令和7年度給水及び排水の管理「過去問題解説2」
問題111
給水設備の貯水槽に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 木製貯水槽は、断熱性が低いため、結露対策が必要である。
- ステンレス鋼板製貯水槽は、気相部の腐食対策が必要である。
- 鋼板製貯水槽には、一体成型構造にエポキシ樹脂を焼き付けコーティングしたものがある。
- FRP製貯水槽は、機械的強度が低いため耐震補強が必要である。
- FRP製高置水槽は、槽内照度が100lx以上になると、光合成により藻類が繁殖しやすい。
答え【1】
木製貯水槽は、堅牢で、狭い場所での搬入、現場組み立てが容易で断熱性が優れているため、結露の心配がありません。
貯水槽の種類
貯水槽の種類はFRP製貯水槽、鋼板製貯水槽、ステンレス鋼板製貯水槽、木製貯水槽がある。特徴をしっかり覚えましょう。FRP製貯水槽
FRP製貯水槽についての問題も多く出題されている。
- FRP製貯水槽は軽量で施工性に富み、耐食性があり衛生的であるため、貯水槽の主流となっている。
- 藻類が繁殖しないように照度率は0.1%以下とする。
- FRP製貯水槽は、機械的強度が低い。
- 複合板構造のFRP製貯水槽は結露による問題がない。
- 経年変化による強度劣化があり、紫外線に弱い。
ステンレス鋼板製貯水槽
- 強度があり、普通鋼板に比べ板厚を薄くできる。また、重量も軽くでき外観もきれい。
- 耐食性に優れている。
- 塩素による気相部に腐食が発生することがある。
木製貯水槽
- 木製貯水槽は、堅ろうで狭い場所の搬入・現場組立が容易である。
- 断熱性に優れているため、結露の心配がほとんどない。
- 貯水槽の形状が円形及び楕円形に限定される。
- 大型貯水槽には、木製のものもある。
鋼板製貯水槽
- 加工性に優れ、価格も安い
- 機械的強度も強い。
- 耐震補強をする心配がない。
- 防錆処理被膜を毎年点検する必要がある。
- 防錆処理被膜が破壊されると、本体の鉄の腐食が進行する。
貯水槽の種類の特徴はしっかり覚える。
問題112
給水設備に関する配管材料とその接合方法との組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管―――ねじ接合(管端防食継手の場合)
- 硬質ポリ塩化ビニル管――――――――――接着接合
- ステンレス鋼管―――――――――――――溶接接合
- 架橋ポリエチレン管―――――――――――接着接合
- 銅管――――――――――――――――――差込みろう接合
答え【4】
架橋ポリエチレン管は接着剤が効かないので、メカニカル継手が融着継手を用いる。
主な配管の種類
主な配管には銅管、ステンレス鋼管、ライニング鋼管、合成樹脂管、硬質ポリ塩化ビニル管、ポリエチレン二層管、ポリブデン管などがあるが、全部は覚えきれないので、簡単に特徴だけ記載します。
接合方法などはしっかり覚えましょう。
銅管
- 接合は差し込みろう接合
- 潰食・腐食
- 青水の原因となる銅イオンの溶出が継続するような場合は、水質によって酸化保護被膜が形成されていないことが考えられる。水質の改善が必要になる場合がある。
- 返湯管に銅管を用いる場合は潰食を考慮して管内流速を1.2m/s以下とする。
ステンレス鋼管
- 接合はメカニカル接合とTIG溶接
- TIG溶接とはアルゴン等の不活性ガスの雰囲気中でタングステン電極と溶接母材の間にア―クを発生させて溶接する。
- ステンレス鋼管は酸化保護被膜によって耐食性を有しているので、この酸化保護被膜が破壊されると孔食、隙間腐食、残留応力腐食、もらいさびによる腐食の恐れがある。
硬質ポリ塩化ビニル管
- 塩ビ管ともいう。
- 接合は接着剤
- 硬質ポリ塩化ビニル管は建築基準法により防火区画を貫通できる太さに制限がある。
亜鉛メッキ鋼管
赤水の原因となるため現在は給水管としては使用しない。
架橋ポリエチレン・ポリブテン管
架橋ポリエチレン管・ポリブテン管は耐熱性・可とう性があり、集合住宅のさや管ヘッダ工法の給水・給湯配管に使用されています。
