令和7年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説2」
問題171
ダニの種類と、ヒトに対する健康被害の組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか
- コナヒョウヒダニ――――――喘息などの原因
- ヤケヒョウヒダニ――――――ヒトを刺咬
- ミナミツメダニ―――――――感染症の伝播
- イエダニ――――――――――皮下に内部寄生
- カベアナタカラダニ―――――ヒトから吸血
答え【1】
正しいのは(1)です。- (1)と(2)のヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニはヒトを刺したり吸血することはないが、そのふんや死骸は喘息やアトピー性皮膚炎の原因(アレルゲン)となることがある。
- (3)のミナミツメダニは、他のダニを捕らえて体液を吸う捕食性のダニです。特に、他のダニや昆虫の体液を吸うことが特徴で、人体から吸血することはありません。
- (4)のイエダニはネズミに寄生するダニです。
ヒトの皮下に内部寄生するダニはヒゼンダニとニキビダニである。 - (5)のカベアナタカラダニはヒトを刺したり吸血することがないダニである。
ダニ類の生態と防除
ダニ
ダニは分類学的にはくもに近く昆虫ではない。
日本国内で知られる3000種のダニのうち屋内に居て、さらに吸血する種はごくわずかのダニである。
ダニの生態
- 成虫で4対の脚をもち、羽根や触角はない。
- ダニの体は、口器がある顎体部と、頭、胸、腹が融合した胴体部の2つに分かれている。
- 幼虫では脚は3対、若虫、成虫で4対である。
これ覚えましょう。
以下で主なダニについて記載します。
最低限覚えましょう。
ダニの種類
ダニの種類には吸血性ダニ、動物寄生性ダニ、屋内塵性ダニ、植物由来のダニ、人刺咬性のダニ、人寄生性のダニに分類される。
- 吸血性ダニ・・・・・・イエダニ、マダニ
- 動物寄生性ダニ・・・・イエダニ(ネズミに寄生)、スズメサシダニ(スズメに寄生)、トリサシダニ(鳥に寄生)
- 屋内塵性ダニ・・・・・ヒョウヒダニ、コナダニ、ツメダニ
- 人刺咬性のダニ・・・・ツメダニ
- 人寄生性のダニ・・・・ヒゼンダニ
- 植物由来のダニ・・・・ヒメハダニ
ヒョウヒダニ
- 人のふけを食べる。
- 人は刺さない
- 温度25℃で湿度60%以上の湿気があるところで繁殖しやすい。
- 死骸や糞が気管支喘息の原因になる。
イエダニ
- ネズミの巣が発生源でネズミに寄生する。
- 宿主であるネズミがいなくなると人からも吸血することがある。
- 防除対策にはネズミの巣を除去するのが有効である。
ケナガコナダニ
- 新しい畳によく発生する。
- 保存食品からも発生する。
- 人への刺咬はない。
ツメダニ
- ヒョウヒダニや他のダニ類を捕食する。
- 人を刺すこととがあるが吸血はしない。
シラミダニ
- 昆虫類に寄生する。
- カイコに寄生することで知られているが偶発的に人を刺すが吸血はしない。
ヒゼンダニ
- 人の皮膚に内部寄生する。
- 疥癬症を引き起こす。
問題172
昆虫の体の特徴や生活史に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 昆虫の体全体を覆う表皮は、外骨格と呼ばれる。
- 休眠の誘導と覚醒は、ホルモンによって制御されている。
- 1年間に1世代出現する昆虫を、一化性の昆虫という。
- 蛹の時期をもたない昆虫を、完全変態の昆虫と呼ぶ。
- 幼虫から蛹になることを、蛹化(ようか)という。
答え【4】
(4)が誤りです。蛹の時期をもたない昆虫を、不完全変態の昆虫と呼ぶ。
問題173
害虫に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- イガの幼虫は、貯穀害虫である。
- ノシメマダラメイガの幼虫は、繊維や衣類の害虫である。
- コロモジラミは、発疹チフスなどの感染症を伝播する。
- ネコノミは、哺乳類、鳥類に内部寄生する昆虫である。
- トコジラミは、日本紅斑熱リケッチアの媒介者である。
答え【3】
正しいのは(3)です。(1)イガは、衣類を食害する衣類害虫である。
(2)ノシメマダラメイガは、食品害虫である。
(4)ネコノミは、ネコなどの哺乳動物や鳥類に外部寄生する昆虫である。
(5)トコジラミは、感染症の媒介種という報告はなく、刺咬被害が主である。
問題174
殺虫剤・忌避剤の種類と衛生害虫への効力の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 有機リン剤―――――――――ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。
- ピレスロイド剤―――――――直撃した時の速効性が高い。
- 昆虫成長制御剤(IGR剤)――――幼虫にも成虫にも効力を発揮する。
- ブロフラ二リド―――――――殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。
