令和7年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説1」
問題166
蚊の生態に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ヒトスジシマカの幼虫は、道路や公園に存在する雨水ますなどに発生する。
- コガタアカイエカの幼虫は、主に水田や湿地で発生する。
- アカイエカは、主に昼間に野外で吸血活動を行う。
- チカイエカは、羽化後の最初の産卵を無吸血で行うことができる。
- ヒトスジシマカは、ヒト以外にも様々な動物を吸血する性質がある。
答え【3】
(3)が誤りです。アカイエカは主に夜間に活動し、吸血を行う。
日本では、アカイエカは夜間に活動し、昼間は身を潜めていて、日没頃から明け方にかけて吸血します。
蚊の生態と防除
蚊の種類
屋内で発生する蚊はチカイエカ1種だけです。
国内で全体ではおよそ113種類の蚊が記録されている。主な蚊の種類としては、チカイエカ、アカイエカ、コガタアカイエカ、シナハマダラカ、ヒトスジシマカなどがある。
チカイエカ
- 日本国内の屋内で確認されている唯一の蚊である。
- 世界の温帯地域に広く分布し、ビル内部で発生する蚊はほとんどこの種類である。
- 九州から北海道の都市には普通に見られる。
- チカイエカは外見的にはアカイエカやネッタイイエカに似ており、外見的には区別するのは困難である。
- チカイエカは羽化後初めての産卵は吸血しなくても行える。その後は激しく人から吸血する。
- チカイエカの卵は卵塊として水面に産み落とされる。1卵塊の卵数は50~80個
- チカイエカは冬期でも休眠せず暖房された室内では盛んに吸血することから冬の蚊といわれる。
- チカイエカは試験管のような狭い場所でも交尾が可能で、また浄化槽内のような暗黒の条件下でも休眠せず交尾を行い産卵する。
- チカイイエカが媒介する感染症は今のところ知られていない。
アカイエカ
- アカイエカは屋外で発生して屋内に侵入する。
- 夜間に屋内に侵入して吸血するよく見られるカ
- アカイエカのメスの成虫は有機物の多い下水溝やどぶ川の水面に静止して舟形の卵塊を産む。
- ニワトリや野鳥からも盛んに吸血する。
- 秋に羽化した成虫は休眠に入り、冬期には気温が上昇しても吸血活動をしない。
コガタアカイエカ
- コガタアカイエカは水田から発生する。
- 日本脳炎ウイルスを媒介する。
- 夜間に吸血する。
ヒトスジシマカ
- 公園、墓地等の日陰ややぶに多く生息する。
- 昼間に盛んに吸血する
- 雨水ますなどの人工的にできた狭い水域や屋外の空き缶などの溜り水からもよく発生する。
- 血を吸われると大変強い痒みを生じる。
シナハマダラカ
- 幼虫の発生源は水田や沼
- マラリア原虫の媒介者
- 成虫は夜間活動する。
蚊の主な生態について記述していますが、ここではまず蚊の生息場所は確実に覚える。
チカイエカ、アカイエカ、沖縄のネッタイイエカは、外部形態での区別は困難である。唯一の違いは雄の外部生殖器の形態である。
チカイエカは、アカイエカやネッタイイエカとは生理的に明らかに違いが認められる。
コガタアカイエカ→日本脳炎ウイルスを媒介する。
問題167
蚊の調査法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 成虫の調査法として、ドライアイスを誘引源としたトラップを用いる方法がある。
- 捕虫網を用いたスウィーピング法は、ヒトスジシマカ成虫の調査に適している。
- オビトラップは、産卵にきた雌成虫を誘引し、産下された卵を採取するトラップである。
- 幼虫の調査は、柄杓などで水域の表面を一定回数すくい取る方法で行う。
- 屋外における調査では、ハエ取りリボンやゴキブリ用粘着トラップを長時間吊るす方法か効果的である。
答え【5】
(5)が誤りです。蚊は、粘着法ではほとんど吸着されない(蚊の多くは、CO2に誘引される。)
問題168
ゴキブリの防除に関する次の文章から、ゴキブリ指数及び防除率について正しいものはどれか。
ゴキブリ防除のためにある工場で、ゴキブリ用粘着トラップを用いて、ゴキブリ指数を算出した。薬剤散布を行う前に5日間、10か所にトラップを設置したところ、合計で200匹のゴキブリが捕獲された。その後、薬剤を散布し、同じ場所に同じ数のトラップを10日間設置したところ、合計で2匹のゴキブリが捕獲された。
- 薬剤散布前のゴキブリ指数は0.4である。
- 薬剤散布前のゴキブリ指数は0.05である。
- 薬剤散布前のゴキブリ指数は4である。
- この作業によるゴキブリの防除率は90%である。
- 薬剤散布前のゴキブリ指数は0.2である。
答え【3】