ポリエチレン二層管・架橋ポリエチレン管・ポリブテン管は接着剤で溶かすことができないため、メカニカル接合か融着接合とする。
問題113
給水設備に用いる弁類の説明として、最も不適当なものはどれか。
- 仕切弁――――――弁体が管路を垂直に仕切るように開閉する構造である。
- バタフライ弁―――円筒形の弁本体中心に円板状の弁体を設け、この弁体を回転させることで管路の開閉を行う構造である。
- 減圧弁――――――ダイヤフラムと調節ばねのバランスにより弁体の開度を調節する機構である。
- 定水位弁―――――副弁の開閉と連動して弁体を開閉させて水槽の水位を保持する機構である。
- ボール弁―――――弁本体が球形状で、弁体を弁座に押し付けて管路を塞ぐ構造である。
答え【5】
(5)が誤りです。(5)の説明は玉形弁(グローブ弁)です。
ボール弁は、管径と同径の通路(ボートまたはボアという)を開けたボール(球)状の回転させ、管軸と通路が一致したときが開の状態で、それと90°回転した状態が閉となる。
弁類
弁には仕切弁、玉形弁、バタフライ弁、ボ―ル弁、スイング式逆止弁、減圧弁、安全弁などありますが、よく試験に出題されるのは、仕切弁、玉形弁、バタフライ弁、ボ―ル弁、スイング式逆止弁 など、形状と特徴を覚えましょう。
仕切弁(ゲ―トバルブともいう。)
形状は
弁体が管路を垂直に仕切るように開閉する。
開閉のみで流量調整ができない。
玉形弁
形状は
弁本体が玉形状で流れが直角に方向転換する部分に弁体がある。弁体は管路をふさぐように閉める。
流量調整に適している。
ボ―ル弁
形状は
管径と同径の通路を開けた弁本体にボ―ル(球)状の弁体を回転させ、管軸と通路が一致したときか開の状態で、それと90度回転した状態が閉となる。
ビル管理士試験ではボ―ル弁は抵抗が少なく流量調整ができるとありますが、本来ボ―ル弁は円環状のソフトシ―ト弁座が使用されているため、途中の開度で使用すると弁座の一部分だけに力が加わることになり、弁座が変形することがあります。弁座が変形するとシ―ル性能が低下して漏れてしまいます。
全開/全閉以外の途中の開度で流量調整などに使用しないことです。
しかし、ここでは流量調整ができると覚えましょう。
バタフライ弁
形状は
円筒型の弁本体内部で円板状の弁体を流れ方向に90度回転させて管路の開閉を行う。
仕切弁、玉形弁に比べ設置スペ―スが少なく安い。
流量調整機能がある。
スイング式逆止弁
形状は
逆止弁、チャッキ弁ともいう。
流体が一方向にしか流れないようする(逆流防止機能をもつ)
流量調整機能がある。
リフト式逆止弁
形状は記載しませんが、
リフト式逆止弁は水平方向に設置すること。
つまり縦配管には設置できない←これ覚える。
電磁弁
電磁石を利用するもので、電磁力によって弁体を動かして開閉させる。
電気を通すと開くタイプ(通電開)と閉じるタイプ(通電閉)がある。急閉止するのでウォ―タハンマの発生に注意
減圧弁
給水の圧力を弁の前後で変化させるもので、弁の前(1次側)の圧力を後(2次側)では設定の圧力まで下げる働きをする。
2次側の圧力によるダイヤフラムの上向きの力と、調整パネの下向きの力がバランスするように弁体の開度調整して、2次側圧力を一定に保つ構造である。
定水位弁
水槽の水位を定水位に保持するための弁で、副弁の開閉と連動して弁体を開閉させて給水の発停を行う。副弁はボ―ルタップと呼ばれ、これ自体も定水位弁で、トイレのロ―タンク等にも利用されている。
浮き玉の浮力によって設定水位に自動的に給水を停止し、水位が下がると浮き玉も下がり、給水を開始させて、定水位弁を開閉させる方法もある。

問題114
建築物の給水方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 直結増圧方式には、増圧ポンプを直列に複数接続する直列多段型がある。
- 高置水槽方式は、安定した水圧・水量が得られる。
- 直結増圧方式は、引込み管径が制限される。
- ポンプ直送方式は、流量又は圧力を検知して、要求水量に応じて送水する。