- ディート――――――――――処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。
答え【3】
(3)が誤りです。昆虫成長制御剤(IGR剤)は成虫に対して効力を発揮することはありません。
昆虫成長制御剤(IGR剤)は、昆虫や多くの節足動物に対して、変態等の生理的な変化に影響を与える物質なので、それ以外の生物に対する影響は少ない。
蛹化や羽化などの変態を阻害する幼若ホルモン様化合物と幼若脱皮後の表皮形成を阻害する成分がある。
いずれも成虫に対する効力はない。
問題175
クマネズミの成獣に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 東南アジアが原産地で、森林内で樹上生活を行っていた。
- 尾は体長より短い。
- ドブネズミと比較して警戒心が強く、毒餌をなかなか食べない。
- 巣は天井裏や壁の内部等、屋内に多い。
- 耳は大きく、折り返すと目を覆う。
答え【2】
(2)が誤りです。クマネズミは、もともと東南アジアが原産地で、森林内で樹上生活をしていたため運動能力が優れる。
巣は天井裏や壁の内部等、屋内に多い。
体長はドブネズミより小さく15~20cm、尾は体長より長い。
体重は100~200g。毛色は背面が褐色、腹面は淡い黄褐色、耳は大きく、折り返すと目を覆う。木登りや綱渡りが得意で、建築物の垂直の壁や電線を伝わって屋内に浸入する。
警戒心が強く、毒餌もなかなか食べないばかりかトラップにもかかりにくい。
殺鼠剤にも比較的強いので防除が難しい。
ねずみの生態
建築物内に生息するねずみは、クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミである。
大きさは、- クマネズミで成獣で15cm~23cm
- ドブネズミで成獣で22cm~26cm
- ハツカネズミで成獣で6cm~9cm
ドブネズミ > クマネズミ > ハツカネズミ
の順になる。
↑
これ覚えましょう。
クマネズミ
- 都心の大型ビルではクマネズミが優占種である。
- クマネズミは運動能力に優れパイプ、電線を伝わったり垂直行動が得意でいたるところから侵入する。
- 天井、梁など建物の比較的高層部分まで生息する。
- クマネズミは動物性の餌も食べるが植食性が強い。
- 大きさは、頭胴長が、成獣で15~23cmで、尾長は体長よりも長く、頭胴長の約1.1倍程度で、体重は、大体100g~200gである。形態的な特徴は、耳が大きく、折り返すと目を覆う ほどで、尾の長さは体長よりも長い。
- 毛色は背面が黒褐色で、腹面はやや黄褐色のものが多い。
- クマネズミは警戒心が強く、毒餌をなかなか食べず、防除が困難である。
- クマネズミは、天井裏、壁の中、カウンタ内部、空気調和機の内外、戸棚や引出しの内部、ソファ内部、ちゅう房の機器内部等、多彩に巣を作る。
ドブネズミ
- ドブネズミは比較的平面的な活動をするので地下や厨房、低層階に多い。
- ビルの周囲の植栽の土壌などに穴を掘って生息する。
- ドブネズミの食性は雑食性であるが、動物蛋白を好む。
- ドブネズミの大きさは、頭胴長が成獣で22~26cmで尾長は体長よりもやや短い(体長の0.7~0.9倍)、体重は最大のもので500gを超す。(成獣でおよそ200g~500g程度)
- 特徴は耳が小さく肉厚で、倒しても目まで届かないことと尾の長さが体長よりも短い
- ドブネズミは泳ぎが得意。排水溝が最も重要な侵入場所である。水洗便所からも侵入する。
- 毛色は、基本的に背面が褐色、腹面が色白であるが、全身黒色等に変化したものも多い。
- 獰猛であるが警戒心が弱く、防除は比較的やりやすい。
- ドブネズミは床に巣を作ることが多い。
ハツカネズミ
- 農村で優占種であるハツカネズミの生息地は畑地とその周辺地域であるが、ビル内にも生息する。ビルでは局所的な分布で、生息数はドブネズミやクマネズミより少ない。行動範囲も小さい。
- 種子食性である
- 最も小型のネズミで、頭胴長が成獣で6~9cm、尾長は体長よりやや短い程度(体長の0.9~1.0倍)、体重は成獣で約10g~20gである。
- 特徴は、耳が大きくハツカネズミ特有の臭いがする。
- 水気のない環境下でも長時間生息する。
- 好奇心旺盛でトラップにかかりやすいが、殺鼠剤にはもともと強い
クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの特徴はしっかり覚える。
クマネズミは運動能力に優れパイプ、電線を伝わったり垂直行動が得意でいたるところから侵入する。
クマネズミは動物性の餌も食べるが植食性が強い。
ドブネズミは獰猛であるが警戒心が弱く、防除は比較的やりやすい。
ドブネズミの食性は雑食性であるが、動物蛋白を好む。
ドブネズミは泳ぎが得意。
ネズミの特徴まとめ
写真で大まかな特徴をまとめてみました。
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