令和7年度空気環境の調整「過去問題解説5」
問題66
ボイラに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 炉筒煙管ボイラは、直径の大きな横型ドラムを本体とし、燃焼室、煙管群で構成される。
- ボイラは、吸収冷凍機駆動用熱源として冷房時にも利用される。
- 鋳鉄製ボイラは、高温・高圧・大容量のボイラには適さない。
- 貫流ボイラの取扱いには、容量によらずボイラ技士の資格が必要である。
- 真空式温水発生機では、容量によらずボイラに関する取扱い資格が不要となる。
答え【4】
(4)が誤りです。貫流ボイラは、伝熱面積10m2以下のものは小型ボイラとなり、ボイラの技士の資格を有しない技能講習修了者でも取り扱いが可能である。
ボイラ
ボイラの種類と主な用途および取扱い資格
ボイラは、ガス・油などの燃料による燃焼熱や電熱によって、温水若しくは蒸気を取り出す装置であり、暖房・給湯・洗浄・消毒などの用途に対する 温熱源機として利用される他、吸収冷凍機駆動用熱源として冷房時にも利用される。大は蒸発量3,000t/hを超える事業用火力から、小は 蒸発量20kg/h程度の家庭用小型ボイラまで容量的にも幅広く、熱媒種別的にも、温水、飽和蒸気、過熱蒸気など種類も多い。
ボイラ取扱い者は、厚生労働省令「ボイラおよび圧力容器安全規則」によってボイラ技士の免許を受けたものに限られる。ただし、胴内径750mm以下で長さ1,300mm以下 の蒸気ボイラ伝熱面積3m2以下の蒸気ボイラ、伝熱面積14m2以下の温水ボイラおよび伝熱面積30m2以下 の貫流ボイラは、所定の取扱い講習を修了したものに限り、ボイラ技士の資格は不要である。なお、ボイラ技士の資格には、特級、一級および二級の資格がある。
- 鋳鉄製ボイラ
- 分割搬入が可能で寿命が長い。低圧蒸気、低温水を給湯・暖房用に供給する。
- 鋳鉄製ボイラは、鋳鉄という材料の節約から、高温・高圧・大容量のものは製作不可能。
ボイラ構造規格により、温度は高温120℃、圧力は蒸気ボイラの場合0.1MPa、温水ボイラの場合水頭圧50mまでに制限され、容量は換算蒸発量4t/h程度が限度である。また、構造上、セクションの内部清掃が難しいため、スケ―ル防止のため、装置系を密閉系で設計・使用するのが原則である。
- 炉筒煙管ボイラ
- 胴内に炉筒と煙管群との両方を設けた内だき式のボイラで、一般に直径の大きな波形炉筒1本と直管の煙管群からなっている。
中規模建築物などの暖房用、吸収式冷凍機の熱源として使われる。炉筒煙管式ボイラは、保有水量が大きく負荷変動に対して安定性があるためホテルなどでも多く使われる。
- 胴内に炉筒と煙管群との両方を設けた内だき式のボイラで、一般に直径の大きな波形炉筒1本と直管の煙管群からなっている。
- 貫流ボイラ
- ボイラ本体は、水管壁に囲まれた燃焼室及び水管群からなる対流伝熱面で構成され、大きなドラムがなく、ボイラ水が循環しないことが特徴でり、そのため取扱い資格が緩和されている。
構造的には、小容量と大容量のものでは大きく異なっており、小容量のものは更に、1本または数本の水管をコイル状に巻いた単管式と、短い水管を上下のヘッダ間に多数並列配置した 多管式に分けられる。
他の構造のボイラに比べ、法的な取り扱い資格などが緩和されており 最高使用圧力1.0MPa以下、伝熱面積10m2以下のものは小型ボイラとなり、ボイラ技士の資格を有しない 技能講習修了者でも取り扱いが可能である。
- ボイラ本体は、水管壁に囲まれた燃焼室及び水管群からなる対流伝熱面で構成され、大きなドラムがなく、ボイラ水が循環しないことが特徴でり、そのため取扱い資格が緩和されている。
- 立てボイラ
- 立て型の缶内に燃焼室と比較的少数の水管又は煙管を設けた簡単な構造で、設置面積が少なく済む小規模な建築物に使用される。
- 水管ボイラ
- 伝熱面が水管で構成され、ボイラ水循環方法により、強制循環式、自然循環式、還流式がある。
- 水管ボイラは、大きなドラムと水管壁に囲まれた燃焼室を有する構造のボイラで、熱媒として蒸気を発生するために用いられています。
- 真空式温水発生機
- 真空式温水発生機は、缶体内を大気圧より低く保持しながら水を沸騰させ、真空中で水蒸気を発生させ熱交換器に伝熱する80℃以下の低温水を発生。
真空式温水発生機は内部圧力が大気圧より低いため、ボイラとしての法的な適用を受けません。
- 真空式温水発生機は、缶体内を大気圧より低く保持しながら水を沸騰させ、真空中で水蒸気を発生させ熱交換器に伝熱する80℃以下の低温水を発生。
問題67
蓄熱システムに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一般的には、夏期冷房最盛期よりも、冬期冷房最盛期における電力負荷平準化効果が大きい。
- 躯体蓄熱システムは、氷蓄熱システムに比べて熱損失が大きい。
- 蓄熱システムの採用により、熱源装置の容量を削減できる効果がある。
- 潜熱利用蓄熱材としては、氷・無機水和塩類等が利用されている。
- 顕熱利用蓄熱材としては、水・土壌・RC躯体等が利用されている。
