排水槽と排水設備の保守管理
排水を建物から重力式で排除できない場合は、最下階に排水槽を設ける。
排水槽は、汚水槽、雑排水槽、湧水槽に分けられる。
排水槽の構造
- 内部の保守点検が容易な位置に有効内径600mm(直径が60cm以上の円が内接することができるもの)以上の 密閉型マンホ―ルを設ける。
- マンホ―ルは2個以上設けることが望ましい。
- 通気管は単独に大気中に開口する。
- 排水槽の底部には吸込みピットを設け、排水槽の底部には1/15以上、1/10以下の勾配を設ける。
- 排水槽は、通気管以外の部分から臭気が漏れない構造とする。
- ちゅう房排水槽と汚水排水槽は別々に設置することが望ましい。
- 排水槽のマンホ―ルふたはパッキン付き密閉型にする。
- 湧水槽は、二重ピットに発生する湧水を排出するもので、湧水槽のポンプ起動水位は2重スラブ床面以下とし て滞留期間を短くして水の腐敗、衛生害虫の発生を防止する。
- 吸込みピットは水中ポンプの周囲に保守のためにスペ―スとして200mm以上の空間を設けられる大きさとする。
- 排水槽の満水、ポンプの運転の制御には電極棒は使わない。(電極棒は汚物により誤作動の原因になる)。
- 排水槽の満水、ポンプの運転の制御にはフロ―トスイッチが適している。
- 排水ポンプは原則2台設置し自動交互運転とする。
- 排水ポンプには、水中ポンプ、立て型ポンプ、横型ポンプ等があるが、設置スペ―スが要らない水中ポンプが多用されている。
排水設備の保守管理
排水に関する設備の清掃を、6ヵ月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。
排水設備等の維持管理
- 排水槽内の汚水及び残留物質を排除すること。
- 流入管、排水ポンプ等について、付着した物質を除去すること。
- 排水管、通気管及び阻集器について、内部の異物を除去し、必要に応じ、消毒等を行う。
- 清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、関係法令の規定に基づき、適切に処理すること。
- トラップについて、封水深が適切に保たれていることを定期に確認すること。
- 排水管及び通気管について、損傷、さび、腐食、詰まり及び漏れの有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。
- 排水槽及び阻集器について、浮遊物質及び沈殿物質の状況、壁面等の損傷及び亀裂、さびの発生の状況及び漏水の 有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行う。
- フロ―トスイッチ又は電極式制御装置、満減水警報装置、フ―ト弁及び 排水ポンプの機能等を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行う。
排水槽の清掃
- 清掃に用いる照明器具は防爆型で、作業に十分な照度を確保できるものであること。
- 排水槽には、爆発性のあるメタンガスや有毒な硫化水素等が充満していることがあるので、火気に注意する とともに、換気を十分に行い安全を確認してから槽内に立ち入ること。また、換気は作業が完全に終了するまで継続して行うこと。
- 清掃終了後は、水張りを行い、水位の低下の有無を調べ、漏水がないか確認すること。
排水槽の臭気対策
- 厨房排水が流入する排水槽では、水位をできるだけ下げ、ポンプの運転停止水位を排水ピットの上端よりも低い位置に設定する。
- 12時間を超えて貯留しないようにタイマ―でポンプを運転し強制排水する。あるいはばっ気撹拌装置を設ける。
- 排水槽上部室の換気回数を増やす
排水ポンプの定期点検
- 日常点検
- 吐出し圧力、電流値、騒音、振動等の異常の有無を確認
- 1ヵ月に1回
- 絶縁抵抗の測定を 行い、1MΩ以上あるか確認する。
- 6ヵ月から1年に1回
- 水中ポンプのメカニカルシ―ル部のオイル交換
- 1~2年に1回
- メカニカルシ―ル交換
- 3~5年に1回
- オ―バ―ホ―ル
グリ―ス阻集器の清掃
- ストレ―ナのちゅう芥
- 毎日除去
- グリ―ス
- 7~10日に一度除去・清掃
排水管の洗浄方法
排水管の洗浄方法には、スネ―クワイヤ―法、高圧洗浄法、ロッド法、ウォ―タ―ラム法などがある。
スネ―クワイヤ―法
ワイヤ―の長さは25m以下なので、排水横管では25mまで、立て管で20m程度が限界。
高圧洗浄法
高圧ポンプを装備した高圧洗浄車、ホ―ス、ノズル等を用いて5~30MPaの高圧の水を噴射して排水管内の砂や汚物を除去する。
ロッド法
1~1.8mのロッドをつなぎ合わせ、手動で排水管内に挿入して清掃 する方法である
ウォ―タ―ラム法 閉塞した管内に水を送り、圧縮空気を一気に放出してその衝撃で閉塞物を除去する