建築物環境衛生管理基準に、温度は18~28℃、相対湿度は40~70%と定められている。
温度差のある部屋の移動などに伴う急激な温度変化は、血圧の変動の原因となるので、室内温度は、変動の幅が小さく、安定していることが望ましい。 室内温度は湿度と密接な関係にある。特に暖房期は40%に満たないことが多く乾燥しやすい。冬季は低湿度の改善が重要である。室内気流
建築物環境衛生管理基準に、気流は0.5m/s以下と定められている。
建築物環境衛生管理基準の中では不適率が低い項目。気流の速度が高い場合は、不快感を与えるが、速度が低い場合は、温度分布は不均一になりやすい。
一酸化炭素(CO)
一酸化炭素濃度は、室内環境基準により、6ppm以下である。
不適率は低い一酸化炭素は最も有害であり以下の場合は濃度が高くなるので注意が必要
- 喫煙
- 汚染した外気の侵入
- 燃焼器具の不完全燃焼
- 自動車の排気
二酸化炭素
- 二酸化炭素濃度は、室内環境基準により1000ppm以下とされている。
- 不適率は10~20%で、湿度の次に高い。
- 二酸化炭素濃度は室内空気の汚染や換気の総合指標として用いられる
二酸化炭素が高くなる原因
- 送風機のVベルトの緩みおよび亀裂による送風量の低下
- 外気取り入れセンサ―の故障
- 燃焼の排気口が空気取り入れ口に近いため排気の侵入
- 防火ダンパの閉鎖
- 在室者の有無を考慮せずに、空調機をスケジュ―ル運転した場合
- 省エネのために外気取り入れ量を絞っていた。
浮遊粉じん濃度
- ビル管理基準では0.15mg/m3以下である
- 室内浮遊粉じんは、 たばこ、人の活動、外気等に由来する。
- 昔は最も不適率が高い項目であったが最近ではエアフィルタの高性能及び空気清浄機の利用などにより、近年では不適率0~1%と低くなっている
空調設備
空調設備は一般に熱源設備・ 熱搬送設備・空気調和機設備・自動制御設備等から構成している。
- 熱源設備
- ボイラ、冷凍機等
- 空調機設備
- 空調機本体、エアハンドリングユニット
- 熱搬送設備
- 送風機、ダクト、ポンプ等
- 自動制御設備
- 温度、湿度など、自動でコントロ―ルする機器
定風量単一ダクト方式
ゾ―ニングされた各単位ごとに空調機設置して空調された空気を1本のダクトで供給。
- 各室に一定風量をダクトで供給し、熱負荷の変化に対応して、給気温度を変化させる方式。
- 代表点又は還気の温湿度で制御するので、単独の大空間に適した方式。
- 複数室で個々の温湿度制御はできない。
- 再熱器を持ったタ―ミナルレヒ―ト方式にすれば個々の制御が可能となるが省エネではない。
- 冬季インテリア部の小室は吹き出し温度に近い温度になる。
変風量単一ダクト方式
- 空調機からは一定の温度で送風される。各室の負荷量に応じて送風量を変化させて個別制御を行う。
- 絞り式のVAVを用いた場合搬送動力を節約できるので省エネ的である。またすべての部屋あるいはゾ―ンの熱負荷のピ―クは同時に発生しないため、単一ダクト定風量方式の場合と 異なり風量は吹き出し口個々の吹き出し風量を合計した総量よりも小さく設定できる。
- 全閉型VAVユニットを使用することによって、不使用室に対する空調を停止することができる。
- 軽負荷時小風量になって、換気量や外気量の不足が生じ室内の空気清浄度が低下する。
二重ダクト方式
中央の空調機で冷風と温風をつくり,それぞれ2本のダクトで各ゾ―ンまで送風し、各室に吹き出す前に 混合ユニットで負荷に応じた温度に混合して吹き出す。
個別制御に優れる。
換気量を確保できるなどの優れた点もあるが、 冷暖の混合によるエネルギ―ロスが発生し省エネ的ではない。
また、ダクトスペ―スが大きくなり、設備費、運転費とも高くなるなどの欠点がある。
ダクト併用ファンコイルユニット方式
インテリア部分を定風量単一ダクト方式、熱負荷の多い各室ペリメ―タ部分にファンコイルユニットを配置する組み合わせ方式。
この方式は熱負荷の多い外周部分を水(ファンコイルで)処理するため、負荷変動の少ない内部負荷相当の空調機、ダクトでよく、省スペ―スに優れる。
配管を四管式(冷水・温水)にすることにより冷暖房を行うことが可能で個別制御性に優れる。
ペリメ―タゾ―ンとインテリアゾ―ンの間で混合損失が発生し、対策が必要となるケ―スがある。
床吹き出し方式
OA用の二重床を、空調に利用したシステム、二重床内に温湿度調整と除塵処理をした空調空気を、床面に設けられた吹き出し口から室内に向かって上向きに吹き出し気流を 発生させ室内空気を誘因混合しながら、床上1.8m以内などの居住域空調を実現する方式。
この方式の特徴はダクトを用いないので空調ファン静圧が小さくてよく搬送 動力を削減できる。冷房の吹き出し温度は、居住域に直接吹出すので天井吹き出しよりも3℃ほど高く19℃程度。
放射冷暖房方式
- 冬期冷暖房として従来から利用されてきた方式。
- 配管を床・壁・天井に埋設し冷温水を通す方式が一般的。
- この方式は室内空気の換気は行えないので、必然的に空調方式と併用となる。
低温冷風空調システム
氷蓄熱方式と併用して、通常の空調吹き出し温度より低い温度(10℃程度)で吹き出し、送風量、送水量の節減(搬送動力の節減)、設備のダウンサイジングを図ることができる。
給気の低温化に伴う結露対策や室内温度の低下などに注意が必要。
マルチユニット(分散設置)型空気熱源ヒ―トポンプ
冷媒方式の直膨型空気調和機と熱源である空気熱源ヒ―トポンプが一体となった空気熱源ヒ―トポンプ方式の一つ。
一つのヒ―トポンプに複数の直膨型空気調和機が組み合わさったものであり、個別空調の利便性からかなりの規模の建築物にも採用されている。
- 運転時間の節約ができる。
- 温度の設定が個別にできる。
- 運転費の分担が明確である。
- 熱源が複数台に分類されており、機器の故障の波及する範囲が小さい。
- ダクトが室内外にわたる中央式空調方式に比べ設備の設置スペ―スが小さく施工も比較的容易である。
別途透湿膜式の加湿器を組み込みことで、冬季の湿度調整も可能である。 圧縮機はインバ―タ―による回転制御が主流である。
マルチユニット(分散設置)型水熱源ヒ―トポンプ方式
天井面等に多数設置された小型の水熱源ヒ―トポンプ・パッケ―ジ型空調機を水配管で接続し、 屋上に冷却塔を設置すると共に、補助温熱源を設置している。
冷房時は水熱源ヒ―トポンプ・パッケ―ジ型空調機から循環水へ放熱を行い、冷却塔で放熱し循環水を減温する。
暖房時には水熱源ヒ―トポンプ・パッケ―ジ型空調機は循環水から採熱を行い、補助温熱源で循環水を加熱する。
このシステムは、冷房運転モ―ドの水熱源ヒ―トポンプ・パッケ―ジ型空調機が循環水へ捨てる熱を暖房運転モ―ドの空調機が循環水から
吸い上げるので、暖冷房同時運転時熱回収できることが大きな利点である。