答え【1】
(1)が誤りです。蓄熱システムは、夜間に熱源機を運転して水や氷等の蓄熱体を蓄えて、その蓄えた熱を昼間に放熱しうる空調システムのことで、昼夜の負荷平準化することが可能で、電力の削減につながります。
これは、冬冷房よりも夏冷房の方が電力負荷が大きい分、比例して電力負荷平準化効果も大きくなります。
問題68
図は蒸気圧縮冷凍サイクルにおける冷媒の標準的な状態変化をモリエル線図上に表したものである。蒸発器の出口直後に相当する図中の状態点として、最も適当なものは次のうちどれか。
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
答え【5】
(5)のオが正しい。下の図では①に該当します。
蒸発器出口で冷媒は蒸気になり、これを圧縮機で高圧・高温の状態に移行します。凝縮器で冷媒を冷やして凝縮させます。最後に膨張弁で圧力を開放させると、低温の状態に戻ります。
蒸気圧縮冷凍機の冷凍サイクルとモリエル線図です。

| サイクル | 行程 | 説明 | 温度 | 圧力 | 比エンタルピ― |
|---|---|---|---|---|---|
| ①→② | 圧縮 | 冷媒は過熱蒸気となって圧縮機へ | 上昇 | 上昇 | 増加 |
| ②→③ | 凝縮 | 過熱蒸気から湿り蒸気、液体冷媒へ | 一定 | 一定 | 減少 |
| ③→④ | 膨張 | 膨張弁を通り、液体冷媒から湿り蒸気 | 低下 | 低下 | 一定 |
| ④→① | 蒸発 | 湿り蒸気から過熱蒸気へ | 一定 | 一定 | 増加 |
| 圧縮機 | 気化した冷媒を圧縮して高圧高温の冷媒とする。 |
| 凝縮器 | 高温の冷媒ガスが放熱し、凝縮して液体冷媒となる。 |
| 膨張弁 | 次の蒸発器での蒸発に備えて、冷媒を低圧低温の状態にする。 |
| 蒸発器 | 液体冷媒が吸熱して蒸発、冷水を冷やす。 |
問題69
標準的なエアハンドリングユニットの構成に関する上流側からの設置順として、最も適当なものはどれか。
-
上流――――――――――――――――――――――――――――下流
- 加湿器―――――――――送風機―――――――――――エアフィルタ
- 熱交換器(コイル)――――加湿器―――――――――――エアフィルタ
- 加湿器―――――――――熱交換器(コイル)――――――送風機
- 熱交換器(コイル)――――エアフィルタ――――――――加湿器
- エアフィルタ――――――熱交換器(コイル)――――――加湿器
答え【5】
下の図でも分かるようにエアフィルタ――――――熱交換器(コイル)――――――加湿器
の順になります。

問題70
冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 開放型冷却塔は、同容量の密閉型冷却塔と比べて一般に大型である。
- 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。
- 開放形冷却塔は、密閉型冷却塔と比べて送風機動力が小さい。
- 密閉型冷却塔は、散布水系統の保有水量が少ないため、保有水中の不純物濃度が高くなる。
- 空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するための装置として利用される。
答え【1】
(1)が誤りです。密閉型冷却塔は開放型と異なり、水と空気が間接熱交換となるため、通風抵抗の増加に伴い送風機動力が増加する上、散布水ポンプに関わる機構が付加 されるため、コストも割高となり大型となる。
冷却塔
空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するための装置として利用され、冷却水の循環系統の一部を形成する。
開放型冷却塔
開放型冷却塔は、充填材、下部水槽、散水装置、送風機等から構成される。
冷却水は主に自ら蒸発して、その潜熱により冷却される。←これ重要(外気が冷却水より低い乾球温度であれば、顕熱を空気に渡しても冷やされる)その場合でも、いくらでも蒸発していくらでも冷却されるのではなく周囲空気の 湿度より限界がある。冷却塔内の冷却水表面は丁度濡れたガ―ゼで包まれて、気流の当たっている湿球温度計と同じ状態になり、その時測っているのは冷却塔入口空気の湿球温度である。
冷却水の温度は理論上この湿球温度よりも低くはなり得ない。冷却水の出口温度と外気湿球温度の差をアプロ―チといい、通常は5℃程度である。 一般に外気の湿球温度が低く、冷却水温度が低い方が冷凍機の凝縮温度が低くなってCOPが向上する。
密閉型冷却塔
冷却水と空気の熱交換は間接的となるので、冷凍機に廻る冷却水の水質悪化の心配がない。しかし同じ冷却能力を得るのに開放型より大型になる。
また熱交換器による通風抵抗の増加に伴い送風機動力が増加するうえ、冷却ポンプとは、別に散水ポンプが必要で高価である。
冷却塔の性能低下の原因
- 散水の不均一
- 送風装置の不具合
- 充填物破損
- 外気の湿球温度が設計値を上回った時
