ゴキブリ指数の問題です。ゴキブリ指数の求め方は
ゴキブリ指数 = 総捕獲数 ÷ 設置トラップ数 ÷ 設置日数
で求めます。まず
薬剤散布を行う前のゴキブリ指数=200 ÷ 10 ÷ 5 = 4
薬剤散布を行う後のゴキブリ指数=2 ÷ 10 ÷ 10 = 0.02
次に
防除率を求めます。
防除率 = (防除前のゴキブリ指数 - 防除後のゴキブリ指数) ÷防除前のゴキブリ指数 x 100
で求めることができます。防除率 = (4 - 0.02) ÷ 4 x 100 = 99.5%
になりますので(3)の薬剤散布前のゴキブリ指数は4である。
が正しい。
問題169
ゴキブリの生態に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- ゴキブリの食性は、発育段階によって変化する。
- ゴキブリが集合するのは、気門から分泌される集合フェロモンの作用のためである。
- 日本に生息するゴキブリの種類の多くは、屋内で生活している。
- ゴキブリは食べ物に対する好みがあり、特定のものだけを食べる。
- ゴキブリには一定条件の潜み場所があり、日中はほとんどその場所に潜伏している。
答え【5】
正しいのは(5)です。- (1)はゴキブリの食性は、発育段階によって変化しない。
- (2)はゴキブリが集合するのは、糞中から分泌される集合フェロモンの作用のためである。
- (3)は日本に生息するゴキブリの多くの種類は、屋外で生活している。
- (4)は雑食性で、食品類、汚物など様々なものを餌とする。
ゴキブリの習性
- 夜間特定の時間に潜伏場所から出現し、摂食、摂水行動を起こす。
- 体内に組み込まれた体内時計により、約24時間を周期とする行動が見られる。
- 潜伏場所の辺りに糞などの汚れが多く見られ、殺虫剤を処理する場所の目安になる。
- 集合フェロモンを糞中に分泌してこれによって群れる。
- 雑食性で、食品類、汚物など様々なものを餌とする。
- ゴキブリは幼虫、成虫とも同じ場所で活動し、同じ食物を摂取する
- 物の縁や隅を通る傾向があり、壁から5cm程度の隅に活動が集中する。
- ゴキブリは不完全変態である。
不完全変態:卵→幼虫→成虫
つまり、ゴキブリは蛹にならない
問題170
屋内のダニ類の防除の進め方として、最も不適当なものはどれか。
- 屋内のダニ類の防除においては、日常的な発生予防が基本である。
- ダニ類によると思われる被害においては、原因特定よりも、迅速な殺虫剤散布を優先する。
- 吸血性ダニ類の防除においては、ヒト以外の宿主となっている動物への対策が必要である。
- 刺咬性ダニ類の防除においては、掃除機によるこまめな除塵の効果が高い。
- アレルゲンとなるダニ類の防除においては、床面や寝具への対策が重要である。
答え【2】
(2)が誤りです。ダニ類による被害の可能性がある場合には、原因種を特定した上で、対策を講じることが必要である。
原因種が不明のまま、薬剤をむやみに散布することは避ける。
ダニの防除
ダニ類による被害の可能性がある場合には、原因種を特定した上で、対策を講じることが必要である。原因種が不明のまま、薬剤をむやみに散布することは避けなければならない。
ダニ類の防除法は原因種によって異なるが、日常的な発生予防対策が基本であることは他の害虫の場合と同様である。以下に、緊急性の高い順に、原因種あるいは被害ごとに、基本的な防除法を説明する。
- 吸血性ダニ類(イエダニなど)は殺虫剤の感受性が高く、一般に使用されている有機りん剤やピレスロイド剤のほとんどが有効であり、残留処理や、室内全体で被害を 発生している場合は、煙霧、ULV、燻煙剤処理でも対応できる。
- 動物寄生性ダニのイエダニはネズミの巣の除去を行う。屋内にあってはゴキブリに準した煙霧処理を行う。
- 鳥に寄生するダニ(トリサシダニ等)は鳥の巣を除去するが、鳥の卵ごと除去する場合は、市町村長または都道府県知事の許可が必要である。
- 屋内塵性ダニ(ヒョウヒダニ等)は
- 薬剤感受性は一般的に低く十分な効果が期待できる殺虫剤は少ない。
- これらのダニの発生は多分に温湿度依存的で、25℃以上、60%以上の湿度でよく発生する。室内を通風し、除湿によって乾燥し、高温にならないようにする。
- ツメダニ類は殺虫剤に対する感受性が極めて低い。現時点では効果的に使える殺虫剤はなく、薬剤に対する対策はあまり期待できない。畳によく発生するのでこれらは加熱処理により対応する。
- ツメダニ類はほかのダニ類を捕食しているので、餌となるほかのダニなどの繁殖をしないように、除塵を徹底し、高温・多湿に気を付ける必要がある。
- 畳に薬剤を処理する場合は室内塵性ダニ用の殺虫剤を用いる。乳剤などは不適当である。
