- 高置水槽方式は、他の給水方式に比べて水質汚染の可能性が低い。
答え【5】
(5)が誤りです。高置水槽方式とは、水道水を受水槽に引き込んで貯留し、揚水ポンプで建築物高所(屋上等)に設置した高置水槽に揚水し、重力で各所に給水する方式です。
この方式は、安定した水圧・水量が得られます。
しかしこの方式は、受水槽と高置水槽の2か所で大気中に開放することから、他の方式に比べて汚染のおそれが高く、衛生性を確保するために貯水槽の設置位置や構造に留意し、水槽の清掃等適切な 維持管理が必要となる。
給水方式
水道直結方式
水道直結方式には直結直圧方式と直結増圧方式に分類される
直結直圧方式
配水管の圧力によって直接各所に給水する方式。
配水管の水圧により揚水できる高さが決まる。
配水管から給水管に分岐する箇所での配水管の最小動水圧が150kPaを下らないこと(ただし、給水に支障がない場合は、この限りではない。)
直結増圧方式
タンクレスなので簡易専用水道に該当しない
増圧ポンプを設け、配水管の水圧に関係なく(中高層)の建築物に適用できる。
水道本管への逆流を防止する為の装置が必要。
10m3以下の小規模受水槽の建築物の方式として開発された
配水管の給水圧力の低下を防ぐため引き込み管径に制限があり危険物を扱う工場などは認められない場合がある。
受水槽方式
高置水槽方式
受水槽と高置水槽を揚水ポンプでつないだ方式。
揚水ポンプは高置水槽の水位低下により起動するように制御されている。
給水箇所で圧力は安定しているが、高層階で圧力が不足し、下層階で圧力が高くなる。(下にいくほど落差で圧が高くなる)
ここのポイントとして、揚水ポンプの起動は高置水槽の水量が低下したときである。 試験ではよく受水槽の水量低下と出題されていますが、誤りですからしっかり覚えましょう。あくまでも揚水ポンプの起動は高置水槽の水量が低下したときである。
- 高置水槽方式の高置水槽の有効容量は、一般に1日最大使用水量の1/10とする。
- 受水槽方式の受水槽の有効容量は、一般に1日最大使用水量の1/2とする。
圧力水槽方式
受水槽内の水を給水ポンプにより、圧力水槽におくり、圧力水槽内の空気を圧縮、加圧し、その圧力によって給水する方式。
ポンプは水の使用により水の水圧が低下したときに起動する。一定水圧になると自動でポンプは停止するように制御する。
給水箇所で圧力の変動があるのが欠点である。
現在はあまり採用されていない。
ポンプ直送方式
受水槽水を直送ポンプ(加圧ポンプ)で必要個所に直接給水する方式。
流量制御はポンプの台数制御、インバ―タ―制御(回転数制御)、などがある。小流量時のポンプの起動・停止の頻度を少なくするための小型圧力水槽を設ける例がある。
ポンプで揚水します。
問題115
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 事務所ビルで節水器を使用する場合の1日当たりの設計給水量は、40~60L/人である。
- 給水配管の管径は、管内の流速2.0m/s以下となるように選定する。
- 衛生器具による節水方法として、小便器自動感知洗浄システムがある。
- 水資源の有効利用として、雨水を便器洗浄水として利用する。
- 高層ホテルの上限給水圧力は、0.7Mpaである。
答え【5】
(5)が誤りです。高層建築物では、給水を1系統で供給すると、下層階において給水圧力が過大になり、器具類の機能障害や、ウォータハンマ等の原因となる。
このため圧力を抑えるために上下の系統分け(ゾーニング)を行い、 一般的にはホテル、住宅では0.3MPa、事務所・工場では0.5MPaを上限水圧とする。
給水圧力と給水量
高層建築物では、給水を1系統で行うと、下層階において給水圧力が過大になる。そのため中間水槽や減圧弁を用いて上下の系統わけを行う。それをゾ―ニングという。一般的にはホテル、住宅では0.3MPa、事務所・工場では0.5MPaを上限水圧とする。
この場合は高層階と低層階にそれぞれ高置水槽を設置して系統分けをしています。
















