物理的化学的に容易に除去できるタイプの床保護剤
油性フロア―ポリッシュ
油性フロア―ポリッシュは不揮発性成分を揮発性溶剤に溶解又は分散させたものをいう。
乳化性フロア―ポリッシュ
乳化性フロア―ポリッシュは、ろう状物質、合成樹脂等の不揮発成分と揮発性溶剤とを水に乳化させたもので、揮発性溶剤の含有量が不揮発成分よりも多いものをいう。
フロア―ポリッシュ ポリマ―タイプ
不揮発性分が合成樹脂などのポリマ―が主原料、一般に市販されている製品では水性ポリマタイプが普及している。
フロア―ポリッシュ ワックスタイプ
不揮発性分としてろう類、ろう状物質を主成分とする。
フロア―シ―ラ
乾燥後に形成される被膜が物理的化学的に容易に除去できないタイプの床保護剤
フロア―オイル
表面加工されていない木質系床剤の保護に用いる。常温で液体の鉱油を主体とする。
床の清掃
床材
床材には弾性床材と硬性床材などがある。
弾性床材
種類 | 特徴 |
---|---|
リノリウム リノタイル | アルカリ性洗剤・水に弱い |
塩化ビニルタイル | 剥離剤・洗剤に対して耐性が大きい |
ゴムタイル | 耐磨耗性に優れる。 溶剤・強アルカリ性洗剤に影響される。 |
アスファルトタイル | 耐水性あり、耐溶剤性に乏しい |
塩化ビニルシ―ト | 剥離剤・洗剤に対して耐性が大きい |
硬性床材
種類 | 特徴 |
---|---|
大理石 | 吸水率は低く、耐酸性、耐アルカリ性に乏しい |
花崗岩 | アルカリ、酸、油には耐性があるが耐熱性に乏しい |
テラゾ― | 耐酸性に乏しい |
モルタル・コンクリ―ト | 耐酸性に乏しく表面の凸凹が激しい |
セラミックタイル | 耐酸性、耐アルカリ性があり、 耐磨耗性も大きい |
硬性床材の清掃時の注意点
- 石材系の床では、油等が染み込みやすいので、油性のダストモップの使用は注意を要する。
- 大理石、テラゾ―は酸性洗剤を使用できない。
- 一般に、硬性床材は多孔質であったり、細かい凹凸があって汚れやすいので、水洗い等、水分を極力少なくすることが必要である。
- 洗浄に際しては、洗剤と仕上げ剤の選択がポイントとなり、作業上では、汚水や洗剤分を完全に除去することが大切で、リンスをしたり、凹凸のある床材では、吸水式真空掃除機の使用も効果的である。
- 花崗岩は耐酸性、耐アルカリ性があるが、大理石と同様の手入れが基本てある。
ドライメンテナンス作業法
ドライメンテナンス作業法は弾性床の主流とされる清掃方法である。
汚れの程度と質に応じ、床磨き機に装着するパットの種類を変えて床維持剤を削り、その後床維持剤を補充する床管理方法である。
スプレ―バフ法
スプレ―バフ作業法は細かい傷と軽度の汚れを除去する作業。 洗浄つや出し作用を持つ液をスプレ―しながら、専用パッド(赤パッド)で磨く作業。
ドライバフ法
歩行により光沢度の低下した被膜を、研磨剤を含まないフロア―パッド(白パッド)で研磨し、光沢度を 回復させる作業である。スプレ―液を使用せず、一般の床磨き機、または超高速床磨き機(1000回転以上)で磨く。 床面の土砂、ほこりを完全に除去してから作業を行う。
スプレ―クリ―ニング法
汚れや傷が内部に入り込んだ場合は、洗浄作用のあるスプレ―液をかけながら少し目の荒い緑・青パッドを装着した200回転の床磨き機を用いて、バフィングを行う。
これによりワックス層が数層削れるので、その後またフロア―ポリッシュを1~2層塗布しバフィングにより皮膜の形成を行う。
ドライメンテナンスのメリット
- 日中でも作業が可能で、日常作業に組み込むことができる。
- 水や洗剤を使用しない。(安全性が高い・・すべり、転倒など)
- 汚れた水をまき散らさない(環境汚染の問題が少ない)
- 前方に進む作業が主になるので、安全作業の導入が容易。
- 使用する資機材が少ない(作業費用の削減ができる)
- 個別作業が可能(単独作業ができる)
- 工程数が少ない。
- 個人の能力に合わせて作業ができる。
- 技術の向上により作業効率が上がる。
- 作業の標準化、システム化がしやすい。
- 一定期間を通じての平均的美観度は高い。
- 部分補修がしやすい。
- 予防清掃である。
ドライメンテナンスのデメリット
- 開店中あるいは就業時間中の作業に対する理解が必要になる。
- 床材への熱影響に注意が必要
- 評価基準を定める必要がある。
- ポリッシャ―の台数が相当必要。
- 初期費用が高い。
- 教育・研修が必要。
- 綿密な作業計画が必要となる。
カ―ペットのパイル
パイルとはカ―ペットの表面にある毛足のこと。
カ―ペット床の清掃
- パイル表面の粗ごみは、カ―ペットスイ―パで除去
- しみは付着後できるだけ速やかに拭き取る。
- 繊維床に付着した土砂やほこりは時間の経過とともにパイルの中に沈み込むので吸引力の強いアップライト型真空掃除機などで吸引除去する。
- 汚れが目立つ場所ではスポットクリ―ニングを行う。
- スポットクリ―ニングは除じんで除去できない汚れがパイルの上部あるうちに行う洗浄である。パウダ―方式、拭き取り方式、エクストラクション方式があり、場所により使い分ける。
- 全面クリ―ニングはパイル奥の汚れ除去と、全体の調和を保つために行う。シャンプ―後にすすぎ洗いをする方法と、汚れと残留洗剤の除去に 最も適している。方法としては、ロ―ラブラシ方式、エクストラクション方式、シャンプ―クリ―ニング方式、スチ―ム洗浄方式がある。
- パイルのほつれ等はすぐに補修する。