冷媒ガスを圧縮する圧縮機の形式により容積式(往復式、回転式)遠心式(タ―ボ式)などがある。
タ―ボ冷凍機(遠心冷凍機)
羽根車(インペラ)の高速回転による発生する遠心力で冷媒を圧縮する。
往復圧縮機
シリンダ内のピストンを往復させることにより、 冷媒ガスを圧縮する。
回転式冷凍機
シリンダ・ピストンに相当する機構を回転子の回転運動で圧縮作用が得られるようにしたもので、高効率運転が可能で、 高速回転に適している。圧縮機本体の小型化・低振動化が可能となり 用途によっては往復動式にとって代わりつつある。
回転式冷凍機には スクロ―ル型、スクリュ―型、 ロ―タリ型がある。ヒ―トポンプ方式
ヒ―トポンプは冷暖房が可能であり、1台の機器で冷水、温水または冷温水の同時取り出しを行う方式である。基本的には冷凍機と同じ機構で、 温熱源として蒸発式冷凍サイクルの凝縮器からの放熱を利用する。
特徴としては冷房期には室外機が凝縮器に、室内機が蒸発器になり、暖房期四方弁で冷媒の流れを逆転して室外機が蒸発器に、室内機が凝縮器になる。暖房負荷が最大となる時期と外気温度の一番低い時期が重なり、採熱効率が最低となる。
二重効用吸収式冷凍機
二重効用吸収式冷凍機では再生器及び溶液熱交換器が高温・ 低温にそれぞれ分かれている。高圧(高温)再生器で発生した高温蒸気を低圧(低温) 再生器に送り溶液の加熱に利用して熱交率を上げている。
蒸気圧縮機冷凍機と比較した場合の吸収式冷凍機の特徴
- 使用電力量が少ない。
- 成績係数が低く、排熱量が大きいので、冷却塔は大型となる。
- 真空で運転され、高圧ガス保安法の適用を受けない。
- 負荷変動に対し容量制御性に優れている。
- 振動や騒音が少ない
- 運転資格が必要としない。
鋳鉄製ボイラ
分割搬入が可能で寿命が長い。低圧蒸気、低温水を給湯・暖房用に供給する。
炉筒煙管ボイラ
胴内に炉筒と煙管群との両方を設けた内だき式のボイラで、一般に直径の大きな波形炉筒1本と直管の煙管群からなっている。
中規模建築物などの暖房用、吸収式冷凍機の熱源として使われる。炉筒煙管式ボイラは、保有水量が大きく負荷変動に対して安定性があるためホテルなどでも多く使われる。
貫流ボイラ
ボイラ本体は、水管壁に囲まれた 燃焼室及び水管群からなる対流伝熱面で構成され、大きなドラムがなく、ボイラ水が循環しないことが特徴である。他のボイラに比べて 法的な取り扱い資格などが緩和されており、ボイラ技士の資格を有しない。
立てボイラ
立て型の缶内に燃焼室と比較的少数の水管又は煙管を設けた簡単な構造で、設置面積が少なく済む小規模な建築物に使用される。
水管ボイラ
伝熱面が水管で構成され、ボイラ水循環方法により、 強制循環式、自然循環式、還流式がある。
冷却塔
冷却塔は大きく分けて開放型と 密閉型に分かれる。
開放型冷却塔
開放型冷却塔は、充填材、下部水槽、散水装置、送風機等から構成される。
冷却水は主に自ら蒸発して、その潜熱により冷却される。密閉型冷却塔
冷却水と空気の熱交換は間接的となるので、冷凍機に廻る冷却水の水質悪化の心配がない。
しかし同じ冷却能力を得るのに開放型より大型になる。
また熱交換器による通風抵抗の増加に伴い送風機動力が増加するうえ、冷却ポンプとは、別に散水ポンプが必要で高価である。
冷却塔の性能低下の原因
- 散水の不均一
- 送風装置の不具合
- 破損
- 外気の湿球温度が設計値を上回った時
冷却塔の設置場所
- レジオネラ症や冷却水の水処理剤による汚染の危険があるので建物の外気取り入れ口から離して設置する。
- 風通しがよく、 強風が当たらない場所。
- 屋上に設置する場合は給水圧力を確保するために高置水槽より3m(30kPa)は低くする。
開放型冷却塔の水管理
電気伝導度の変化を連続的に測定し、補給水量を調整する。濃縮管理方法が普及している。
スライムやレジオネラ属菌の増殖を抑制するために、殺菌剤を添加する。
蓄熱槽(蓄熱方式)
蓄熱の目的は、 熱を計画的に効率よく蓄積し、必要な時に必要なだけ取り出して利用することがある。このため、間欠運転対応、熱源容量削減、熱回収、排熱利用、太陽熱利用、深夜電力利用等の目的で使用される。
密閉式蓄熱槽
槽が密閉構造で配管や機器の摩擦損失分だけの動力ポンプ容量でよい。
開放式蓄熱槽
槽が大気に開放されている。密閉型に比べ、ポンプの実揚程の分だけ余分な動力が必要で、電気量が高くなる。開放されているので水質汚染に注意が必要。
蓄熱方式のメリット
- 安価な深夜電力の使用が可能
- 熱源機器が故障したときや停電時に短期間であるが、水槽の熱で対処できる
- 夜間運転では凝縮圧力が低くなりCOPが向上する。
- ピ―クカットにより、 熱源装置容量を小さくできる。(これにより、設備費、受変電設備容量、及び機械室面積を小さくできる)
- 部分負荷運転の対処が容易にできる(テナントが延長するときなどに)
- 蓄熱槽の水を火災時に消火用水として利用できる。
蓄熱方式のデメリット
- 開放式水槽の場合は実揚程がかかるためポンプの動力が増加する
- 氷蓄熱では蒸発器出口の冷媒温度が低くなりCOPが低下する
- 水槽の構築費が高価
- 夜間運転移行により管理人件費の増大
- 槽内の水混合の、熱損失または熱取得時によって、一般的に蓄熱した熱量を全部有効にくみあげることができない。蓄熱槽の蓄熱効果は一般に60~85%である
地域冷暖房方式
地域冷暖房方式は、熱源プラントにて集中的に製造した熱媒を、一定地域の多数の建築物や施設に供給する、 冷暖房するシステムをいう。
地域冷暖房方式の特徴
- 地域冷暖房方式は大気汚染防止等の公害防止対策が徹底され、個別熱源に比べ、熱源が集中することから高効率の大型機器の使用が可能となり、環境負荷の低減となる。
- 熱源プラントから熱媒体を需要家に供給するための地域配管が必要となり、そのためのスペ―スが必要である。
- ごみ焼却廃熱や未利用エネルギ―の活用がし易く省エネルギ―が図れる。
- 設備の能力が 21GJ/h以上で不特定多数の需要家に熱供給する能力を持つ施設は、熱供給事業法の適用を受ける熱供給事業として経済産業大臣の許可を受けなければならない。
- 普通各建築物に最大負荷は同時刻に発生することはないので熱源プラントの設備容量は、各建物の最大負荷の合計より小さくすることが可能である。